Astemo NSX-GTがホームコースの鈴鹿サーキットで2位表彰台獲得
5月28日(土)~29日(日)、鈴鹿サーキット(三重県)で2022年度スーパーGTシリーズ第3戦が開催され、GT500クラスに5台の2022年型NSX-GT、GT300クラスに2台のNSX GT3が出走しました。
Honda陣営にとってはホームコースとも言える鈴鹿サーキットですが、スーパーGT GT500クラスでは2018年以来、勝つことができていません。しかし、2020年以来過去3レースでは公式予選でNSX-GTがポールポジションを獲得し、その速さは示してきました。
公式予選が行われた土曜日の鈴鹿サーキットは朝から晴天となりました。Q1セッションには8号車 ARTA NSX-GT(福住仁嶺)、16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京)、17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大)、64号車 Modulo NSX-GT(伊沢拓也)、100号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴)が出走しましたが、ランキング上位でサクセスウエイト(SW)の重い100号車(36kg)と8号車(22kg)は苦戦。
これに対してSWが1kgの16号車NSX-GT(笹原)、6kgの17号車(塚越)の2台がQ2セッションへ進出することができました。Q2セッションの結果、16号車(大湯都史樹)が4番手、17号車(松下信治)が5番グリッドを獲得しました。
決勝日も鈴鹿サーキットは晴天となり、気温、路面温度ともに上昇して厳しいコンディションの中で決勝レースが始まりました。スタートでは混乱もなく上位5台が後続を引き離し始める展開となりました。
トップ集団の最後方にいた17号車NSX-GT(松下)は、2周目のストレートで前を走る16号車NSX-GT(笹原)に並ぶと、1コーナーで順位を入れ替えて4番手に進出。さらに、走り始めのペースに苦しんでいたポールポジションスタートの19号車GR Supraもオーバーテイクして3番手へ順位を上げました。5番手となった16号車NSX-GT(笹原)も、フルコースイエローを挟んで19号車GR Supraをかわし4番手に続きました。
10周目、コース上で発生したアクシデントを処理するためセーフティカーが介入。15周目にレースが再開され、18周完了時点で16号車NSX-GT(笹原)、20周完了時点で17号車NSX-GT(松下)がピットに入り、タイヤ交換を行うとともに、それぞれが大湯、塚越へドライバー交代を行いました。このとき17号車は前を走っていた37号車GR Supraの前でコースに復帰、いわゆるアンダーカットにより事実上の順位をひとつ上げることに成功しました。
レース後半に入り、全車がドライバー交代を終えた段階で17号車NSX-GT(塚越)は、後方の37号車GR Supraとの間に1秒強の間隔をつけて2番手を走ることとなりました。一方、6番手を走る16号車NSX-GT(大湯)はタイヤ交換のため33周完了時点で2回目のピットインを行って大幅に順位を落としました。
さらに37周目にも緊急ピットインをしてタイヤ交換を行いましたが、コース復帰直後のフルコースイエロー導入時に、減速していた周回遅れのGT300車両に追突、マシンを壊してレースを終えてしまいました。替わって6番手には福住仁嶺からマシンを引き継いだ8号車NSX-GT(野尻智紀)が上がり、前を行く19号車GR Supraを追走し始めました。
2番手の17号車NSX-GT(塚越)は後続の37号車GR Supraとの間隔を1秒強に保って2番手で周回を重ね、そのまま52周を走りきってスタートから3ポジションアップの2位でチェッカーフラッグを受けました。後方、8号車NSX-GT(野尻)は最終ラップの最終コーナー立ち上がりで、終盤に追い上げてきた24号車Zのオーバーテイクを許し7位でレースを終えました。また100号車NSX-GT(牧野任祐)は9位でフィニッシュし、ここまでの3チームが選手権ポイントを獲得してシリーズ第3戦を終えました。
■<コメント>
●佐伯昌浩 HRC SGT Large Project Leader
「今回も非常に荒れたレースになりました。気温、路温とも高くなりましたが、もともと年間を通して安定したパフォーマンスを発揮できることを目指して開発したクルマなので、暑さが原因となるようなトラブルは起きませんでした」
「そんななか、サクセスウエイトの軽い17号車が予選、決勝をうまくまとめてくれました。ブリヂストンタイヤを履く8号車、100号車も3戦連続のポイント獲得で、ランキングでも3、4、5番手につけることができました。ダンロップタイヤを履く2台は、予選では速さを出せる一方、決勝でのロングラン性能にはまだ課題があるようです。今回の結果をもって修正をかけて、富士での次戦に臨みます」
●塚越広大 Astemo REAL RACING
「今回は走り出しからバランスがまずまずで、今年はなかなか進めなかったQ2にも行けてひとつ課題をクリアできました。決勝ではノブ(松下)がうまくポジションを上げてくれ、ピット戦略でもひとつ上に行けた状態でクルマを引き継いだので、そこからの長いレースの間にクルマのバランスがどう変化していくのかを推測しながら、後ろの37号車とバトルをすることになりました」
「ペースはほぼ同じでしたが油断するとすぐ追いつかれる間隔だったので気を引きしめて走りました。最後、セーフティカーが入ってトップとの間隔が詰まったので『チャンスがあるかな』とも思いましたが、今回は相手のパフォーマンスのほうが上でしたね」
●松下信治 Astemo REAL RACING
「クルマの調子はよく、予選でも2番手、3番手になれるだけのポテンシャルはあったと思いますが、僅差でそこまではいけず5番手スタートになりました」
「大事にいくつもりでしたが、チャンスはスタートしかないとも思っていたので勝負をかけました。もちろん無理をして当たってしまったらもったいないので、バランスを見ながら攻めて、自分なりによいレースができました。ピットのアンダーカットで労せずしてポジションを上げることもできたのでドライバーとしてはありがたい限りです。チームに『ありがとう』と言いたいですね」