4度のF1世界チャンピオンであるセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)は、F1が新しい魅惑的な場所へ行くことに賛成しているが、ヨーロッパの“主要な”コースから離れてしまうのは「ひどいことだ」と述べている。
F1の商業権保有者であるリバティ・メディアは、グランプリレースの開催範囲を拡大し、マイアミやラスベガスなどの新たな開催地を追加しているが、一部の歴史的な会場の運命についての疑問は残ったままだ。
モナコは、当地でのF1の将来は保証されたも同然と請け合っている一方、フランスとベルギーの契約は今年の終わりで満了する。ポールリカールはF1カレンダーから脱落する可能性が高いと見られており、ドイツには復帰の兆しがない。
ベッテルは、新しいサーキットを追加することが、F1の歴史ある会場の不利益になってはならないと主張している。
「新しい場所へ行くのはいつだってエキサイティングだ。僕たちにとっていいところだし、適切な場所だよ」とベッテルは語った。
「アメリカではレースがなかったので、オースティンがカレンダーに加わったけれど、とてもエキサイティングで素晴らしいレースとして確立された」
「もうひとつの素晴らしい例はシンガポールだろう。僕たちは以前はシンガポールへ行ったことがなかったけれど、今年は戻ることができてうれしい」
「それに初めてのナイトレースだった。あの場所とコースには特別な何かがあると思うよ。だから新しい側面を探求するのはいいことだ。すべての新会場が追加されることを望んでいる」
「同様に、長年にわたって訪れていた場所がなくなってほしくないとも思う。だからカレンダーからメルボルンがなくなるとしたらひどいことだ」
「ヨーロッパのコアとなる一部のコースがなくなるなんて恐ろしいことだよ」
今年、F1は史上最多の23戦のグランプリを開催する予定だ。しかし1月には、F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが将来レース数を減らす可能性についてほのめかした。ドメニカリは、カレンダーのいくつかのサーキットをローテーションさせる可能性も示しており、その選択肢にベッテルは関心を持つことだろう。
しかしF1がどのようにスケジュールを作り上げるかに関係なく、新会場と伝統的なサーキットの適切な組み合わせを維持する必要があると、ベッテルは主張している。
「僕たちが行く新しい開催地には、経済的利益がある。結局のところF1はビジネスだ」とベッテルは述べた。
「でも僕たちにとっては、スポーツであり情熱であると思う。だから僕たちはF1をビジネスとは見ていない。僕たちはF1をスポーツ寄りに見ていると思う。場所には意味があるんだ。場所が持つ歴史や伝統があるからね」
「探索することと、歴史と大きなファン層を持つ場所を維持することの組み合わせのようなものであることが必要だ」
「たとえばイタリアがカレンダーからなくなるなんて、多くの理由から想像を絶することだろう。たとえ彼らの支払額が最低だとしてもね。でもそこは僕たちが維持する必要がある場所だと思う」
フェラーリのカルロス・サインツも、ヨーロッパの伝統的なコースをカレンダーに残すために、スケジュールをローテーションさせる解決策を支持している。
「将来的には、毎年カレンダーに入れる余裕のないレースを、2年や3年に1回カレンダーに入れるような妥協案を見つけられることを期待している」
「そうすれば、いつも行っていた場所に戻っていくことができる。ビジネスはビジネスだ。リバティとF1は、ビジネスのために何をするべきか検討することになるだろう」
「でも僕はヨーロッパでのレースをやめたくない。ヨーロッパはレースをするのに最高の場所だと思う。ここには僕たちの伝統があるんだ。ここへ戻り続ける必要があると思う。それが毎年のことではないとしても、少なくともカレンダーに残しておく必要があるよ」