6月4~5日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第2戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』。ST-XクラスはHELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次/ショウン・トン)が制し、総合優勝を飾った。ST-3クラスでは優勝を飾っていた実績はあったが、HELM MOTORSPORTSにとっては初めてとも言えるビッグタイトルとなった。
ル・ボーセモータースポーツで育った平木湧也と玲次の兄弟が、2020年に立ち上げたチームがHELM MOTORSPORTS。地域密着、そしてスタイリッシュなチームを標榜し、若いチームスタッフを中心に初年度はFIA-F4、スーパー耐久ST-3で活躍。2022年からはFIA-F4の活動に加え、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権、さらにスーパー耐久ではニッサンGT-RニスモGT3を投入。ST-Xに戦いの場を移していた。
第1戦鈴鹿ではトラブルに見舞われていたが、迎えた第2戦では、公式テストで良いバランスを得ていたものの、いざレースウイークとなると「ぜんぜん走らなくて(湧也)」と苦戦。決勝も序盤こそ好調にレースを進めていたが、レース中にトンの連続走行時間違反により、180秒のペナルティストップが課されてしまう。これで「完全に勝負権はなくなったと思っていた」という。
しかし、トップを快走していたDAISHIN GTR GT3のトラブル等もあり、「そこからは展開にも恵まれ、運が回ってきたな、という感じですね」と見事760周を走りきり優勝を飾った。
第1戦ではトラブル後に走っただけの鳥羽にとっては、今回が初めて本格的にレースを戦う週末だった。「とにかく華やかなレースでしたし、ずっとスプリントばかりを走っていたので、耐久レースとはこんな辛いものだったのかと実感しました。サポートしてくれるメカニックの皆さんにも良い結果を残さなければと思い緊張しました」とレースを振り返る。
「1時間以上のスティントも初めてでした。1回目は無我夢中でしたが、もう58歳ですし、かなりその後は身体にも堪えました。どうにか走りきったのが正直なところです」とFIA-F4でも活躍する鳥羽は、喜びとともにホッとした表情で語った。
そして今回、持ち前のスピードでチームを助けたトンも「素晴らしい気分だよ。2勝目を飾れるなんてラッキーだね。チームに感謝したいし、この場にいられて嬉しいよ」と喜びを語った。実は、平木兄弟にとってトンは組むのも初めて。しかし、2020年に優勝を飾っていたこと、またニッサンGT-RニスモGT3の経験を持っていたことからの起用となった。鳥羽が英語が堪能なこと、トンがスーパーGTで在籍していたX Works時代のマネージャーがチームに在籍していたことなども功を奏し、すぐにチームに溶けこむことができたのだという。
FIA-F4で走りのベースができていた鳥羽、平木兄弟の安定した走り、20代のメカニックたちの力、そしてチームに加わり、速さで貢献したトンのスピードが結実しての優勝となった。「すべてが怖いくらいにハマりましたね」と湧也、そして玲次はチームにとっても大きな優勝を喜んだ。