2022年F1第5戦マイアミGPを前に、フロリダで水陸両用車でのレースに挑んだマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と角田裕毅(アルファタウリ)。ふたりの直接対決の行方はいかに。
AMAスーパークロスチャンピオンのジェット・ローレンス、東京五輪にも出場したスケートボーダーのザイオン・ライトとともに、フロリダ州ネープルズにやってきたフェルスタッペンと角田。4人がここで挑戦するのは、1949年から続くこの街の名物『スワンプ・バギーレース』だ。
F1の舞台マイアミのイメージとは正反対のスワンプ(沼地・湿地帯)で行われるこのレースで使用するのは、900馬力を発揮するV8エンジンに2段変速のギアと68インチ(=172センチ)の車輪をつけただけのなんともアメリカンな水陸両用車。
このマシンが巻き上げる爆音と水しぶきが醍醐味のこのレースでは、もちろんドライバーが水浸しになることは免れられない。ただし「前にいれば濡れないよ」とクールに語るのがフェルスタッペンだ。
レースは1対1のトーナメント形式で争われ、初戦はフェルスタッペンとライトというカードで行われた。フェルスタッペンはスタートで出遅れたものの、ターン1でライトのインに果敢に飛び込みオーバーテイク。宣言どおりほとんど濡れることなく勝利を飾った。一方びしょ濡れのライトは、F1仕込みのスーパードライブに「まったく姿が見えなかったよ!」と驚きを隠せない様子だ。
フェルスタッペンに続きたい角田だが、スタートでウィリー状態に陥り、マシンは水面をバウンドし続ける。それでも怯まずアクセルを開け続けると、対戦相手のローレンスは変速のタイミングでまさかのエンスト。角田はスワンプバギーでのドライブを満喫し、余裕の表情でチェッカーを受けた。
フェルスタッペンも「キャリアで最も重要なレース」と認める決勝戦。角田は先ほどの経験を踏まえ、ウィリーを最小限にとどめてスタートダッシュを決める。フェルスタッペンもコーナーで追いすがるが、角田が逃げ切りF1ドライバー対決を制した。
レース後、チームに対して「思ったより簡単で、すぐに適応することができた」というコメントを残した角田。スワンプバギー界でもその名を轟かす日がやってくるかもしれない。