2022年F1第6戦スペインGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った点などについて解説する。第1回では、復活の兆しを見せたメルセデスが導入したアップグレードに焦点を当てる。
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バルセロナで、メルセデスの星は輝きを取り戻した。他の星々に取り囲まれる太陽になったとまでは言わない。しかしレッドブルやフェラーリが輝く銀河に、近づいたといえるだろう。
W13には今回、多くのアップデートが施された。それらを具体的に見ていこう。
まずマシン前部では、マイアミですでに形状変更されていたフロントウイングに、内向きの翼端板が追加された(青色矢印)。ブレーキダクトへの空気の流れを改善するためだ。
そしてマシンリヤでは、ホイールデフレクターのデザインが変更され、ダウンフォースが少し増加し、ディフューザーの働きを最適化することができるようになった(黄色矢印)。
また、アルファロメオやマクラーレン、バルセロナ以前のフェラーリのように、フラットボトムの端にスロットが加えられ(下写真の黄色矢印)、アンダーボディを支えるストラットが後ろに移動している(青色矢印)。この2点が、今回の新パッケージの肝である。
さらにドライバーの下にあるスプリッターを囲むフィンは、アンダーボディの機能を向上させ、フラットな底面の下に小さな支えと渦を発生させるために追加されたもので、これも他チームからヒントを得た進化である。
メルセデスはスペインGP前週の水曜日、ポール・リカール・サーキットでプロモーション撮影を実施、その際に改良マシンの短時間のテストを行った。フィルミングデーではコース上の他のクルマに邪魔されることなく詳細な計測ができる。フェラーリも、その前週の金曜日にモンツァで撮影を行っていた。
W13で特に問題となっていたポーパシング(激しい縦揺れ現象)は、完全になくなったわけではない。しかしストレートではなく、コーナーの手前(3コーナーと9コーナー)で発生するようになったことで、パフォーマンスへの影響は受けにくくなった。
「一歩前進したことは間違いない」と、テクニカルディレクターのマイク・エリオットは言う。
「クルマの安定性が格段に向上し、期待どおりの挙動を示すようになった。理想に近い地上高で走れるようになった」
(第2回に続く)