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 5月28~29日、ドイツ・ニュルブルクリンクでADACトタルエナジーズ24時間レース(ニュルブルクリンク24時間)の決勝レースが行われ、アウディスポーツ・チーム・フェニックスの15号車アウディR8 LMSエボII(ケルビン・ファン・デル・リンデ/ドリス・ファントール/フレデリック・バービシュ/ロビン・フラインス組)が総合優勝を飾った。

 現地28日(土)16時のスタート時は気持ちの良い青空が広がっていた“聖地”ニュルブルクリンク。しかし、翌29日(日)はときおり雨が落ち、ところによって路面濡らしていく同地らしい天候のなかでの戦いとなった。

 伏兵といえる26号車フェラーリ488 GT3エボ(オクタン126)を先頭にスタートした長く厳しいレースは夕方から夜間にかけて、有力チームが次々に脱落していく波乱の展開となった。

 この時間帯に前年王者の1号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・レーシング)をはじめ、序盤戦をリードした90号車アストンマーティン・バンテージGT3(TFスポーツ)、98号車と99号車BMW M4 GT3(ローヴェ・レーシング)、5号車アウディR8 LMSエボII(シェーラー・スポーツ・チーム・フェニックス)がクラッシュ。

 さらに、明け方には72号車BMWM4 GT3(BMWジュニアチーム)も大きなクラッシュで戦列を離れている。
 
 対して中盤以降は比較的落ち着いたレース展開に。とくに上位陣では、レース折り返しの12時間をトップで通過し、15時半過ぎにふたたび首位に立った20号車BMW M4 GT3(シューベルト・モータースポーツ)が、突然の雨に足を取られてコースを外れガードレールに接触。直後に15号車アウディに首位の座を譲るシーンが見られたが、これを除いては特別大きな動きはなく、ハーフウェイ以前からトップ争いに絡んでいたチーム・フェニックスの15号車アウディがレース後半の大部分をリードした。

 しかし15号車が終始、独走状態にあったわけではなく、19時間過ぎから21時間過ぎにかけては20号車BMWに代わって2番手となった3号車メルセデスAMG GT3(メルセデスAMG・チーム・ゲットスピード)がトップに肉薄。約2時間にわたって接近戦を演じ、一時はテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げる。

メルセデスAMG・チーム・ゲットスピードの4号車メルセデスAMG GT3 2022ニュルブルクリンク24時間レース
メルセデスAMG・チーム・ゲットスピードの4号車メルセデスAMG GT3 2022ニュルブルクリンク24時間レース
22号車アウディR8 LMSエボII(アウディスポーツ・チーム・カーコレクション) 2022ニュルブルクリンク24時間レース
22号車アウディR8 LMSエボII(アウディスポーツ・チーム・カーコレクション) 2022ニュルブルクリンク24時間レース

■勝負を分けたタイヤ選択

 だが、残り3時間を切ったタイミングのピットストップでのタイヤ選択が両者の明暗を分ける。先にピットに入った3号車メルセデスがスリックタイヤを選んだ一方、約10分後にピットに戻った15号車アウディは小雨に対応できるカットスリックをチョイスした。

 この直後からコースの一部分で雨脚が強まり、完全なドライ路面用のタイヤを履く3号車のペースが落ちる。直前のピットインまで約3秒以内だったトップ2台のギャップは、次のルーティンピットインまでの約1時間で53秒にまで広がってしまう。

 ゲットスピードは22時間目のルーティン作業で3号車のタイヤをスリックからカットスリックにスイッチするも、時すでに遅し。タイム差が44秒まで縮まったタイミングもあったが、雨を降らす雲が去りほとんどのクルマがスリックタイヤに戻した最終盤にはふたたび50秒台の差に。

 結局、最後までこの差は縮まらず、ケルビン・ファン・デル・リンデ駆る15号車アウディが159周目にトップチェッカー。3号車メルセデスが55秒遅れの2位でフィニッシュした。総合3位はゲットスピードのもう1台である4号車メルセデスAMG GT3が入った。

 総合4位は残り30分までは20号車BMWのものになると思われたが、シューベルトのマシンはエキゾースト付近から白煙を吐きながらガレージに入ってしまう。これにより5番手につけていた22号車アウディR8 LMSエボII(アウディスポーツ・チーム・カーコレクション)が4位入賞を果たした。

 同門の16号車アウディR8 LMSエボII(シェーラー・スポーツ・チーム・フェニックス)が総合5位で続き、ここまでが2014年に更新された史上最多周回数に並ぶ159周を走破している。

■62歳、木下隆之がBMW M2 CSレーシングでクラス優勝

 夜間のアクシデントで僚友44号車ポルシェ911 GT3 Rを失ったファルケン・モータースポーツは、33号車ポルシェ911 GT3 Rが総合9位でフィニッシュ。ポルシェ陣営では、レース時間残り1時間と数分のところで当時9番手を走行していた18号車911 GT3 R(KCMG)がクラッシュを喫し戦線を離れている。

 2台のトヨタGRスープラGT4でSP10クラスに挑んだトーヨータイヤ・ウィズ・リング・レーシングは、83号車が総合44位/クラス5位でフィニッシュし、僚友84号車は総合113位/クラス8位となった。

 カップ5クラスを争った木下隆之組880号車BMW M2 CSレーシング(シューベルト・モータースポーツ)と、小西隆詔組の871号車BMW M2 CSレーシング(アドレナリン・レーシング)は前者に軍配が上がり、木下組880号車BMWが総合51位でクラス優勝を達成。小西組は総合105位/クラス2位でレースを終えた。

 SP3Tクラスでの優勝を目指し2019年以来、3年ぶりにニュルブルクリンク24時間に挑んだスバルテクニカインターナショナルの114号車スバルWRX STIは、既報のとおりアクシデントにより29日朝の段階でリタイアとなっている。

メルセデスAMG・チーム・ゲットスピードの3号車メルセデスAMG GT3 2022ニュルブルクリンク24時間レース
2位でフィニッシュしたメルセデスAMG・チーム・ゲットスピードの3号車メルセデスAMG GT3 2022ニュルブルクリンク24時間レース
33号車ポルシェ911 GT3 R(ファルケン・モータースポーツ) 2022ニュルブルクリンク24時間レース
33号車ポルシェ911 GT3 R(ファルケン・モータースポーツ) 2022ニュルブルクリンク24時間レース
83号車トヨタGRスープラGT4(トーヨータイヤ・ウィズ・リング・レーシング) 2022ニュルブルクリンク24時間レース
83号車トヨタGRスープラGT4(トーヨータイヤ・ウィズ・リング・レーシング) 2022ニュルブルクリンク24時間レース