アストンマーティンのファクトリードライバーであるニッキー・ティームは、同メーカーがDTMドイツ・ツーリングカー選手権に復帰すれば「夢がかなう」とし、モータースポーツ担当マネージングディレクターであるジョン・ガウを「後押し」し、カムバックを画策していると語った。
アストンマーティンが最後にDTMに参戦したのは、クラス1レギュレーションのもとで不遇な1シーズンを過ごした2019年のこと。Rモータースポーツと4人のドライバーは、チャンピオンシップ最下位でその年を終えていた。ダニエル・ジュンカデラとジェイク・デニスが残した6位というのが、レースでのベストリザルトだった。
アストンマーティンのクラス1車両によるシリーズ参加はこの年限りで終了し、その後2021年シーズンからDTMはGT3車両によるレースへと生まれ変わっている。
1986年のDTMチャンピオン、クルト・ティームを父に持つデンマーク籍のニッキーは、T3モータースポーツのランボルギーニ・ウラカンGT3 Evoをドライブし、2022年開幕戦のポルティマオでシリーズデビューを飾った。
ティームは依然、アストンマーティンとのファクトリードライバー契約を保持しており、今回のDTM参戦が個人的な大きな野望の実現であると語る一方で、将来的にはアストンマーティンとともにDTMプログラムを行いたいと述べている。
「アストンマーティンはもう何年も、僕のファミリーだ」とティーム。
「僕はこの道を歩み続けたい。僕らはともに多くのことを成し遂げてきたし、世界選手権や、大きなイベントでも勝った。なぜDTMに出場しないのだ?」
「僕はアストンとともにDTMプログラムができるよう望んでいるし、ジョン・ガウをプッシュしている。それが一番大きいことだ。ファミリーとともに参戦し、そこでライバルを圧倒するんだ。どうなるか見てみよう」
ティームはこのアイデアに熱狂しているが、一方で具体的な計画にはまだ遠く、実現が困難な状況であることも認識している。
「(シリーズ代表の)ゲルハルト・ベルガーはさらなるマニュファクチャラーの参入を喜ぶと思うし、僕も、アストンマーティンも喜ぶだろう。でも明らかに、現時点ではまとまっていない」
「だからそれが実現すれば、長年の夢がかなう。おそらくは今年ゲストとしてレースに参戦し、その後オフの間に大きくプッシュし、来年フルシーズンを戦う、ということになるだろう」
かねてから、DTMに参戦して父の足跡をたどるという野望を公言していたティームは、待望のシリーズデビューをポルティマオで果たしたものの、レース1ではポイント圏外、レース2ではリタイアに終わっている。
だが、この週末からは多くのポジティブなものを得たという。
「強調したいのは、素晴らしい経験だったということ。あの場にいられたことは、とても感慨深い。ランボルギーニで、GT3車両をドライブしてその夢がかなうとは、思ってもいなかった」
「もちろん僕が育ってきたもの(アストンマーティン)ではなかったけれど、その枠を飛び出すことはできたんだ」
「この先どうなろうとも、いつか僕が引退したときにこのレースを振り返り、少なくともここでレースをしたことで歴史を作れたということになれば、素晴らしいと思う」
「2世ドライバーとして出場するにあたり、父が誇りに思ってくれることを望んでいるし、僕も誇りに思っている。言ってしまえば、それが一番重要なことなんだ」