もっと詳しく

 ケビン・マグヌッセンとミック・シューマッハーのハースF1コンビが、チームの本拠地アメリカでNASCARをドライブ。これまでに培ったテクニックが全く通用しないストックカーに悪戦苦闘したふたりは、F1とはまったく異なるモータースポーツのもうひとつの世界を満喫したようだ。

 F1で唯一のアメリカ国籍チームであるハースは、本国でもスチュワート-ハース・レーシングの名でNASCARを戦う強豪として知られている。今回この2チームによるコラボが実現し、F1第5戦マイアミGPのためにアメリカを訪れていたマグヌッセンとシューマッハーは、ここでアメリカン・モータースポーツの洗礼を受けることになった。

 ふたりがやってきたのは、NASCARの聖地シャーロット・モータースピードウェイ。「少し怖いね」と緊張気味の彼らは、手始めに14号車チェイス・ブリスコーの助手席で同乗走行を体験すると、いよいよ自らの手でフォード・マスタングを走らせた。

 ともにモータースポーツの最高峰にありながら、対極ともいえる存在のF1とNASCAR。5.8リッターV8エンジンがもたらす強大なトルクとウォールをかすめるようなドライビングは、ふたりにとって一種のカルチャーショックとなったようだ。

 バンクではアクセルを全開にすることができず、シケインは4回中3回曲がりきれずに直進したというマグヌッセンは、走行を終えての感想を興奮気味に語る。

「NASCARをドライブすると、これまで一度もレーシングカーに乗ったことがないような気分になる」

「(NASCARのマシンは)ぜんぜん違うんだ。F1よりもずっと重いし、ダウンフォースもない。ブレーキなんてブレーキング用に作られていないみたいだよ!」

 マシン、コース、走らせ方の違いに、マグヌッセンの言葉を借りれば「ドライビングを最初から学び直すような体験」となったふたりだが、それに打ちひしがれるような様子は一切なかった。彼らは現役ドライバーに教えを請いながら幾度となく「楽しい!」と叫び、大陸のモータースポーツを満喫したようだ。

 ここでふたりの名誉のために言っておくと、彼らのドライビングは決して悪いものではなく、むしろ現役NASCARドライバーを驚かせるほどのものだった。

 41号車コール・カスターは「1周目からウォールに飛び込んでいくような肝っ玉のデカさに驚いたよ!」と称賛。さらにブリスコーも「わずか数周で僕らの2~3秒落ちのペースで走っていたんだ」と彼らの適応力に驚いたことを明かし、将来のNASCAR参戦にもお墨付きを与えた。

 NASCARといえば、カップシリーズへのキミ・ライコネンのスポット参戦が発表されたばかり。彼に続き、マグヌッセンとシューマッハーの勇姿がアメリカで見られる日がいつか来るかもしれない。

■動画はこちら(Formula1.com『Kevin Magnussen and Mick Schumacher swap F1 for NASCAR』)

NASCARをドライブするケビン・マグヌッセン(ハース)
NASCARをドライブするケビン・マグヌッセン(ハース)
NASCARをドライブするミック・シューマッハー(ハース)
NASCARをドライブするミック・シューマッハー(ハース)
ハースはNASCARでも『スチュワート-ハース・レーシング』として活躍
ハースはNASCARでも『スチュワート-ハース・レーシング』として活躍