2022年F1世界選手権の3戦が終わった時点で、メルセデスのジョージ・ラッセルは37ポイントを獲得してドライバーズランキング2位につけており、チームメイトであるルイス・ハミルトンは28ポイントで5位となっている。
24歳のラッセルは、今年メルセデスに加入、いずれは7度の世界チャンピオンであるハミルトンの後を継ぐ存在になるとみられている。
メルセデスのチームリーダーの座をかけて、若いラッセルと現在37歳のハミルトンがすでに激しく争い始めているのかというと、そうではないようだ。現時点で、メルセデスのふたりのドライバー間は調和が取れている。競争力のないマシンを抱えたハミルトンとラッセルのふたりは、現在の危機を脱する唯一の方法はともに協力することだと承知しているからだ。メルセデス陣営内で摩擦が起きるとすれば、それはグランプリ優勝あるいは世界タイトルがかかっている時だけだろう。幼なじみだったハミルトンとニコ・ロズベルグの関係は、数年前、タイトル争いをするなかで、悪化していった。
第3戦オーストラリアGPで、ラッセルは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、セルジオ・ペレス(レッドブル)に続く3位でフィニッシュした。ラッセルは、ハミルトンのひとつ上のポジションを獲得したことに、大きな意味はないと考えている。
「もちろん、誰もが自分のチームメイトよりも上の順位でフィニッシュしたいと思っている。でもルイスと僕は、5位や6位を争うことに興味はない。それに僕たちは、ライバルとの差を埋めるために協力したいんだ」とラッセルは語った。
「だから彼が僕より上位だろうが、僕が彼より上位だろうが、それで気分を害することはないよ。僕たちは今のところ、そういうことをあまり気にしていないんだ」
ハミルトンは、セーフティカーのタイミングが悪く、ラッセルの後ろに下がり、その後、オーバーヒートの問題でポジションアップを狙えず、4位となった。
「ジョージは素晴らしい仕事をしたね。彼とペレスがバトルをしているのが見えた。僕もそこに加わることができればよかったんだけどね」
そういうわけで、メルセデスのドライバーたちの関係は非常に良好だが、結果は良好とは言えない。メルセデスF1のW13には競争力がなく、向上のための作業を進めていく必要がある。
「残念ながら、すぐに実現できるようなことは何もない。一夜で解決するようなことではないし、(改善するのは)何レースも先になるだろう」とラッセルは言う。
「小さな向上がなされ、徐々に改善していくだろう。でも、ライバルチームもそれは同じだ。つまり、フェラーリやレッドブルも進歩しているから、僕たちが進歩しても、それは外部からははっきりとは見えないかもしれない」
「ファクトリーでは僕たちを先頭集団へ戻すため、懸命な作業が行われている。僕たちは決して諦めることはない。戦い続けなければならないんだ」