TCR規定ツーリングカーの欧州格式リージョン選手権、2022年TCRヨーロッパ・シリーズ第2戦が5月21~22日に南フランスのポール・リカール・サーキットで開催され、今年50歳を迎えたトム・コロネル(コムトゥユーDHLチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が、予選で「これまでの人生で最高のラップのひとつ」と語り通算9回目のポールポジションを獲得すると、レース1では他を寄せ付けない速さでライト・トゥ・フラッグでの今季初勝利をマーク。リバースグリッドのレース2では今季移籍加入のヴィクトール・ダヴィドフスキー(コムトゥユーPSSチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)がシリーズ初優勝を手にし、アウディ陣営が連勝を飾っている。
灼熱のトラックで実施された予選は、マット・オモラ(ヤニク・モータースポーツ/ヒョンデ・エラントラN TCR)最速のQ1から、ジャック・ヤング(ハルダー・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がトップに立ったQ2でも秒単位でタイムが改善されると、各車1アタック1発勝負のアタック合戦に。
そこで完璧なフライングラップを決めたのは大ベテランのコロネルで、フェリーチェ・ジェルミニ(ターゲット・コンペティション/ヒョンデ・エラントラN TCR)に対し0.252秒差をつけ、2021年開幕戦スロバキアリンク以来の予選最前列を獲得した。
「リヤに装着したニュータイヤが奏功した。高速コーナーでは『どうなってんだ!?』ってぐらい路面に喰いついてくれたよ(笑)。僕の人生で最高のラップのひとつだったと思うし、あまりにも久々の感覚で予選が終わってすぐ(妻の)ポーリンに電話を入れたほどさ」と、喜びを表現したコロネル。
「2回ほど走路外走行でタイムが抹消されたときは思わず“Fワード”が口をついたけど、高速コーナーが多いここではアウディが適していると思う。開幕のポーでは貧弱なトラクションで苦労したからね(笑)。もちろん、決勝向けのキャンバーでこれほど積極的になることはできないが、高速コーナーでのバランスは僕にとって“メガ”だったよ』
■レース2でもアウディが速さをみせ、ガブリロフが自身初優勝を飾る
すると日曜レース1はコロネルの予想どおりスタートからヒョンデを引き離し、最大2.4秒ものマージンを構築。終盤には新たな僚友となるフランコ・ジロラミ(コムトゥユーPSSチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が背後に迫ったものの、0.798秒差でコントロールしてチェッカー。コロネルは今季初勝利を挙げるとともに、コムトゥユー陣営がワン・ツー・フィニッシュを決めてみせた。
「最初の数周はヒョンデに対してプッシュしなければと思っていた。でもタイヤの匂いがして少し煙が出始めたから、その後はマネジメントに徹したよ」と勝者コロネル。
「良いコントロールだったし、クルマはとてもとてもドライブがイージーだった。完璧な感触で、すべてが制御下にあるのは最高だ。冬の間も多大な努力を払ってきたし、僕が家にいないことで問題が発生することもある(笑)。でもそれもすべて勝利で帳消しだ。まさに『Winner takes it all』だよ!」
続くレース2もアウディの速さは衰えず、リバースポールから発進したダヴィドフスキーが、クリム・ガブリロフ(ボルケーノ・モータースポーツ/クプラ・レオン・コンペティションTCR)とぺぺ・オリオラ(ブルタル・フィッシュ・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)を従え、参戦46戦目にして自身初のシリーズ初優勝を達成。
前ヒートから電装系トラブルを抱えていたシリーズ復帰の元王者ジョシュ・ファイルズ(ターゲット・コンペティション/ヒョンデ・エラントラN TCR)は、左フロントのボディワークがタイヤに接触する不具合で後退し、ハルダー兄妹率いるハルダー・モータースポーツの2台はエンジン換装ペナルティで最後尾に回り、ポイント獲得はならず。
この週末2位と4位に入った勝者ダヴィドフスキーの“ドライビングコーチ”も務めるジロラミが選手権首位の座を固めたTCRヨーロッパ・シリーズ。続く第3戦は6月18~19日にベルギーのスパ・フランコルシャンで争われる。