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 2022年F1第5戦マイアミGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝を飾った。2位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位はカルロス・サインツ(フェラーリ)となっている。角田裕毅(アルファタウリ)は12位だった。

 決勝当日のマイアミは、朝から雨が降ったり止んだりの天候。しかし午後には青空が広がり、路面も完全に乾いている。ただし降水確率は40%で、にわか雨の予報も出ている。午後3時半のスタート時点で、気温31.6度、路面温度42.6度と、あいかわらず高温コンディションだ。

 前日の予選でそれぞれ10番手、13番手を獲得していたランス・ストロール、セバスチャン・ベッテルのアストンマーティン2台は、燃料温度が規定値に達しないという珍しい問題のため、ピットレーンスタートを選択した。

 スタートタイヤは、大部分のドライバーがミディアムを装着。ピットスタートのアストンマーティン2台と12番グリッドのジョージ・ラッセル(メルセデス)、最後列のニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)がハードを選択した。

 ルクレールがホールショットを決めた背後では、フェルスタッペンがターン1のブレーキングでサインツに仕掛け、アウト側から2番手に浮上した。セルジオ・ペレス(レッドブル)、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は4、5番手をキープ。6番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)はピエール・ガスリー(アルファタウリ)にかわされ、角田もランド・ノリス(マクラーレン)に抜かれて10番手と、ひとつ順位を落とした。狭いコース幅にもかかわらずクラッシュはなく、全20台がレースを続けている。

 7周目、6番手のガスリーがハミルトンに抜かれ、10番手の角田もミック・シューマッハー、ケビン・マグヌッセンのハース勢に立て続けにかわされて行く。アルファタウリは2台とも明らかにペースが遅く、早くもタイヤが垂れ始めたようだ。

 9周目のメインストレートでフェルスタッペンがルクレールのスリップに入り、ターン1のブレーキングでインを刺すと、抜き去って行った。ルクレールはその1、2周前から右フロントタイヤが厳しくなっていたようだ。

 12周目、ミディアムの角田が早くもピットイン。ハードに履き替えた。タイヤの垂れは予想以上に大きいようだ。一方で首位を奪ったフェルスタッペンは最速タイムを連発し、ルクレールを引き離している。「タイヤがかなり厳しい」と訴えるフェルスタッペンに、「いい仕事をしている。右フロントはしっかり保っている」と、担当エンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが励ます。

 20周目、4番手のペレスが「パワーを失っている」と訴え、実際にサインツとの差がどんどん広がっている。その前周にハードに履き替えたノリスもペースが伸びず、ハース2台に抜かれるなどして16番手まで順位を落とした。

 24周目、ルクレールが最速タイムをマーク。路面にラバーが乗ってコンディションが向上しているのか、ペースを取り戻している。しかしルクレール自身は運転しづらさを訴え、次周にピットイン。4番手に後退した。その2周後の27周目には、フェルスタッペンもハードに履き替えた。そして28周目にはサインツ、ペレスも次々にピットに飛び込んで行く。

 サインツは右フロントの交換に手間取り5秒以上かかったが、かろうじてペレスの前でコースに復帰。30周目の時点で、首位フェルスタッペン、2番手ルクレール、3番手サインツ、4番手ペレス。ハードスタートでタイヤを持たせているラッセルが5番手まで上がり、6番手ボッタス。ハミルトン7番手。最後尾のオコンもノンストップで8番手まで順位を上げ、ガスリーは9番手、10番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)。角田はハードである程度ペースは取り戻したが、18番手と苦しい展開だ。

 ハードに履き替えたフェルスタッペンは再び最速タイムを連発し、ルクレールとの差は35周目で7秒5まで広がった。

 40周目、ターン8の立ち上がりでガスリーとノリスが激しく接触。右リヤを大破したノリスがコース上に止まって、VSC(バーチャルセーフティカー)が導入された。このタイミングを待ちかねていたノンストップ周回中の5番手ラッセル、12番手ストロールが立て続けにピットイン。ラッセルは7番手、ストロールはピットイン前と同じ12番手でコースに復帰した。

 コース上に散乱した破片を片づけるのに手間取り、VSCはSC(セーフティカー)に変更された。この段階で、ペレス、オコン、角田らもピットに向かった。ガスリーもダメージがあったのか、SC中の45周目にピットイン。最後尾18番手まで後退した。オコン、リカルド、角田、ガスリーはソフトに履き替え、順位アップを狙う。

 47周目、レース再開。フェルスタッペンがしっかりスタートを決めて、ルクレールに隙を与えない。4番手のペレスはサインツを激しく攻め立てるが、抜ききれない。49周目にはラッセルがハミルトンをパス。直後にボッタスがコースオフしてメルセデス2台に先行されてしまう。

 52周目のターン1でペレスはいったん先行したが、止まり切れず3番手を奪えない。一方ルクレールは完全にフェルスタッペンのDRS圏内に入ったが、仕掛けるまでには行かない。その後はフェルスタッペンが最速タイムを叩き出して3秒7まで差を広げ、逃げ切りに成功。今季3勝目を挙げた。フェルスタッペンは最速タイムによる1ポイントも合わせ、26ポイントを獲得。前戦終了時点で27点あった選手権首位ルクレールとのポイント差は、19点まで縮まった。

 ルクレールは今季初めてポールスタートからの勝利を逃し、2位に終わった。3位サインツ、4位ペレス、5位ラッセル、6位ハミルトン、7位ボッタス、8位オコン、9位アロンソ、そしてアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がオーストラリアに次ぐ10位入賞を果たした。

 シューマッハーは9番手走行中の54周目に、ターン1でベッテルと接触。15位完走に終わり、ほぼ手中にしていたキャリア初入賞を目前で逃してしまった。アルファタウリは2台がトップ10グリッドからスタートしたものの、角田12位、ガスリーはリタイアと、厳しい結果に終わった。