メルセデスは、W13のアップグレードを行うべく、ブラックリーのファクトリーで準備を進めている。次戦マイアミGP、あるいはその次のスペインGPにアップデートを導入し、その後にチームは大きな決断を行うことになるかもしれない。
チーム代表トト・ウォルフは、エミリア・ロマーニャGPの週末、現在のマシンコンセプトからは期待していた成果は見られていないが、コンセプトに関して基本的な変更を行うと決める前に時間をかける必要があると語った。
「我々は、今利用しているサイエンスは、車高を下げて走ることに役立つと、強く信じている。そうなれば、空力面で状況が良くなる。だが、我々の場合、マシンのボトミングの影響で、そういった優れた空力パフォーマンスを引き出すことができずにいる」
「その問題を解決できれば、大幅にラップタイムを改善することができる。解決できなければ、他のアイデアが必要になるだろう」
W13が、実際のコース上では、風洞やCFDシミュレーションで見られるダウンフォースを示せないことについて、ウォルフ代表はこう語った。
「すべてのことに影を投げかけている基本的な問題は、我々のマシンのポーパシングが他チームのマシンよりひどいことだ。バウンシングがひどいことで、本来の状態でマシンを走らせることができない。それがセットアップ、タイヤのグリップなどさまざまな面に大きな影響をおよぼしている」
「ひとつの問題が他の問題と連動している。ポーパシングを解決できれば、マシンの車高を適切なレベルに下げることができる。そうすれば、はるかに優れたマシンパフォーマンスを発揮することができるだろう」
ポーパシングを抑えるために車高を上げる必要があるため、W13のグランドエフェクトのレベルは、チームが予想していたものとはかけ離れていると、ウォルフは言う。当然のことながら、ダウンフォース不足により、コーナーでのラップタイムを損なう結果になっており、ストレートでは車高が高ければドラッグが増えるため、直線スピードにも影響している。
ウォルフ代表は、現在計画しているアップグレードが、状況を大きく変えるような特効薬になるとの確信は持っていない。
「問題を解決できない場合、まだ選んでいない、より標準的な開発の方向性がある。それを選ぶかどうかを決めるのに、時間をかけたいと考えている。バジェットキャップはまだ問題になっていない。コンセプトを変更していないからだ。今はこの細いボディを維持している。他のことをするなら、コストキャップの面で厳しくなるかもしれない」
大規模なアップグレードがスペインGPに向けて準備中であると考えられてきたが、最近、チームのトラックサイド・エンジニアリング・ディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、早ければ次戦マイアミGPに新パーツを持ち込む可能性があると発言した。彼はまた、開発作業において明るい兆しが見え始めているとも述べている。
「我々は前に進んでおり、学習を重ねつつある。できればすぐに、それはマイアミかもしれないが、マシンパーツを導入し始めたい。それによって、我々が正しい方向に進んでいるのかどうかが分かるかもしれない」とショブリンは、メルセデスが公開した動画のなかで語った。
「現実的な話として、(ポーパシングの)問題全体が解消されるような大きな瞬間があるわけではなく、段階を踏んで前に進んでいくことになると思う。だが、明るい兆しが見えてきている」
「早い段階でマシンに新パーツを持ち込みたいと考えている。それはマイアミかもしれない。そこでこの問題について進展が見られることを期待している」
チームの関係者によると、現在進められているアップグレードが期待どおり機能すれば、メルセデスは今後もW13の開発を進め、レッドブルやフェラーリと戦える位置に戻ることを目指すという。しかし期待したように機能しなかった場合は、コンストラクターズ選手権3位を確保できると信じて、今シーズンはほぼアップデートを入れず、すべてのリソースを2023年型W14の設計と開発に注ぐことになるかもしれないということだ。