【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第7回後編】無理な追い抜きに大クラッシュ。プレッシャーのかかる状況でもがくミック

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。2連戦で迎えた第7戦は、伝統のモナコGP。持ち込みのセットアップは非常にいい状態で、その後の仕様変更もうまく機能したハースだったが、レースではミック・シューマッハーが大きなクラッシュ。プレッシャーのかかる状況で結果を出せないという状況は変わらず、さらにはいいペースで走っていたケビン・マグヌッセンもトラブルでリタイアに終わり、ハースは獲れたはずのポイントを逃がし続けている状況だ。それでも明るい材料はあると小松エンジニアは言う。

 コラム第7回は、前編・後編の2本立てでお届け。後編となる今回は、モナコGPの現場の事情を小松エンジニアがお届けします。

F1技術解説:第7戦(2)全チームが注力したモナコ特有のステアリング設定と基本構造

 2022年F1第7戦モナコGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回「本来負けるはずがなかったフェラーリ。F1-75が持つ明らかな優位性」に続く今回のテーマは、全チームが注力したモナコ特有のステアリング設定と、ステアリングの基本構造だ。

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 超低速市街地コースのモナコでは、どのチームもステアリングに変更を施してきた。ステアリングラックの比率を変更し、前輪の舵角を大きくすることで、ステアリング操作量が同じでもより大きく曲がるようにした。

F1技術解説:第7戦(1)本来負けるはずがなかったフェラーリ。F1-75が持つ明らかな優位性

 2022年F1第7戦モナコGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回では、フェラーリF1-75のレッドブルRB18に対する優位性を分析する。

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 モナコでのフェラーリは最高のマシンを持ちながら、戦略的に失敗した。少なくとも予選までの、ドライ路面のモナコでは、F1-75は低速コーナーからの脱出の速さという特徴を遺憾なく発揮していた。

【F1第7戦無線レビュー】「どういうことだ!何やってるんだ!」同時ピットインで順位を落としたルクレールが怒りの叫び

 2022年F1第7戦モナコGPでは、スタート直前に雨が降り始めた。その影響でスタートが遅れたものの、セーフティカー先導でスタートしたレースは、ウエットタイヤからドライタイヤへ履き替えるタイミングがレースを左右することに。母国レースでポールポジションを獲得し、先頭からスタートしたシャルル・ルクレールだったが、フェラーリの戦略ミスによりまさかのポジションダウン。一方でレッドブルはピット戦略でポジションを上げることに成功したのだった。モナコGPのレースを無線とともに振り返る

【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第6/7戦】最善を尽くしてもうまくいかないことはある。ガスリーに勝ったのは立派

 2022年、アルファタウリの角田裕毅は、F1での2シーズン目を戦っている。昨年に続き、エディ・エディントン氏が、グランプリウイークエンドを通して角田の動きをくまなくチェックし、豊富な経験をもとに、彼の成長ぶり、あるいはどこに課題があるのかを忌憚なく指摘する。今回は2022年F1第6戦スペインGPと第7戦モナコGPについて語ってもらった。

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 よくあることだ。ベストを尽くして、進歩を遂げ、これまで以上に良い走りをし、ドライバーとしてもひとりの人間としても成長し、正しいことをすべてやっているのに、結果が伴わない。

 そういうとき、フラストレーションを表に出して、プッシュしすぎて、マシンをそのポテンシャル以上に速く走らせようと必死になって、クレイジーな動きをしたりしがちだが、そういうことをするとたいていは大失敗に終わる。

フェルスタッペンへの抗議で明白になった規則変更。F1レースディレクターが文書を「カット&ペースト」で混乱発生

 F1モナコGP決勝で、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はピットアウト時にピットレーン出口のラインを踏み、タイヤの一部がラインの外に出たものの、ペナルティを受けなかった。国際モータースポーツ競技規則の文言が変更されたことが周知されていなかったために混乱が起きた。

 フェルスタッペンとセルジオ・ペレス(レッドブル)が共に、ピット出口のイエローラインの右側を維持しなかったとして、フェラーリは抗議を行った。

【全ドライバー独自採点/F1第7戦】一貫してフェルスタッペンより速かったペレス。角田はドライ3種で戦うも好転せず

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。

 2022年F1第7戦モナコGPは、決勝スタート直前に雨が降り出し、レース中に路面が乾いていくという難しいコンディションに。シャルル・ルクレール(フェラーリ)はポールポジションから余裕の勝利を飾るかに思われたが、フェラーリが適切なピットストップ戦略で対応することができず、まさかの4位に沈んだ。優勝したのは、週末を通してチームメイトのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)より速さがあったセルジオ・ペレス(レッドブル)だった。モナコGPでのそれぞれのドライバーたちの戦いぶりを、バスコンセロス氏が振り返る。

アロンソ、シューマッハー車が大破した要因として“新F1マシンの重量増加”を指摘「衝突時の慣性がより大きくなった」

 アルピーヌのフェルナンド・アロンソは、F1第7戦モナコGPでミック・シューマッハー(ハース)のシャシーが衝撃で真っ二つになった要因は、F1の新世代マシンの重量増加だと考えている。

 モナコGP決勝レースの24周目、シューマッハーはターン14の出口でVF-22のコントロールを失い、スピンしてテックプロバリアに激しく衝突した。22Gの衝撃によってシューマッハーのマシンは粉砕され、ギヤボックスの部品がシャシーから外れてしまった。幸いシューマッハーは無傷でマシンを降りることができたが、多くのドライバーたちが当初、そのダメージの大きさから彼の状況を心配したのは当然のことだった。

ルクレールを1周抑えたアルボンは「ペナルティを科されるべきだった」と元F1ドライバーが指摘/F1第7戦

 元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは、5月29日(日)に行われたF1第7戦モナコGPの決勝について、レース結果を左右しかねないような走りを行ったドライバーに対して、スチュワードは制裁を科すべきだったと語った。

 現在『F1 TV』のコメンテーターを務めるパーマーは、レース序盤にフェラーリのシャルル・ルクレールを妨害したアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)をそのまま走らせたとして、FIAを批判した。

【F1インタビュー】レッドブルの総合力で掴んだモナコでの勝利「攻め続けたペレスの速さがチームを動かした」と山本氏

 2022年F1第7戦モナコGPでは、レッドブルのセルジオ・ペレスが3番グリッドから逆転で優勝を飾った。モナコGPをメキシコ人ドライバーが制したのはこれが初めてのことだ。マックス・フェルスタッペンも3位に入賞し、モナコでダブル表彰台を獲得したレッドブルについて、現場を訪れていた元ホンダの山本雅史氏は、チームの総合力が求められる場面で「レッドブルはしっかりしていた」と振り返った。