BWTアルピーヌF1チームのオットマー・サフナウアー代表は、現在の経済状況を理由にバジェットキャップ(予算制限)の上限引き上げを求めるチームは、その追加予算でマシンのパフォーマンスを高めようとしていると指摘し、このレギュレーションを堅持するように訴えた。
2021年度から導入されたバジェットキャップ制度により、2022年シーズンのF1チームの予算は年間1億4000万ドルに制限されている。目的は高騰する参戦コストを抑制するためであり、メルセデスやフェラーリ、レッドブルといった潤沢な予算を持つトップチームとそれ以外のチームとの差を縮める効果も期待されている。
だが、現在は複数のチームからバジェットキャップの上限引き上げを求める声があがっている。理由は新型コロナウイルスやウクライナ情勢の影響で世界経済がインフレ傾向にあり、物流などにかかるコストが上昇していることだ。
しかし、英紙『ガーディアン』によると、バジェットキャップ引き上げに反対するアルピーヌのサフナウアー代表は、彼らにとってはインフレはあくまで「口実にすぎない」と指摘する。
サフナウアーの考えでは、現在の経済状況はシーズン開始前の時点である程度予測できた。そのため彼は、チームが予算上限引き上げを求めるのには、マシンの開発費用を捻出し、チームの優位性を取り戻すという別の目的があると示唆した。
「ビッグチームが今になって上限引き上げを求めるということは、この制度が正しい方向に進んでいるということだ」
「シーズンが始まり、マシンの相対的なパフォーマンスが明らかになってから予算の上限を増やしてほしいと求めるのは皮肉だ」
さらに『GP Fans』によるとサフナウアーは、メルセデスが今シーズンの低迷から抜け出せないのはバジェットキャップの効果だと指摘。この制度の公平性を称賛し、改めてバジェットキャップの上限引き上げに反対の姿勢を打ち出した。
「以前なら、メルセデスは資金やリソースを投入することもできたはずだ。現在、彼らの資金投入を制限している要因のひとつは、おそらくバジェットキャップだ」
「それは当然で正しいことだし、誰にとっても同じことだ。だから維持していくべきだと思う」