S-GT2022 rd3 Suzuka Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT
真夏のような厳しい気候のなかで行なわれた決勝レースは
スタート順位からポジションアップしたものの
ラップタイムが伸びず9位でチェッカーを受ける
気象データ
気温:30度、路面温度:50度(スタート時)
5月最後の週末は全国的に一足先に夏が到来したような気候となり、スーパーGTの第3戦『たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACE』が開催された鈴鹿サーキットも5月30日(日)の決勝レース日は30度を超える真夏日となった。
今季は開幕戦、第2戦ともに不運なレース展開によってポイント圏内でのフィニッシュができていなLMcorsa。この流れを断ち切るために、レースウイークの走り始めとなる29日(土)の公式練習ではこれまでと異なるアプローチでマシンを仕上げてきた。だが、鈴鹿サーキットの現状のコンディションとはマッチせず、ベストタイムは下位に沈んでしまった。しかし、公式練習から予選までのインターバルで大幅にセットアップを見直すと、吉本大樹選手が予選Q1を突破し、予選Q2を担当した河野駿佑選手が11位に入った。
迎えた決勝レース日は朝から気温が上がり、サポートレースが実施された8時台の時点で25度超。その後も気温は上がり続け午前中の時点で真夏日となった。決勝レース前の最終確認となるウォームアップ走行は13時10分から20分間で行われた。Syntium LMcorsa GR Supra GTには吉本選手が乗り込み、30度を超えたコンディションとのマッチングを確認する。5周を走行して河野選手にドライバーチェンジをしようとしたときにGT300クラスのマシンがクラッシュを喫し、この影響でウォームアップ走行は打ち切りとなった。
コースの修復作業が発生したために決勝レースは予定していた14時30分から10分ディレイとなる14時40分にフォーメーションラップが始まる。11番グリッドからスタートしたSyntium LMcorsa GR Supra GTのステアリングを託されたのは吉本選手で、オープニングラップは順位をキープして通過する。2周目にはトラブル車両を回収するために早くもFCY(フルコースイエロー)が提示される。4周目にレースが再開すると5周目には自己ベストタイムをマークして先行するマシンにプレッシャーを与える。
8周目になると10番手を走るメルセデスAMG GTをパス。さらに順位を上げようとしたが、10周目にGT300のマシンがシケインでクラッシュしたために今後はセーフティカーが導入される。このセーフティカーラン中に数台のマシンがピットに戻ると、リスタートした14周目には8番手に浮上する。16周目に入ると周回数の1/3が消化され、規定されているドライバーチェンジが可能となった。徐々に上位陣もピットインしていき20周目には5番手まで順位を上げて、21周目にチームは吉本選手にピットインの指示を出す。河野選手にドライバーチェンジをするとともに、4本のタイヤ交換と給油を敏速に行いコースに復帰した。
コースに戻ると13番手となっていたが、先行しているマシンがピット作業を行ったため25周目には9番手までポジションが回復。27周目にはGT300クラスの全車が規定のピット作業を終えるとSyntium LMcorsa GR Supra GTは8番手となった。28周目には自己ベストの2分1秒951をマークし上位陣を追っていく。だが、後方からはストレートスピードと加速性能に勝るGT3勢がプレッシャーをかけてくる。36周目になると6番手を走っていたマシンとGT500クラスのマシンが接触し再びセーフティカーが導入される。
40周目にセーフティカーランが解除されると残り9周のスプリントレースとなる。7番手を走行していた河野選手だが、42周目に鋭い加速性能が武器のGT-Rにパスされてしまう。このまま8番手でゴールを迎えたいところだったが、ファイナルラップの後半セクションでトップ争いを行なっているGT500マシンが後方から迫ってきた。河野選手は冷静なライン取りでGT500マシンに道を譲るとともに先行したマシンを抜こうと試みる。だが、GT500とGT300のマシンが入り乱れる混戦となり、この隙にRC F GT3にパスされてしまい48周目に9位でチェッカーを受けた。
スターティンググリッドよりポジションを上げたものの理想的なレース展開には遠く及ばず、厳しい内容となってしまった。ただ3戦目にしてトップ10フィニッシュを果たし、真夏のレースに対してのデータも蓄積できた。次戦までは2カ月ほどのインターバルがあるので、4戦目以降は高い戦闘力を持つマシンに仕立てられるように準備を進めていきたい。
コメント
飯田章監督
「低迷した公式練習の状況から改善しましたが、過酷なコンディションになったこともあり想像よりも厳しいレースとなりました。ラップタイムが上がらない状況でドライバーは我慢のレースとなりましたが、ピット作業も含めてミスなく走り切れたことは良かったです。開幕戦から3戦続けて不完全燃焼な展開と内容になっていますが、次戦までは2カ月ほどの期間が空きます。この間に集めたデータを見直し上位で戦えるマシンを作り上げていければと思っています」
吉本大樹選手
「決勝レース前のウォームアップ走行では予選のときよりもさらに気温が上がったため、マシンのフィーリングに心配なところがありました。ただ決勝レースがスタートするとライバル勢と同じようなペースで走れました。それでもストレートが速いGT3勢とマシン特性が違い、前が詰まると抜かれてしまう状況でした。路面温度も相当高くタイヤにも厳しい状況で、後半の河野選手は大変だったと思います。ここまで流れに乗れないレースが続いていますが、開幕から蓄積しているデータはあるので確実に活かして夏場の戦いに備えたいです」
河野駿佑選手
「決勝レースは後半のスティントを担当し、吉本選手から最後はタイヤのグリップダウンが想定されると言われていました。そのためセーブしながら走ったのですが、結果的にはセーフティカーランやFCYとなったので大きなラップタイムの落ちはありませんでした。ライバル勢に対して大きなアドバンテージがなく、パッシングを狙うよりは順位をキープするレースとなりました。最終周に順位を下げてしまい悔いは残りますが、ポイントを獲得できて最低限の役割は果たせたと思います。次戦は得意な富士スピードウェイですし、期間が空くのでしっかりと準備を進めたいです」