伝統の24時間併催、WTCR第2戦ニュルが急転直下の開催中止。原因はコントロールタイヤの安全性

 5月28~29日の週末に伝統のニュルブルクリンク24時間レースの併催イベントに組み込まれていたTCR規定ツーリングカー最高峰、WTCR世界ツーリングカー・カップの第2戦は、2回の公式練習と予選セッションを経たレース直前に「開催キャンセル」の決断が下される異常事態に。その主要因は「コントロールタイヤの安全性への懸念によるもの」とされたが、改めて週末の推移を時系列で振り返る。

ジロラミ&グエリエリのホンダ・デュオが1-2達成。移籍のアズコナも初優勝/WTCR開幕戦ポー市街地

 WTCR世界ツーリングカー・カップの2022年シーズンが開幕。5月7~8日にフランスのポー市街地で開催された第1戦では、引き続きネストール・ジロラミ、エステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の“アルゼンチン・エクスプレス”を擁したALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツがポール・トゥ・ウインでのワン・ツー・フィニッシュを達成。続くレース2は、今季よりヒョンデ移籍を決めたミケル・アズコナ(ヒョンデ・エラントラN TCR)が、BRCヒョンデN・スクアドラ・コルセとの初戦で勝利を飾っている。

 WTCRでは初開催となる伝統的ストリートコースでの開幕戦を前にして、このTCR規定を統括するWSCグループは新たなテクニカルアドバイザーを招聘。昨季までヒョンデ・モータースポーツ代表を務めたアンドレア・アダモがWSC技術部門と協力し、TCRのみならず電動シリーズのETCRに向けても、導入可能な新しいテクノロジーについて豊富な経験を元に進言を行うことになった。

アウディ陣営コムトゥユーの陣容確定。コロネル、ベルトン、マグナスに加え、ベナーニが新加入/WTCR

 アウディ陣営トップチームとしてWTCR世界ツーリングカー・カップに参戦するコムトゥユー・レーシングが、2022年のチーム体制を確定。引き続きエースを務めるトム・コロネルを中心に、ナサニエル・ベルトン、ジル・マグナスのアウディスポーツ契約ドライバーに加え、新たにメディ・ベナーニの加入を発表し、2020年のTCRヨーロッパ王者が4台目のアウディRS3 LMSをドライブすることが決まった。

 TCRヨーロッパのプログラムに続き、今季も4台体制で参戦することをアナウンスしたコムトゥユー・レーシングだが、この新ラインアップに関してチームマネージャーを務めるフランソワ・ヴェルビストは「コムトゥユー・レーシングの創設以来、代表のジャン-ミシェル(・ベルト)とともに、ドライバーやパートナーの継続性と忠誠心に、焦点を当てることが私たちの目標だった」と、改めて体制強化への思いを語った。

WTCR、カレンダー再改訂で2戦が代替。チーム・エングストラーはリキモリカラーのシビックを披露

 当初の計画では、この4月にチェコ共和国のアウトドローモ・モストで開幕する予定だった2022年のWTCR世界ツーリングカー・カップは、度重なるカレンダー改訂を強いられてきたが、すでに中止が決定しているロシアのソチ戦と併せて2戦の代替イベント開催地を発表。ツーリングカーにはお馴染みのトラックであるイタリアのバレルンガと、初開催地となるフランスはアノー・デュ・ハンが組み込まれ、これで全10戦のカレンダーが復活した。

 また2022年からホンダ陣営へのスイッチを表明していたドイツの“古豪”チーム・エングストラーは、ティアゴ・モンテイロとアッティラ・タッシが引き続きドライブするFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRの2022年仕様を公開した。チームと長年のタッグを組むオイル潤滑油企業『LIQUI MOLY(リキモリ)』をメインとした新鮮なカラースキームが披露されている。