5月28日から翌29日にかけてドイツ、ニュルブルクリンクで開催されているADACトタルエナジーズ24時間レースに参戦しているスバルテクニカインターナショナル(STI)は、114号車スバルWRX STI(カルロ・バン・ダム/ティム・シュリック/マルセル・ラッセー/佐々木孝太組)がニュルブルクリンク24時間の決勝レースでリタイアとなったことを明らかにした。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で過去2年出場を取りやめた後、今年3年ぶりにニュルブルクリンクでの耐久レースに復帰したスバル/STI。
参戦休止中も日本で開発が続けられたスバルWRX STIを、同レースのSP3Tクラスに投入しクラス優勝を目指していたが、マシントラブルに起因するアクシデントの影響でレースを諦めることになった。
■全開走行中にバースト、クラッシュ
予選でクラスポールポジションを獲得した114号車スバルは決勝でも好ペースで周回を重ね、SP3Tクラストップを快走していた。しかし、日付をまたいだ29日(日)の深夜3時直前に6km地点先の左コーナーでストップしているという情報が入る。
当時マシンのステアリングを握っていた佐々木からは、「長い下り坂を6速全開で降っている時にタイヤが突然バーストして、右側のガードレールに当たってコースの左側に止まりました」という無線がチームに入った。
250km/h以上のスピードが出る場所でのアクシデントだったにもかかわらず、幸い怪我もなく無事だった佐々木は現地5時過ぎにパドックに戻ってきた。また、事故後に回収されたクルマも佐々木に続いてチームの元に帰還。クラッシュを喫した車両はフロント両輪に大きなダメージを負い、右リヤのサスペンションアームも曲がっている状態だった。
■サスペンションのトラブルによってタイヤが破損
アクシデントの検証を行ったチームは、車載データなどから左フロントのサスペンションが何らかの理由で破損したことを突き止め、それによってホイールリムの内側を削り、タイヤのバーストを引き起こしたとみている。
サスペンションの破損とそれに起因するバースト、さらに高速コーナーという要因が重なったことで発生した大きなクラッシュにより、スバルWRX STIはフレーム部分にもダメージを受けたという。この損傷についてチームはレース中の修復は不可能と判断。現地6時を前に2022年のレースから退くことを決めている。