【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第6/7戦】最善を尽くしてもうまくいかないことはある。ガスリーに勝ったのは立派

 2022年、アルファタウリの角田裕毅は、F1での2シーズン目を戦っている。昨年に続き、エディ・エディントン氏が、グランプリウイークエンドを通して角田の動きをくまなくチェックし、豊富な経験をもとに、彼の成長ぶり、あるいはどこに課題があるのかを忌憚なく指摘する。今回は2022年F1第6戦スペインGPと第7戦モナコGPについて語ってもらった。

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 よくあることだ。ベストを尽くして、進歩を遂げ、これまで以上に良い走りをし、ドライバーとしてもひとりの人間としても成長し、正しいことをすべてやっているのに、結果が伴わない。

 そういうとき、フラストレーションを表に出して、プッシュしすぎて、マシンをそのポテンシャル以上に速く走らせようと必死になって、クレイジーな動きをしたりしがちだが、そういうことをするとたいていは大失敗に終わる。

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第7回前編】VF-22の絶対的な速さが向上。ミックは逆境のなかQ3進出を達成

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。シーズン開幕前のプレシーズンテスト以来となるバルセロナ-カタロニア・サーキットでは、ミック・シューマッハーが予選でQ3に進み、予選アタックに課題を抱えるシューマッハーにとって大きな一歩になった。一方ケビン・マグヌッセンは得意のスタートでポジションを上げようとしたものの、他者との接触でダメージを負い後退し、入賞とはならなかった。

 コラム第7回は、前編・後編の2本立てでお届け。前編となる今回は、スペインGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。

F1技術解説:第6戦(3)メルセデスと異なる方向性を選んだ、フェラーリのポーパシング対策

 2022年F1第6戦スペインGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った点などについて解説する。第1回「劇的に速くなったメルセデス。W13に向上をもたらした新フロア」第2回「W13はレッドブルとフェラーリのいいとこ取りに? 悩めるメルセデスが踏み出した大きな一歩」に続く今回は、フェラーリのアップグレードに焦点を当てた。

【全ドライバー独自採点/F1第6戦】不運なルクレールは満点の走り。予選も決勝もチームメイトより速かった角田裕毅

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。

 2022年F1第6戦スペインGPでは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションから余裕でレースをリードしていたが、トラブルでリタイア。ミスを犯しトラブルにも見舞われたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝を飾り、チャンピオンシップでも首位に立った。スペインGPでのそれぞれのドライバーたちの戦いぶりを、バスコンセロス氏が振り返る。

F1技術解説:第6戦(2)W13はレッドブルとフェラーリのいいとこ取りに? 悩めるメルセデスが踏み出した大きな一歩

 2022年F1第6戦スペインGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った点などについて解説する。第1回「劇的に速くなったメルセデス。W13に向上をもたらした新フロア」に続く第2回は、メルセデスのスペインでのパフォーマンスについて分析した。

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 W13の基本コンセプトは、フロアのエッジを高速走行中に変形させてマシン下の空間を完全な密閉状態にし、強大なダウンフォースを生み出すというものだった。しかしそれによってここまで激しいポーパシングが起きることは、メルセデスの開発エンジニアたちにはまったく想定外だった。

F1技術解説:第6戦(1)劇的に速くなったメルセデス。W13に向上をもたらした新フロア

 2022年F1第6戦スペインGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った点などについて解説する。第1回では、復活の兆しを見せたメルセデスが導入したアップグレードに焦点を当てる。

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 バルセロナで、メルセデスの星は輝きを取り戻した。他の星々に取り囲まれる太陽になったとまでは言わない。しかしレッドブルやフェラーリが輝く銀河に、近づいたといえるだろう。

 W13には今回、多くのアップデートが施された。それらを具体的に見ていこう。

メルセデスF1は「調子を取り戻した」とフェラーリ代表。一方トップとの差については“昨年のフェラーリのよう”と語る

 F1第6戦スペインGPでメルセデスはパフォーマンスを復活させて称賛を浴びたが、フェラーリF1のチーム代表であるマッティア・ビノットは、メルセデスのマシンがトップ集団のライバルたちにいまだ大きく差をつけられていると主張している。

 メルセデスはバルセロナでアップグレードパッケージから大きな恩恵を受け、シーズン当初からW13に影響を及ぼしていた慢性的なポーパシングの問題の大部分を、ようやく解決することができた。

ベッテル、F1スペインGP後にバルセロナでバッグを盗まれる。AirPodsを頼りに追跡も試みるも見つからず

 アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルは先日のF1第6戦スペインGP後、宿泊していたホテルの外でクルマの窓から盗まれた私物のバッグを探しに、バルセロナの街に出た。

 泥棒がバッグを持って逃げた後、頭の切れるベッテルはスクーターを借り、iPhoneと、バッグに入っていたAirPodsが発するGPS信号を使って、バッグを追跡しようと試みた。

フェルスタッペンのDRSトラブル、レッドブルF1の軽量化が影響した可能性

 レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、F1スペインGPでマックス・フェルスタッペン車のDRSにトラブルが発生した原因として、マシン重量削減のためのアップデートが影響した可能性があるとコメントした。

 フェルスタッペンは、スペインGP決勝序盤、2番手走行中にコースオフし、その後、4番手から順位を上げていかなければならなかった。しかしDRSに問題があり、作動したりしなかったりを繰り返していたため、フェルスタッペンにとってはバトルが非常に困難なものになった。

パフォーマンス改善に取り組むサインツ。F1-75を乗りこなすには「常識にとらわれずに考えてドライブしなければ」

 カルロス・サインツは、今もフェラーリの2022年型マシン『F1-75』を懸命に理解しようとしており、「敏感な」マシンを走行させるうえでパフォーマンスを改善するには「常識にとらわれないで考える」必要があることを認めている。

 今シーズンこれまでのところ、サインツは常にチームメイトのシャルル・ルクレールに差をつけられており、パフォーマンスをさらに発揮しようとする彼の努力は、しばしばミスやコースアウトへとつながっている。