初開催のF1マイアミGPの決勝レース、最大のハイライトは9周目のメインストレートでの攻防だった。
8周目の17コーナーを立ち上がって、トップを走るシャルル・ルクレール(フェラーリ)のスリップストリームに入ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。その後、DRS作動区間に入った2台のギャップはさらに詰まり、テール・トゥ・ノーズの戦いとなった。
ここで通常であれば、前を走るルクレールはフェルスタッペンにオーバーテイクされないようブロックラインとなるイン側に走行ラインを変えるのだが、ルクレールはそうはしなかった。その理由をルクレールはこう説明した。
「金曜日の2回のフリー走行と土曜日のフリー走行3回目でも、1コーナーのイン側のグリップは最悪だったからね」
そこでルクレールはメインストレートで走行ラインより1本内側を走り、仕掛けてきたフェルスタッペンにかなり内側を走らせる作戦に出た。
最終コーナーを立ち上がって、メインストレートに出ようとした瞬間、ルクレールのアウト側にもスペースはあった。したがって、フェルスタッペンにはアウト側かイン側か、選択肢はふたつあった。
「どっちが正しいかなんて、わからない。シャルルが当たる可能性もあったし、僕にもチャンスはあった。いずれにしても、大切なことは僕たちはものすごいスピードで走っているから、ミリ秒単位で判断しなければならないということさ」(フェルスタッペン)
果たして、フェルスタッペンが採った戦略は、イン側だった。
ルクレールにしてみれば、うまく罠にはめたはずだった。一度はインを差されるものの、グリップの低いイン側でブレーキングしなければならないフェルスタッペンは、1コーナーで止まりきれずにオーバーランするはず。ルクレールはクロスラインで抜き返す予定でいた。
ところが、フェルスタッペンは少しラインを外したものの、オーバーランすることなく、1コーナーを立ち上がっていった。
「マックスにあれほどのグリップがあるとは思っていなかった」とルクレール。
一方、フェルスタッペンは「今回はうまくいった」と笑った。
これで、エミリア・ロマーニャGPに続いて連勝したフェルスタッペンは、チャンピオンシップでリーダーに立つルクレールとの差を8点縮め、19点差にした。