リージョン選手権最高峰となるTCRヨーロッパ・シリーズの2022年シーズンに向け、参戦チームの陣容が続々と確定。アウディ陣営として参戦するコムトゥユー・レーシングは、第2世代RS3 LMSへのスイッチと併せて50歳を迎えたトム・コロネルの継続起用を発表し、昨季はホンダ陣営のPSSレーシングから参戦したフランコ・ジロラミ、ヴィクトール・ダビドフスキー両名の移籍加入をアナウンスした。
また2021年にシリーズデビューを飾ったマット・オモラは、引き続きヤニク・モータースポーツからのエントリーながら、旧型となるヒョンデ(ヒュンダイ)i30 N TCRからエラントラN TCRへのスイッチを決定。さらに創設初年度のTCRサウスアメリカ・シリーズで初代王者に輝いたぺぺ・オリオラは、古巣ブルタル・フィッシュ・レーシングチームと再契約を結び、名門ターゲット・コンペティションは2019年にともにタイトルを獲得したジョシュ・ファイルズを招集するなど、強力なエントリーリストが明らかになった。
2021年は地元ザントフォールトでの優勝と3度の表彰台を獲得し、年間ランキング4位となったコロネルは「良い状態であれば無理に何かを変える必要はないんだ」と語り、2022年こそタイトル争いの輪に加わることを目標に掲げた。
「クルマもチームもとても調子が良いし、忠実なパートナーたちも継続を望んでくれている。次のシーズンもグリッドに立てることを光栄に思っているよ」と語ったコロネル。
「どれだけ長い間モータースポーツに関わっていても、春が来ればまたレースに出たくなるんだ。この気持ちは一生、変わらないだろうね(笑)。友人のガブリエル・タルキーニが57歳でチャンピオンになったことも忘れないでくれよ?」
そのコロネルを含め3台の新世代アウディを投入する計画のチームだが、残る2台にはアウディスポーツの“生え抜き”ドライバーではなく、昨季までホンダ陣営で戦ってきた2名を抜擢するプランを明かした。
「コムトゥユー・レーシングとアウディスポーツが、2022年に向け僕らに信頼を寄せてくれたことをうれしく思っている。新しいアウディRS3 LMSの感触を確かめ、チームと協力する機会を楽しみにしているよ」と語るのは、昨季ミケル・アズコナとの激しいタイトル争いを展開したフランコ・ジロラミ。
「今後はできるだけマイレージを稼ぎ、ポルティマオの開幕戦で良いパフォーマンスを発揮したい。チームとマニュファクチャラーの名誉を掛け、この大きなチャレンジに110%で頑張るつもりだ」
■通算7年目を迎えるオリオラは、南米タイトルを提げブルタル・フィッシュ・レーシングに凱旋
一方、東欧に拠点を置く小規模チームに加入し、モンツァでは物議を醸す状況ながら勝利も飾ったオモラは、2022年も引き続きシリーズへのフル参戦が確定。チームは彼のために新しいエラントラN TCRを用意し、ヒョンデ・モータースポーツ(旧ヒュンダイ・モータースポーツ)が指名する2022年のジュニア・プログラム・ドライバーに選抜されたヤヒム・ガラシュと合流することになる。
そしてTCR規定シリーズで通算7年目を迎えるスペイン出身のオリオラは、年間4勝を挙げてタイトルを獲得した南米での実績を提げ、マーティン・ライバ率いるブルタル・フィッシュ・レーシングに凱旋復帰することが決まった。
「昨年にTCRの南米選手権で総合優勝を果たしたことが、僕を後押ししてくれたんだ」と語ったオリオラ。「昨年は(所属したW2 ProGP)チームのコーチとして、サーキット以外で得た経験も、僕にはそれまで備わっていなかった視点を与えてくれたんだ。新しいシーズンに向け、ブルタル・フィッシュとJASモータースポーツには『ありがとう』と言いたいし、素晴らしいシーズンと力強いレースができればと思っている」
さらに今季の3台体制を明言していたターゲット・コンペティションは、ジョシュ・ファイルズ、ニコラ・バルダン、そしてフェリーチェ・ジェルミニの起用を表明。ファイルズは2019年にタイトル獲得に貢献した古巣へと戻ることになった。
「ヒョンデとともに今年のTCRヨーロッパ・プログラムに参加できることはとても幸せだし、多くの成功を収めたチームであるターゲットに戻ってきたことは、さらに幸せな気分にさせてくれるね」とファイルズ。
「もちろん今年もタイトル獲得に向け全力でプッシュしていく。数週間後のポルトガルでのスタートが待ち遠しいね!」