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 FIAは、マックス・フェルスタッペンなど何人かのドライバーたちがF1オーストラリアGP後にセーフティカーのペースが遅いと文句を言ったことに対し、強く反論した。

 オーストラリアGP決勝23周目にセバスチャン・ベッテルがクラッシュした後、セーフティカーが出動。ベテランのセーフティカードライバー、ベルント・マイレンダーが運転するアストンマーティンのセーフティカーが隊列を率いて走行した。フェルスタッペンはこの時のペースが遅すぎるという不満を示し「アストンマーティンのセーフティカーは亀のように走っている」と発言した。

 F1では長年メルセデスをセーフティカーとして使用してきたが、昨年からメルセデスに加えてアストンマーティンも採用している。

2022年F1第3戦オーストラリアGP F1セーフティカー(アストンマーティン・ヴァンテージ)
2022年F1第3戦オーストラリアGP F1セーフティカー(アストンマーティン・ヴァンテージ)

 セーフティカー後のリスタートで、トップを走るシャルル・ルクレールの挙動が乱れたことについて、フェルスタッペンは「セーフティカーがあまりにもゆっくり走っているから、グリップがほとんどなかったせいだ」と語った。

「亀みたいだった。信じられないよ。ダメージを受けたマシンが撤去された後に、バックストレートを140km/hで走るなんて。なぜそれほどゆっくり走らなければならないのか、僕には理解できない」

「これについては調査する必要がある。メルセデスのセーフティカーの方が速い。空力性能が余分についているからね」

「アストンマーティンは本当に遅い。もっとグリップが必要だ。タイヤは冷え切ってしまった」
「セーフティカーの後ろで走るとき、本当にひどい状態なんだ」

 メルセデスF1チームのジョージ・ラッセルはメルセデスを褒め称える機会を逃さず、「メルセデスAMGは、アストンマーティンのセーフティカーよりかなり速い。5秒ぐらい速いんだ」と語った。

2022年F1サウジアラビアGPセーフティカー
2022年F1サウジアラビアGPセーフティカー

 一方で、オーストラリアで優勝したルクレールは、セーフティカーのペースは遅すぎると感じるが、仕方がないと受け入れたと述べた。

「(セーフティカーのペースは)遅すぎるといつも思う。タイヤに温度を入れるのにものすごく苦しんだ。文句を言いたかったけれど、セーフティカーがコーナーでかなりスライドしているのを見て、彼は精一杯やっているのだと思った。だから、プレッシャーをかけたくはなかった」

「今のF1マシンでは、セーフティカーの後ろでタイヤの温度を維持するのはすごく難しい。それは確かだね」

FIAセーフティカードライバーのベルント・マイレンダー
FIAセーフティカードライバーのベルント・マイレンダー

 ドライバーたちのこういった発言の後、FIAは、セーフティカーの性能とセーフティカードライバーの能力は非常に高いと強調し、ドライバーたちからの批判を退ける声明を発表した。

「FIAフォーミュラ1セーフティカーのペースに関する最近のコメントを踏まえ、FIAは、FIAフォーミュラ1セーフティカーの第一の機能は、当然のことながら明白なスピードではなく、ドライバー、マーシャル、オフィシャルの安全であることを再度確認したい」とFIAが4月14日に発表した声明には記されている。

「セーフティカーの手順は、当該の事故に応じて、隊列を『バンチアップ』し(一カ所に固め)、インシデントからの回復やコース上のデブリへの対応を安全な形で行い、コースの別の場所で進行中の回復活動に応じてペースを調整するための必要条件を含む、複数の目的を考慮に入れて進められる」

「従って、セーフティカーのスピードは、通常、レースコントロールから指示されるものであり、セーフティカーの能力によって制限されるものではない。セーフティカーは、世界トップのメーカー2社が用意した特注の高性能車であり、常に変わりやすい路面状況に対応できる態勢が整っており、非常に経験豊富で有能なドライバーとコドライバーが乗っている」

「セーフティカーの速度が後続車のパフォーマンスに与える影響は二次的考慮事項である。その影響は全競技者において等しいものであり、競技者には、常にそうであるように、自分のマシンとサーキットの状況に応じて、常に安全に運転を行う責任がある」