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 F1第6戦スペインGP初日、フリー走行1回目でマックス・フェルスタッペンとともにレッドブルのマシンを走らせたのは、チームメイトのセルジオ・ペレスではなく、レッドブルのジュニアドライバー、ユーリ・ビップスだった。

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ユーリ・ビップス(左)とマックス・フェルスタッペン(右)

 これはペレスに何か不具合があったわけではなく、今年のF1のスポーティングレギュレーションで、「チームはシーズン中に最低2回、若手ドライバーを起用しなければならない」と若手育成のために新たに義務付けられたからだ。この日、バルセロナではウイリアムズがアレクサンダー・アルボンに代わりにニック・デ・フリースを起用していた。

 ビップスは21歳のエストニア人ドライバーで、2018年からレッドブル・ジュニア・チームに所属。昨年は最終戦直後のアブダビテストでF1マシンを走らせている。今シーズンはFIA F2選手権に参戦し、ドライバーズランキングで8位につけている。

 シーズン中に最低2回義務付けられている若手ドライバーの起用を、レッドブルはなぜ今回にしたのか。考えられる理由は3つある。

 まず、ビップス側の事情だ。現在F2に参戦しているビップスは、レッドブルのマシンを走らせるか否かにかかわらず、スペインGPが行われるバルセロナに来ることは予定していた。つまり、ビップスにとって、自分の予定を崩すことなく、F1のセッションにカーナンバー36をつけて、参加できたのである。

「最初にグランプリの週末にF1を走らせると知らされたとき、カートを始めたときに夢を描いていたことを思い出した。でも、実際に参加すると、そんなことを思い出す暇はなく、すごく忙しいセッションで、1時間があっという間だった。今日の僕の仕事は空力のデータを取ることだったので、プッシュする予定はなかった」というビップスは20番手に終わったが、マシンにダメージを与えることなく、しっかりと仕事をこなした。

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スペインGPのFP1に出走したビップス

 次にペレス側の事情だ。フリー走行は1時間のセッションが3回しかない。しかも、金曜日の夜には土曜日以降のセッティングを決めなくてはならないため、そのための練習走行は金曜日の2回だけ。そのうちの1回を譲るのは、なんらかのハンディとなる。

 しかし、レギュレーションでシーズン中に最低2回はシートを若手に譲らなければならない。だとしたら、最も走り慣れているバルセロナが好都合だった。

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フリー走行1回目の後、ビップス用のマシンからペレス用に変更するメカニックたち

「レースだけでなく、プレシーズンテストでバルセロナのコースをよく走っているので、問題はない」(ペレス)

 そして、3つ目がチーム側の事情だ。もし、レッドブルがバルセロナに大きなアップデートパーツを持ち込んでいれば、レースドライバーのフィードバックが必要となっただろう。また新しいパーツを投入すれば、セットアップもそれまでとは異なるため、レースドライバーは少しでも多く周回したいはず。しかし、今回、レッドブルはバルセロナに大きなアップデートを持ち込んでいないため、チームにとっても若手を起用するのに好都合だった。

 ペレスは言う。

「ユーリにとっていい経験となったと思う。彼はチームのために重要な仕事をしてくれたよ」

 スペインGP初日、5番手(フェルスタッペン)と7番手(ペレス)に終わったレッドブル。セットアップを変更して臨む土曜日に期待したい。