6月5日、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの2022年シーズン第4戦ポール・リカール1000kmの決勝レースがフランス、ポール・リカール・サーキットで開催され、アイアン・リンクスの71号車フェラーリ488 GT3エボ(ダニエル・セラ/ダビデ・リゴン/アントニオ・フォコ組)が優勝した。
シリーズのハイライトであるスパ24時間の“前哨戦”である今戦を制した71号車フェラーリはポールポジションからのスタート後、序盤はポジションを落とすことになったが、それを跳ね返し6時間レースの終盤2時間を支配した。
そして最終的にはフォコのドライブで、ジェームス・カラド/ニクラス・ニールセン/ミゲル・モリーナ組の姉妹車51号車フェラーリ488 GT3エボよりも7.8秒早くトップチェッカーを受けている。
このレースを制した71号車はクリーンなレースを展開したが、主だったライバルの何台かはアクシデントに見舞われた。その中には、AMGチーム・アコーディスASPの88号車メルセデスAMG GT3やチームWRTの32号車アウディR8 LMSエボIIなどが含まれ、前者は4時間目に2度のストップ・ホールド・ペナルティ(合計15秒)を受けた。また、王者32号車は5時間目にマッドパンダ・モータースポーツの90号車メルセデスAMG GT3との接触後、戦列を離れている。
エミル・フレイ・レーシングの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボも、最後の1時間にオレンジボールが提示され、ピットでパンクに起因するリアライトを修理したために順位を落とした。今戦ではエミル・フレイの3台のランボルギーニと一部のアウディ勢はつねに左リヤタイヤに問題を抱えていた。
ポールポジションからスタートした71号車のセラは最初の数周をコントロールしていたが、予選2番手のダイナミック・モータースポーツ54号車ポルシェ911 GT3 Rにオーバーテイクを許すと、4番手から順位を上げてきた88号車メルセデスと5番手スタートの63号車ランボルギーニにも交わされてしまう。
■中盤のオーバーカットで首位奪還
63号車のマルコ・ボルトロッティはその後54号車を交わし、最初のピットストップを前に首位に浮上した。しかし、ピットアウト後はダブルスティントを選択した88号車のファラフェル・マルチェッロが先行。63号車ランボルギーニ、54号車ポルシェ、71号車フェラーリが続く展開となる。
そんななか54号車は目の前でスピンしたマシンと接触したことでダメージを負い、レースからリタイアすることに。これにより71号車が3番手に浮上した。
エミル・フレイの14号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボのクラッシュによるセーフティカーラン後に接近したトップ3台だが、その後は膠着状態となる。これを打開したのはアイアン・リンクスだった。71号車フェラーリは、リゴンの強力なラップタイムによってアコーディスASPとエミル・フレイをオーバーカットで逆転する。
ここからは71号車がレースをコントロールし最後まで順位を守って見事、ポール・トゥ・ウインを達成した。
対するライバルたちは前述のペナルティやアクシデントで順位を下げてしまう。その後2番手に戻ってきた88号車メルセデスだったが、終盤のリスタート直後にモリーナ駆る51号車フェラーリに交わされ3番手に後退。表彰台を確保したものの0.839秒差で2位に届かずフェラーリ勢にワン・ツー・フィニッシュを許すこととなった。
トップ3からやや間を開けてローヴェ・レーシングのBMW M4 GT3が4位入賞。5位にはバレンティーノ・ロッシを擁するチームWRTの46号車アウディR8 LMSエボIIが入り、その後ろ6位に63号車ランボルギーニがつけた。
シルバーカップは、総合7位となったアル・マナー・レーシング・バイ・HRTの777号車メルセデスAMG GT3(アクシル・ジェフリーズ/アル・ファイサル・アル・ズバイル/ファビアン・シラー組)がクラスウイナーに。根本悠生を擁し同クラスにエントリーしているVSRの563号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボは、車両トラブルの影響でスタート前にリタイアとなった。
ゴールドカップに参戦している富田竜一郎のチームWRT33号車アウディR8 LMSエボIIは総合18位でフィニッシュしクラス3位となった。同クラスのウイナーは、総合9位に入ったインセプション・レーシングの7号車マクラーレン720S GT3(オリー・ミルロイ/ブレンダン・イリーブ/フレデリック・シャンドルフ)だ。
GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの次戦第5戦ザントフールトは6月17~18日に開催。F1オランダGPのグランプリコースが舞台となる1戦は、スプリントカップの今季第3ラウンドとなる。