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 鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラ第3戦予選。ランキングリーダーの野尻智紀(TEAM MUGEN)がここ鈴鹿でも速さを発揮してポールポジションを奪った一方、開幕ラウンドの富士で野尻と勝利を分けあった平川亮(carenex TEAM IMPUL)は予選12番手と低迷し、明暗が分かれる結果となった。

 予選後、複雑な表情を浮かべながらミックスゾーンに現れた平川、そしてQ1を落ちを喫したチームメイトの関口雄飛に、混迷の現状を聞いた。

 平川は「3月の鈴鹿のテストから、あまりいい感触はありませんでした」と語る。

 朝のプラクティスから予選に向けてはセットアップにさまざまな変更を加え、Q1は「いつもなら、普通に通る感じ」で終えたが、結果はぎりぎりの6番手通過。Q1からQ2にかけてのアジャストも平川のフィーリングとしては成功し「Q2はさらに良くなった感触があった」ものの、その手応えとは裏腹に順位はQ2進出車両の最下位となる12番手に甘んじた。

 平川によれば、マシンの感触が「いつもどおりではない」のだという。

「何かずれているというか……。タイヤが関係しているのかなという気もしていますが、あの状況でコンマ8秒も(トップから)離されてしまった。(1分)36秒台は見えない、というのが現状ですね」

「明日(の予報)は雨なので、(中団での走行になると)水しぶきとか、なかなか難しい状況なので、明日はスタートしかないと思うんですけどね……」と話す平川の表情は心ここにあらずといった風情に見え、ことの深刻さを窺わせた。

■平川車のセットアップを採り入れた関口

 一方、今季ずっとアンダーステアに悩まされてきた関口。朝のプラクティスの走り出しは、「可もなく不可もなくだった」というが、「そこからバランスを煮詰めきれませんでした」と振り返る。

 関口は「富士と同じように、程度のいいタイヤを履いたときに自己ベストを更新できなかった」といい、結局はアンダーステア症状を消せずにいた。

 午後の予選に向けては、セットアップを大幅に変更。車高や足回りに平川車の要素を取り入れ、ぶっつけ本番で予選Q1に臨んだという。

「20(号車)は今年ずっとオーバー、オーバーって言っていたのですが、自分でもそれを取り入れてみたら、いきなりオーバーになってしまって……。判断が難しいですね。完全に、悪い方向にハマってますね(苦笑)」

 平川は今季新しくなったリヤタイヤの影響も頭の片隅に置いているようだが、関口は「それは関係ないっすね」とキッパリ否定する。

「去年自分はずっとオーバーで苦しんでいて、今年になってからアンダーが厳しかったので、タイヤかなとも思ったんですが、今日クルマを変えてみたらオーバーになったので、タイヤの影響ではない」

 じつはインパルとしても、「鈴鹿は不得意」という認識を持っているといい、富士で平川が見せた好スタートの勢いは続かないとの想定のもと、この週末に臨んでいた。

「うちの持っているセッティングが、簡単に言うなら硬いのか柔らかいのか、そのベース自体が、鈴鹿のいいところを突けていない」と語るのは高橋紳一郎工場長だ。

「だから12月のルーキーテストから、これまでとは異なる方向性はいろいろと試していたんだけど、結局それもいまいちで、うちのスタンダードの仕様に戻ってしまっている。本当は苦手を作ってはいけないんだけどね、チャンピオンシップも厳しくなるし、流れも悪くなるし……」

 今季は最終戦も2レース制の鈴鹿。現状、隙を見せないTEAM MUGENを相手にチャンピオンシップを戦うことを考えても、あと2回ある鈴鹿に向けて、なんとか明日のレースで手がかりをつかみたいところだろう。

「もう戦略も何もない。目先の問題をとりあえず修正して、1ポイントでも多く獲って、ダメージを最小限にしたい。仕方ないので、(明日は)耐えて、耐えて……頑張ります」(関口)

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)
2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)