フェラーリは、F1第5戦マイアミGPの決勝レース終盤のセーフティカー出動中にドライバーをピットストップさせないことで、状況を好転させる絶好の機会を逃さなかったと考えている。
レースの40周目に起きたピエール・ガスリー(アルファタウリ)とランド・ノリス(マクラーレン)の衝突によって、最初はVSC(バーチャルセーフティカー)が導入された。レースコントロールはその後セーフティカーに切り替えたため、これはフェラーリにとって大きな突破口に見えた。首位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はすでにピットレーン入口を通り過ぎており、フェラーリのドライバーたちはタイムを失わずにピットストップできる可能性があったからだ。
しかしシャルル・ルクレールとカルロス・サインツはふたりともこのチャンスを無視した。この判断に、レッドブルF1のチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは大きく安堵した。
「フェラーリは、バーチャルセーフティカーがセーフティカーになった時に、わずかながら我々を窮地から抜け出させてくれた」とホーナーはレース後に語った。
「マックスはすでにピット入口を通り過ぎていたのに対し、フェラーリはフリーピットストップを行うところだっただろう。彼らはどちらのマシンもピットストップさせなかったがね」
「それはありがたかった。なぜなら彼らがソフトタイヤを履いていたら、今日の順位は3位になっていただろうと思うからだ」
しかしホーナーは、セーフティカーがコースに導入された時点で、フェラーリの新タイヤが残っていなかったことを知らなかった。ルクレールもサインツも、新品のミディアムタイヤとソフトタイヤを持っていなかったのだ。フェラーリは、新品のハードタイヤに交換するよりも、その時点で履いていたハードタイヤでドライバーを走らせることを選択した。
「ウォームアップの点では、中古タイヤは新品よりも有利だと考えていた」とフェラーリF1のチーム代表を務めるマッティア・ビノットは説明した。
「ガレージに用意してあった新品のハードタイヤでは、ウォームアップの問題にいっそう悩まされることになっただろう」
「そのため我々はステイアウトを選んだ。なぜならあれは、適切なウォームアップを行って初めの数ラップでアタックするのに最高のチャンスだったと考えていたし、実際にそうなった」
「シャルルにとっては、セーフティカー終了後のまさに最初の1周が最高のチャンスだったと思うし、その段階で明らかに彼は近づいていた。それにカルロスにとっても、新品のミディアムタイヤを履いたチェコ(セルジオ・ペレス/レッドブル)を抑える助けになった」
サインツは、信頼できるハードタイヤのままでいることが、ペレスを抑えておく最大のチャンスをもたらしたと同意した。
「正しい判断だったと思う。最終的に僕たちは彼を抑えておくことができたからね」
「でもきつかったよ。彼は、僕を実際に追い抜くためのすべてのカードを手にしていたからね。本当に接戦だったから、前に残れたことに少し驚いているくらいだ」