角田裕毅(アルファタウリ)が、F1第7戦モナコGPの初日のセッション終了後に、スチュワード(審議委員)に召喚された。
問題となったのは、フリー走行2回目のセッション中盤にケビン・マグヌッセン(ハース)のアタックを妨害した件についてだ。
アウトラップ中だった角田は、アタックラップに入っていたマグヌッセンが近づいているという無線を聞いたとき、トンネルを通過していた。後ろとの距離を知らされた角田は、ヌーベルシケインまでに譲るのは無理を考えたのだろう。シケインを通過した後に譲るつもりで、シケインを通過。しかし、ちょうどそのタイミングでマグヌッセンが接近し、ブレーキングに入っていた。イン側に角田がいたため、マグヌッセンはアタックをやめ、シケインを直進した。
じつは角田とマグヌッセンは、フリー走行1回目でも進路に関して、行き違いがあった。
「ターン10(シケイン)で、譲ろうとしたのに彼が後ろに留まったので、今回(フリー走行2回目)はシケインまでプッシュして、シケインの後のターン11で前に行かせようとしたんです」
そう角田はセッション後に答え、スチュワードの元へチームマネージャーとともに向かった。
十数分後にコントロールタワーから出てきたマグヌッセンと角田。先に出てきたマグヌッセンと、後から出てきた角田。この時点ではまだスチュワードの決定は出ていなかったが、その表情に答えはすでに出ていた。満面の笑みのマグヌッセンと横に首を振りながらうつむきながら開く角田。
その十数分後、スチュワードは、角田に対して戒告処分を科した。理由は以下の通りだ。
「角田は十分な警告を何度も受けていたにも関わらず、ターン10に進入する際にレーシングライン上に留まることを選択したことは明らかだった。そのため、マグヌッセンはシケインを通過するという回避行動を取らざるを得なかった。フリー走行中の妨害行為に対してペナルティを科すことは一般的ではないが、今回の行為は十分重大だった」
この裁定に対して、インターナショナル・スポーティング・コード第15条およびFIA司法規則第4章に基づき、チームは異議を申し立てる権利を有する。
裁定後、アルファタウリのチームマネージャーが「角田が妨害してしまった」ということを認めているところを見ると、今後チームが異議申し立てを行うことはないと考えられる。
今回の戒告処分がこのまま決定すれば、角田の戒告処分は、今季4度目となる。レギュレーションでは「1シーズンで5回の戒告を受けたドライバーは、5回目の戒告を受けたグランプリで、10グリッド降格のペナルティを受ける」と定められている。
その場合、5回の戒告処分のうち、少なくとも4回はドライビングに関連する違反である必要があるが、角田が今年これまで受けた4度の戒告は、いずれもドライビングに関連するもの。つまり、5回目の戒告がドライビングであればもちろん、国歌斉唱に遅刻するなど、ドライビング以外のものであっても、そのレースで10グリッド降格を受けることになってしまった。