ますます高まる燃費性能。ドラビリ&アンチラグと背反する3社拮抗のスーパーGTエンジン開発最前線

 2リッターの直列4気筒直噴ターボと燃料流量リストリクターを採用した2014年のNRE(ニッポン・レース・エンジン)規定導入以降、出力でも燃費でも、こと「エンジン性能」という観点では天井知らずの進化が続いてきた。これはモータースポーツの世界がいかに進化の歴史に紐づいているとはいえ、あまり前例のない状況とも言える。

【GT500車両技術詳細・ホンダ編】タイプSへのベースモデル変更で各部の最適化を狙う

 GT-RからZへ、NSXはタイプSへ。新規車種の参戦にともない、空力開発の一部が解禁された。エンジン開発においても、「燃費の良いエンジンがパワー競争も制する」先進的環境のもと、日夜の進化が続く。2022年シーズン、トヨタ、ホンダ、ニッサンの勢力図は大きく動くことが予想される。

 ここでは、メーカーの開発担当者への取材から、今季の主役たる2022年型GT500車両の開発要点に迫ってみたい(取材は開幕前に実施)。前回のトヨタ編に続き、今回はホンダ編をお届けする。

【GT500車両技術詳細・トヨタ編】最高速の“余剰性能”をダウンフォースへ

 GT-RからZへ、NSXはタイプSへ。新規車種の参戦にともない、空力開発の一部が解禁された。エンジン開発においても、「燃費の良いエンジンがパワー競争も制する」先進的環境のもと、日夜の進化が続く。2022年シーズン、トヨタ、ホンダ、ニッサンの勢力図は大きく動くことが予想される。

 ここでは、メーカーの開発担当者への取材から、今季の主役たる2022年型GT500車両の開発要点に迫ってみたい(取材は開幕前に実施)。まずは2021年王者のトヨタからお届けする。

高星の無事に安堵するニスモ松村総監督。新型Zも鬼門の富士の優勝にあと一歩【第2戦富士GT500決勝】

 2022年スーパーGT第2戦、富士スピードウェイで初の試みとなった450kmレースはアクシデントによる2度の赤旗中断が発生するなど、波乱続発の荒れた展開となった。とくに56周目に発生した3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zの高星明誠が見舞われた事故は、その場に居合わせた誰もが凍りつく緊迫の一瞬となる。

【富士最高速チェック:GT500】GRスープラが上位独占もリアライズZが同率トップに/スーパーGT第2戦富士分析

 5月3日、ゴールデンウイーク恒例のスーパーGT第2戦『FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE』の公式予選が開催された。全長1475mという世界有数のホームストレートをもつ開催地、富士スピードウェイで各車のポテンシャルを測るうえで欠かせないのが最高速だ。

2枚刃から4枚刃。3メーカーのフリックボックスを間近でチェック【GT500開発最新事情とアプローチ/第1戦岡山】

 2014年から採用されている現行GT500の空力規定は、フラットボトムを起点にした高さ275mmまでの範囲と前後のホイールハウスを囲むエリアを“デザインライン”として定め、トヨタ、ホンダ、ニッサンの参戦3社合意のもと、空力開発の自由度を維持するべく外観から視認可能な部分のみ開発を許可する方針を採用している。