FIA国際自動車連盟のスポーツ部門副議長を務めるロバート・リードは、ル・マン24時間レースとF1のスケジュール衝突を緩和するために、とくに2023年に迎えるエンデュランス・クラシックレースの100周年に向けて、「非常に協力的」であると語った。
2019年以来、3年ぶりに伝統的な6月中旬の日程に戻る今年のル・マンは、バクーで開催されるF1アゼルバイジャンGPとのバッティングを起こす。この日程衝突は2016年に続き2度目だ。
2015年にニコ・ヒュルケンベルグがポルシェ919ハイブリッドでル・マンを制して以来、F1にフル参戦しながらル・マンのグリッドに並んだ者はいない。ハースF1に復帰したケビン・マグヌッセンは、父親のヤン・マグヌッセンとともLMP2カーをドライブする可能性があったが、ふたたびの親子参戦の望みは絶たれることになった。彼らはハイクラス・レーシングに参加しリザーブエントリーリストの1番手に名を連ねていた。
先週末に開催されたWEC世界耐久選手権第2戦スパ6時間レースの記者会見に出席した元WRC世界ラリー選手権コドライバーは、この日程の問題を来年のイベントまでに解決したい意向を示した。
「私は昨夜のディナーでピエール・フィヨン(ACOフランス西部自動車クラブ会長)の向かいに座っていたので、とくに来年はル・マン100周年ということもあり、この問題に対するACOの考え方はよく分かっている」とリード氏は語った。
「われわれが抱えている課題のひとつは、FIAがカレンダーに対して自律性を持っていないことだ。WECはプロモーターがカレンダーを提案し、それを受け入れるかどうかはFIA次第という、一部を除くすべての選手権と同じような仕組みで動いている」
「一部の選手権では安全上の問題によって制限されることもある。その中でF1は少し違っていて、カレンダーの内容はほとんどFIAが決めている」
「交渉の内容次第で多少の問題もあると思うが、日程の衝突が起こらないようにすることには非常に協力的だと思う。しかしとくに来年は、我々が『来年は(開催日が)ぶつからない』と言えるいい機会であり、今後はそれが標準的になるはずだ」
■FIAにとっても日程の重複問題は挑戦
リードは、FIAとF1のステークホルダーであるリバティ・メディアとの関係は「我々が受け継いだ状況」であり、FIAのモハメド・ビン・スレイエム会長が意思決定状況について、FIAがより可視化できるようにすることを望んでいるものだと述べた。
「F1委員会の設立方法は、FIAに特定の事柄をサポートしないことを決定する機会を与えるものだ」と語ったリード。
「皆さんは、F1委員会がスプリントレースについて、FIA会長が今後の状況を理解するまで(スプリントレースの数を)増やすことへの支持を延期したことを知っているだろう」
「多くの報道がそのことを大げさに取り上げていることは把握している。それがこれまでに作られたものほど大きいものかどうかはわからない。しかし、それがFIAが物事が正しい方向に進んでいることを確認し、つねに同意しているだけではないことを見ることができる、ひとつの方法だ」
今後、レースイベントの衝突を避けるのがFIAの立場なのかと問われたリードは、「それについては会長と話し合う必要があるが、私の見解では来年、とくにル・マンの100周年記念の年には衝突がなければ非常に良いことだと思う」
「そして、今後私たちに何ができるかを考えてみよう。今はチャンピオンシップのラウンド数が増え、週末の残りが少なくなってきている」
「昨日、誰かが『F1は54週で56ラウンドを回る可能性がある』と冗談を言っていた。これは我々にとってチャレンジだ。私たちのスポーツは成長し続けている。スポーツがうまくいっていて、より多くの人が関わりたいと思っている時代を上手に利用する必要があるんだ」