レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、マックス・フェルスタッペンについて、以前よりも冷静で落ち着いたドライバーに進化したとはいえ、これ以上レースでのリタイアが続けば爆発寸前の時限爆弾にもなり得ると語った。
F1の2022年シーズン、フェルスタッペンは最初の3戦中2戦でリタイアを余儀なくされたが、いずれも優勝したシャルル・ルクレール(フェラーリ)に次ぐ2番手を走っていたときのことだった。ルクレールは、第3戦オーストラリアGP終了時点でメルセデスのジョージ・ラッセルに34ポイント差をつけてドライバーズランキングのトップに立っている。
今週行われる第4戦エミリア・ロマーニャGPを前に、ドライバーズ選手権で6位にとどまっているフェルスタッペンだが、これまで起こったトラブルについては冷静に対応してきた。
「彼は以前よりもはるかに冷静な男になった」と、マルコはオーストリアの放送局『ORF』に対して語った。
「(メルボルンで)リタイアした後、彼がピットボックスに戻ってきて、我々は穏やかに状況を話し合った」
「しかしこのときは、問題が発生するかもしれないと我々は承知していた。予選でも同じ事態に対応していたからだ。そういう意味では、突然の出来事ではなかった」
「彼は激しやすくて情熱的なドライバーで、常に自分の意見を表明する。しかし私の見るところ、彼は以前よりもはるかに冷静になった」
今シーズンの開幕以降、レッドブルとフェルスタッペンは、コース上で別格のマシンという評価を固めたフェラーリのF1-75を捉えることに苦戦している。それに加えて、2021年のF1世界チャンピオンであるフェルスタッペンは、好調なチームメイトのセルジオ・ペレスとも競い合わなければならなくなっていた。
第2戦サウジアラビアGPでF1キャリア初のポールポジションを獲得したペレスは、今シーズンになってゲーム運びの腕を上げている。マルコはフェルスタッペンの持つ自信、あるいは自信の欠如が、ペレスとの相対的なパフォーマンス差を生んだ要因だと見ている。
「現在のマシンのセットアップを考えれば、過激なドライビングスタイルを維持する自信を失うこともある」とマルコは説明した。
「それが、チェコ(セルジオ・ペレスの愛称)が以前よりも彼に接近できている要因だろう」
レッドブルは、イモラでの第4戦がトラブルとは無縁の週末になることを願っている。しかし、チームと花形ドライバーのフェルスタッペンにとって、マシンの信頼性が再び崩れる事態になれば、フェルスタッペンの冷静な態度は瞬時に変化するかもしれない、とマルコは警告している。
「優勝を早く我々の手に取り戻さないかぎり、彼は文字どおり時限爆弾になるだろう」と、マルコは締めくくった。