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 5月1日、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCヨーロッパ)の2022年シーズン第2戦がイギリス、ブランズハッチで開催された。今季最初のスプリントレースでは、シルバーカップにエントリーしているAFコルセの53号車フェラーリ488 GT3 Evo(ユリース・ド・ポー/ピエール-アレクサンドル・ジョン組)が総合優勝。同日午後に実施されたレース2はアコーディスASPチームの89号車メルセデスAMG GT3(ラファエル・マルチェッロ/ティムール・ボグスラフスキ組)がポール・トゥ・ウインを飾っている。

 二輪レース界の“レジェンド”ことバレンティーノ・ロッシが2021年限りでのMotoGP引退後、四輪レーサーとしてフル参戦デビューするということで“ロッシ・フィーバー”に湧いたGTWCヨーロッパ第1戦イモラ。それから1カ月後のブランズハッチで迎えた今季第2戦は、週末に60分レースを2度行うスプリントカップ開幕戦の舞台となった。

 4月最終日に行われた予選Q1/Q2を経て、日曜午前にスタートが切られたレース1はグリーンシグナルの点灯直後、17番手スタートとなったロッシ(46号車アウディR8 LMS/チームWRT)の眼前で発生したマルチクラッシュによって早々にセーフティカー(SC)が導入される。

 4台のマシンが絡んだアクシデントによって30号車と33号車アウディR8 LMS(ともにチームWRT)、54号車ポルシェ911 GT3 R(ダイナミック・モータースポーツ)がリタイアに。最初に33号車と接触した86号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)には10秒ストップペナルティが科せられた。

 レースは6周目にSCが下がり、予選を制した53号車フェラーリを先頭にレーシングスピードに戻っていく。ド・ポーがドライブするフェラーリは、2番手88号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)を3秒ほど引き離した状態でレース中盤のピットウィンドウ・オープンを迎える。

 AFコルセはレース折り返しのタイミングで53号車をピットに戻し、白地の488 GT3 Evoを首位でコース復帰させることに成功する。一方、2番手を走っていた88号車メルセデスは左リヤタイヤの交換に時間がかかり4番手にダウン。ミニマムの25分直後にピットインした32号車アウディR8 LMS(チームWRT)と89号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)に先行を許してしまう。

 レースの3分2を過ぎた頃、トラフィックの絡みによりドリス・ファントール駆る32号車アウディがトップに接近する。3秒あったタイム差が半分に縮まるが、53号車のジョンも粘りを見せギャップをキープする。すると今度は32号車の後ろにマルチェッロの89号車メルセデスが近づき2番手争いが0.5秒差の接戦に。

 チェッカーまで残り3分、53号車の前にふたたび周回遅れが現れ32号車アウディとの差が詰まる。ファイナルラップ突入時にその差は0.7秒、89号車も1.5秒差で続く。しかし最後は53号車フェラーリがポールシッターの意地を見せるスピードを発揮し、見事逃げ切りに成功。32号車アウディと89号車メルセデスの2番手争いも順位は変わらずフィニッシュを迎えた。

 予選2番手からスタートし、ピットインを遅らせた関係で一時は首位を走行した88号車メルセデスはピットでのタイムロスが響き4位フィニッシュ。ロッシがスタートドライバーを務めた46号車アウディはスプリントカップ初陣を13位で終えた。

■ロッシ、防戦を強いられながら8位を死守

GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第2戦ブランズハッチ・レース1のスタートシーン
GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第2戦ブランズハッチ・レース1のスタートシーン
89号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)
89号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)
バレンティーノ・ロッシがドライブする46号車アウディR8 LMS Evo II(チームWRT)
バレンティーノ・ロッシがドライブする46号車アウディR8 LMS Evo II(チームWRT)

 午後のレース2は路面がやや湿り気を帯びた、ドライとダンプの中間のコンディションでのスタートとなったため、2周に増やされたフォーメーションラップを経てシグナルグリーンに。

 このレース2では、ポールシッターのマルチェッロが序盤から逃げる展開となり、ピットウインドウ・オープンまでに2番手25号車アウディR8 LMS(サンテロック・ジュニア・チーム)に約11秒の大差をつける。その25号車の背後には32号車アウディがピタリと付け、4秒後方にスタートで順位を上げた88号車メルセデス、さらに後ろに11号車アウディR8 LMS(トレゾア・バイ・カーコレクション)とレース1ウイナーの53号車フェラーリが僅差で続く。

 レース中盤のピットタイミングで早めに動いたのは25号車アウディと88号車で、このピット勝負はメルセデスに軍配が上がった。サンテロック・アウディは作業に時間がかかり、その後ピットに入った32号車アウディ、88号車メルセデス、11号車アウディ、さらに53号車フェラーリにも交わされ6番手まで順位を落としてしまう。

 首位を走る89号車メルセデスは、ピットウィンドウが締まる直前まで前半スティントを引っ張ってボグスラフスキにスイッチすると、マルチェッロが稼いだ大量のマージンによって悠々とトップで復帰。後半戦も優位にレースを進めていく。

 その後も大量リードの優位性は最後まで揺るがず。バグスラフスキがトップチェッカーを受け89号車メルセデスがレース2のウイナーとなった。6秒遅れてフィニッシュした32号車アウディが2位。3位にはチームWRTのエースカーと2番手を争い、最終的に0.273秒差で敗れた88号車メルセデスが入った。

 10番手でチームメイトのフレデリック・バービシュからバトンを受けたロッシは8番手でコースに復帰する。ロッシ駆る46号車アウディはレース終盤に87号車メルセデスAMG(アコーディスASPチーム)の追撃を受け防戦を強いられるも、最後までこれをしのぎ切り8位フィニッシュを果たしている。

 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの次戦第3戦は5月13~15日、フランスのマニ・クール・サーキットで開催される。同ラウンドは今戦と同じスプリントカップイベントとなり14日(土)に予選Q1とレース1、15日(日)に予選Q2とレース2が行われる予定だ。

レース2でポール・トゥ・ウインを果たした89号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)
レース2でポール・トゥ・ウインを果たした89号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)
レース1、レース2ともに2位となった32号車アウディR8 LMS Evo II(チームWRT)
レース1、レース2ともに2位となった32号車アウディR8 LMS Evo II(チームWRT)
88号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)
88号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)