初のナイトレースはヒョンデが制覇。前戦大破のアウディも復活勝利/TCRオーストラリア第4戦

 5月27~29日にシドニー・モータースポーツパークで開催された2022年TCRオーストラリア・シリーズ第4戦は、初のナイトレースとなったオープニングヒートでジョシュ・バカン(HMOカスタマーレーシング/ヒョンデi30 N TCR)がポール・トゥ・ウインを達成。明けたレース2では前戦バサーストで車両大破の大クラッシュを喫していたジェイ・ハンソン(AWC MPCレーシング/アウディRS3 LMS 2)が復活の勝利を挙げ、最終ヒートはバカンの僚友ネイサン・マルコム(HMOカスタマーレーシング/ヒョンデi30 N TCR)がチームメイトを従えてのワン・ツー・フィニッシュを決めている。

 長年RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで活躍したファビアン・クルサード(スタン・スポーツ・ウォール・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がCOVID-19療養明けの復帰を果たし、会期直前にはTCRの権利所有者であるWSCと2028年までの契約延長を発表するなど、シリーズのさらなる盛り上がりに向け後押しとなるニュースが続いた。

伝統の24時間併催、WTCR第2戦ニュルが急転直下の開催中止。原因はコントロールタイヤの安全性

 5月28~29日の週末に伝統のニュルブルクリンク24時間レースの併催イベントに組み込まれていたTCR規定ツーリングカー最高峰、WTCR世界ツーリングカー・カップの第2戦は、2回の公式練習と予選セッションを経たレース直前に「開催キャンセル」の決断が下される異常事態に。その主要因は「コントロールタイヤの安全性への懸念によるもの」とされたが、改めて週末の推移を時系列で振り返る。

「人生最高のラップ」から、トム・コロネルがポール・トゥ・ウインを達成/TCRヨーロッパ第2戦

 TCR規定ツーリングカーの欧州格式リージョン選手権、2022年TCRヨーロッパ・シリーズ第2戦が5月21~22日に南フランスのポール・リカール・サーキットで開催され、今年50歳を迎えたトム・コロネル(コムトゥユーDHLチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が、予選で「これまでの人生で最高のラップのひとつ」と語り通算9回目のポールポジションを獲得すると、レース1では他を寄せ付けない速さでライト・トゥ・フラッグでの今季初勝利をマーク。リバースグリッドのレース2では今季移籍加入のヴィクトール・ダヴィドフスキー(コムトゥユーPSSチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)がシリーズ初優勝を手にし、アウディ陣営が連勝を飾っている。

 灼熱のトラックで実施された予選は、マット・オモラ(ヤニク・モータースポーツ/ヒョンデ・エラントラN TCR)最速のQ1から、ジャック・ヤング(ハルダー・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がトップに立ったQ2でも秒単位でタイムが改善されると、各車1アタック1発勝負のアタック合戦に。

ジロラミ&グエリエリのホンダ・デュオが1-2達成。移籍のアズコナも初優勝/WTCR開幕戦ポー市街地

 WTCR世界ツーリングカー・カップの2022年シーズンが開幕。5月7~8日にフランスのポー市街地で開催された第1戦では、引き続きネストール・ジロラミ、エステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の“アルゼンチン・エクスプレス”を擁したALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツがポール・トゥ・ウインでのワン・ツー・フィニッシュを達成。続くレース2は、今季よりヒョンデ移籍を決めたミケル・アズコナ(ヒョンデ・エラントラN TCR)が、BRCヒョンデN・スクアドラ・コルセとの初戦で勝利を飾っている。

 WTCRでは初開催となる伝統的ストリートコースでの開幕戦を前にして、このTCR規定を統括するWSCグループは新たなテクニカルアドバイザーを招聘。昨季までヒョンデ・モータースポーツ代表を務めたアンドレア・アダモがWSC技術部門と協力し、TCRのみならず電動シリーズのETCRに向けても、導入可能な新しいテクノロジーについて豊富な経験を元に進言を行うことになった。

ホンダのジャック・ヤング、アウディのフランコ・ジロラミと両移籍組が勝利/TCRヨーロッパ開幕戦

 最高峰となるWTCR世界ツーリングカー・カップに次ぐ、TCR規定ツーリングカーの欧州格式リージョン選手権、TCRヨーロッパ・シリーズの2022年シーズン開幕戦が4月30〜5月1日の週末にポルティマオで開催され、今季よりシリーズ復帰を果たしたハルダー兄妹率いるハルダー・モータースポーツから参戦のジャック・ヤング(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が、オープニングヒートでのチームメイト対決を制してシリーズ初優勝を達成。

