モンテカルロ市街地サーキットは、ピットとパドックが離れているため、予選を終えたドライバーがピットからパドックにあるミックスゾーンに来るには、ラスカス・コーナー手前に架かるブリッジを上り下りし、メディアセンターが入っているビルの下をしばらく歩かなければならない。
F1第6戦モナコGPの予選を11番手で終えた角田裕毅(アルファタウリ)。彼がミックスゾーンにやってきたときには、すでにQ3が始まっていたから、Q2が終了してから10分近く移動に時間を要したことになる。その足取りが重かったように見えたのは、Q2で10番手だったフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)との差が0.109秒だったことだけが理由ではないことは、この後の角田とのやりとりで知ることになる。
フリー走行3回目を11番手で終えていた角田。しかし、マシンのフィーリングは決して悪くなかった。
「フリー走行3回目のベストラップはかなり早い段階で出したものだったので、その後、路面コンディションがよくなっていたことを考えると、まだコンマ数秒は縮められる自信がありました」と角田は予選へ向けて手応えをつかんでいた。
「正直Q3に行けると思っていたし、そのペースもあった」という角田。しかし、Q1の2セット目のタイヤでのアタックで、シケインのイン側のガードレールに左フロントタイヤをヒット。左フロントタイヤをパンクさせた角田はそのままピットイン。コースにデブリが散乱したため、セッションはここで赤旗となる。
この時点で、角田もチームメイトのピエール・ガスリーもQ1を通過するのに十分なタイムを記録していなかった。そのため、Q2進出をかけて、赤旗再開後にもう一度コースインするが、ほかの多くのドライバーたちもコースインしたため、アルファタウリの2台は隊列の後方となった。
それでも、角田はなんとかチェッカーフラッグ前にコントロールラインを通過してタイムアタックに入ることができたが、ガスリーは1秒間に合わずに最後のタイムアタックができず、ライバル勢が自己ベストを更新するなか、17番手に終わった。
「僕のせいでチームメイトのピエールが赤旗後のアタックで時間切れできちんとしたタイムアタックができないままQ1で脱落してしまった。チームメイトとチームに対して本当に申し訳ないと思っています」
そう語ると、角田は重い足取りでミックスゾーンを離れ、ピットへ帰っていった。