アルファタウリのピエール・ガスリーは、2022年F1第7戦モナコGP決勝の序盤に一連の印象的なオーバーテイクを成功させるには、自分の内なる「アーティスト」が「創造性」を発揮しなければならなかったと語った。
モナコGPでのガスリーは、すべてのフリー走行で余裕のトップ10入りを果たし、予選と決勝レースでの走りにも大きな期待が高まっていた。しかし残念なことに、予選Q1でアクシデントが発生し、その後チームが彼をセッションに送り出す決断が遅れたために、日曜日の決勝レースは17番手という腹立たしいグリッド順でのスタートとなった。
ウエットコンディションは言うに及ばず、通常でもオーバーテイクのチャンスが少ないモナコのコースで、ガスリーのレースはスタートから妥協を強いられているように見えた。しかし、それでも彼はピットストップを行うと決めていた。
「チームに伝えたんだ。『僕たちは17番手だ。だから備えておこう。ここから失うものなどないのだから』とね」と、ガスリーはモナコでメディアに対して語った。
アルファタウリは、わずか2周でガスリーをピットインさせてウエットタイヤからインターミディエイトタイヤに交換することを選んだ。その後、ガスリーはモナコのプールの複合コーナーでアルファロメオの周冠宇、さらにマクラーレンのダニエル・リカルドを次々に抜き去り、20周を走った時点で10番手にまで順位を上げた。
「とにかく、本当に興奮したよ。とても楽しかった。このコースで、このコンディションで、このマシンを走らせてね」とガスリー。
「すぐにピットインした。他のドライバーたちと同じような戦略にとどまりたくなかったんだ」
「多少のリスクは取った。ギャンブルだったよ。自分たちでそういう考え方ができて、満足している。あのポジションからスタートしたことを思えばなおさらね」
「いろいろな走行ラインを探したし、モナコの狭いウォールのあいだにスペースを見出そうとしたんだ。すごく楽しかった」
「彼らよりもずっと速かった。むしろ自分を抑える必要があった。うまく守られてしまったら、右にも左にもスペースを見つけることは難しい。そういうときは、自分で創造性を発揮しなければならないんだ」
「だから、僕はそうした。結局のところ、F1ドライバーはアーティストのようなものだと思う。つねに新しいアイデアを探す必要があるし、僕はオーバーテイクするために通常とは異なるスペースを思いつかなければならない。そして、それはうまくいった」
しかし、チェッカーフラッグを12番目に通過したガスリーは、ポイントを獲得できなかった。彼は、チームが指示したいくつかのピットストップが創造性に欠けていたと不満を漏らした。
「もちろん、最終的にポイントを獲得できなかったのは少し残念だ。おそらく獲れていたはずだからね」
「最初のピットストップでかなり長い時間、6秒か7秒を失ってしまった。2度目のピットストップでは3秒くらいだ。合わせればレースタイムの10秒分になる。そのツケが、最後に1ポイントを獲れないというかたちで回ってきた」
「それでも、プラクティスセッションから今日の決勝レースまでを見れば、この週末は得るものも多かったよ」