 続くレース2は、ホンダ陣営のPSSレーシングからアウディのトップカスタマー、コムトゥユー・レーシング移籍を決めたフランコ・ジロラミ(アウディRS3 LMS 2)が“議論を巻き起こす”勝負の末、移籍初戦での勝利を手にしている。

名門ガリー・ロドリゲスのプジョー308が“聖地”マウントパノラマで2勝/TCRオーストラリア第3戦

 4月15~17日に“聖地”バサーストで開催された2022年TCRオーストラリア・シリーズ第3戦は、名門ガリー・ロドリゲス・モータースポーツから参戦するアーロン・キャメロン(プジョー・スポール・GRMチーム・バルボリン/プジョー308 TCR)が、オープニングと最終ヒートを制してマウントパノラマ2勝を獲得。今季デビューの新鋭ベイリー・スウィーニー(HMOカスタマーレーシング/ヒョンデ[旧ヒュンダイ]i30 N TCR)も、レース2でシリーズ初優勝を挙げている。

 先月の第2戦フィリップアイランドでは、長年RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで活躍したファビアン・クルサード(スタン・スポーツ・ウォール・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がTCR初優勝からの連勝を飾り、この第3戦に向け参戦契約の延長に合意していた。

初挑戦の“アストンマーティンF1アンバサダー”ジェシカ・ホーキンスがTCR UK開幕戦で初優勝

 創設以来最大となる、年間エントリー登録30台を集めたTCR UKの2022年シーズンが開幕。4月16~18日にオールトンパークで争われた2ヒートでは、今季よりBTCCイギリス・ツーリングカー選手権からのスイッチを決めたクリス・スマイリー(リスタート・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)と、アストンマーティンF1チームのアンバサダーも務めるジェシカ・ホーキンス(エリア・モータースポーツ・ウィズ・ファストR/セアト・クプラTCR)がシリーズ初参戦で初優勝を飾っている。

 2018年に創設され、以降の3年間はツーリングカー・トロフィーと名称を変えるなど、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響も受け、一時は1桁台の参戦台数に落ち込む存続の危機にさらされたシリーズは、ふたたびTCR UKのシリーズ名を採用する2022年に向け、史上最大のグリッド台数を集める活況を見せている。

コロネルを軸にジロラミら加入のコムトゥユーは3台体制へ。オリオラも古巣復帰/TCRヨーロッパ

 リージョン選手権最高峰となるTCRヨーロッパ・シリーズの2022年シーズンに向け、参戦チームの陣容が続々と確定。アウディ陣営として参戦するコムトゥユー・レーシングは、第2世代RS3 LMSへのスイッチと併せて50歳を迎えたトム・コロネルの継続起用を発表し、昨季はホンダ陣営のPSSレーシングから参戦したフランコ・ジロラミ、ヴィクトール・ダビドフスキー両名の移籍加入をアナウンスした。

 また2021年にシリーズデビューを飾ったマット・オモラは、引き続きヤニク・モータースポーツからのエントリーながら、旧型となるヒョンデ(ヒュンダイ)i30 N TCRからエラントラN TCRへのスイッチを決定。さらに創設初年度のTCRサウスアメリカ・シリーズで初代王者に輝いたぺぺ・オリオラは、古巣ブルタル・フィッシュ・レーシングチームと再契約を結び、名門ターゲット・コンペティションは2019年にともにタイトルを獲得したジョシュ・ファイルズを招集するなど、強力なエントリーリストが明らかになった。

WTCR、カレンダー再改訂で2戦が代替。チーム・エングストラーはリキモリカラーのシビックを披露

 当初の計画では、この4月にチェコ共和国のアウトドローモ・モストで開幕する予定だった2022年のWTCR世界ツーリングカー・カップは、度重なるカレンダー改訂を強いられてきたが、すでに中止が決定しているロシアのソチ戦と併せて2戦の代替イベント開催地を発表。ツーリングカーにはお馴染みのトラックであるイタリアのバレルンガと、初開催地となるフランスはアノー・デュ・ハンが組み込まれ、これで全10戦のカレンダーが復活した。

 また2022年からホンダ陣営へのスイッチを表明していたドイツの“古豪”チーム・エングストラーは、ティアゴ・モンテイロとアッティラ・タッシが引き続きドライブするFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRの2022年仕様を公開した。チームと長年のタッグを組むオイル潤滑油企業『LIQUI MOLY(リキモリ)』をメインとした新鮮なカラースキームが披露されている。