ハースF1のケビン・マグヌッセンとギュンター・シュタイナー代表が、NASCARマシンでの同乗走行に挑戦。シュタイナーを怖がらせ、日頃の鬱憤を晴らしたいマグヌッセンだったが、彼のボスはさらに一枚上手だったようだ。
F1第5戦マイアミGPを終え、NASCARの聖地シャーロット・モータースピードウェイにやってきたハース御一行。兄弟チーム、スチュワート-ハース・レーシングの面々とともにNASCARマシンでの走行を楽しんだマグヌッセンは、最後にもうひとつ大きな仕事に取り組んだ。それは彼のボスであるシュタイナー代表を助手席に乗せての同乗走行だ。
このビッグイベントを前に「想像するだけで楽しいね。いくつかの理由からね」と不敵な笑みを浮かべるマグヌッセン。彼の不穏な空気を察知したのか、マシンに乗り込んだシュタイナーは、運転席で沈黙を貫くマグヌッセンに「これは週末に私が(ピー音)をしたことへの仕返しか?」と問いかける。
マグヌッセンはマイアミGPのチェッカー目前で他者と接触し、リタイアを喫した。そのあとハースのピットで何があったのかはさておき、彼にとっては楽しい復讐(?)の時間の始まりだ。
V8エンジンを唸らせてフォード・マスタングをコースインさせたマグヌッセンは、ウォールをかすめるような走りで大サービス。左回りのオーバルコースにおいてウォールに近いのは、もちろんボスが座る助手席側だ。
車内のシュタイナーは笑顔こそ崩さないものの、いつもの饒舌は鳴りを潜め、パッタリと口を利かなくなってしまった。NASCARでのドライブを満喫しているのか、それとも恐怖のあまり話す余裕さえなくなってしまったのか。よくみればその笑顔も、単に顔が引きつってしまっているだけのようにもみえる。
楽しい時間はあっという間に終わり、ピットに戻ってきたふたり。なんとか同乗走行を耐え抜いたシュタイナーは、また息を吹き返したように皮肉まじりに話し始める。「最高にクールだったよ、本当にありがとう。しかもクラッシュしなかったな。素晴らしいよ。ハッハッハ。今のは笑うところだぞ」
シュタイナーのさらなる反撃に対して、ヘルメットからのぞくマグヌッセンの目は笑っていなかった。もしかすると、彼は後悔しているのかもしれない。「ああ、もっと怖がらせてやればよかった」と。
■動画はこちら(Formula1.com『Kevin Magnussen drives the boss around a NASCAR Speedway』)