2022 AUTOBACS SUPER GT Report
たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACE
第3戦 鈴鹿サーキット
ZENT CERUMO GR Supra
#38 立川祐路/石浦宏明
◆5月28日(土) QUALIFY
公式予選結果 出走せず
第1戦岡山からの好調を続けながらも、まさかのピットストップでのペナルティで12位という結果で終わったTGR TEAM ZENT CERUMOの第2戦富士。5月にはもう1戦レースがあるが、迎えた第3戦の舞台は、富士とはまったくキャラクターが異なる中高速コースの鈴鹿サーキットだ。TGR TEAM ZENT CERUMOにとって決して相性が悪いコースというわけではない。第1戦での調子を取り戻すべく、チームは鈴鹿に乗り込んだ。
迎えた5月28日(土)の予選日は、直前のFIA-F4の公式予選でのディレイのため、当初予定から 5分遅れとなる午前9時30分からの公式練習で走行がスタートした。この時点で気温は26℃と、初夏の陽気のもとでの予選日となっていた。
ZENT CERUMO GR Supraはまずは石浦宏明からステアリングを握りコースインする。第1戦からフィーリングは良好だったこともあり、今回はさらに攻めたセットアップを施していたが、それを確認しつつ、6周目には1分47秒078といいうベストタイムをマークする。ただ、石浦のフィーリングはあまり良好ではなかった。ここから、新たなセットアップから良い面を残しつつ、セットアップを少しずつ戻す作業が進められていった。
石浦は17周を走りピットにZENT CERUMO GR Supraを戻すと、立川祐路に交代する。石浦からセットアップの確認を引き継いだ立川だが、やはり新たなセットはあまり感触が良くない。第2戦ではピット戦略もあり、1周もできないまま決勝レースを終えることになってしまった立川だが、その悔しさを午後の予選にぶつけるべくセットの確認を続け、GT500クラスの専有走行でニュータイヤを装着。予選シミュレーションに臨んでいった。
立川はコースインした後、タイヤをウォームアップさせながらアウトラップ2周目に入っていったが、NISSINブレーキヘアピンの立ち上がりで、急にパワーが感じられなくなってしまった。コクピットにはアラートのランプがつく。立川は異変を感じ取り、スプーンカーブ立ち上がりでコースサイドにZENT CERUMO GR Supraを停止させた。
コクピットから立川が降りると、なんとZENT CERUMO GR Supraのフロントから白煙が上がり、出火している。迅速な行動で知られる鈴鹿サーキットのオフィシャルが急いで消火剤をかけ、すぐに鎮火することができたが、ZENT CERUMO GR Supraのフロントは大きなダメージを負ってしまった。原因としては、燃料系のトラブルによる出火ということは確認ができたが、詳細は今後調査を進めていくことになる。
当然、エンジン交換をはじめ多くの作業が必要になることが予想され、TGR TEAM ZENT CERUMOのメカニックたちはなんとか予選までに作業を間に合わせるべく行動を開始するが、火の手は予想以上にZENT CERUMO GR Supraにダメージを与えていることが判明した。急いで修復を間に合わせても、ドライバーたちをさらに危険にさらしてしまう。決勝までに走る機会を得ておきたいところではあったが、チームは午後3時18分からの予選への出走を断念し、翌日の決勝までにしっかりと修復することを選択した。
もちろん、予選に出走できなかったことから、グリッドはGT500最後尾の15番手となる。オーバーテイクがしづらい鈴鹿ではあるが、ZENT CERUMO GR Supraのもつポテンシャルを活かしての追い上げを信じ、TGR TEAM ZENT CERUMOはしっかりと修復を終えるべく、作業を続けている。
ドライバー/立川祐路
「公式練習の最後に出火してしまいましたが、かなり火も大きく、まずいな……と思いましたね。それまでは石浦選手からフィーリングを聞きつつ、クルマのセットアップを大きく変更していきましたが、ニュータイヤを履いてその確認をしたかったところで、それができずに終わってしまったことが痛いですね。明日は開幕戦以来のレースになりますが、前回走れなかった悔しさをぶつけたいと思います。最後尾からどこまで追い上げられるか分かりませんが、自分がなんとかするつもりで頑張りたいと思います」
ドライバー/石浦宏明
「公式練習ではクリアラップもあまり取れなかったこともあったのですが、トップ争いができそうなフィーリングはありませんでした。しかしそれも理由があり、今回セットアップでいろいろなチャレンジを行っていたからで、うまくいったもの、うまくいかなかったものを確認しつつ、少しずつ戻したりなど、予定どおりに組み立てていっていました。立川選手に交代してからもそれを進めていたのですが。予選の結果を見てもGR Supra勢にチャンスはあったと思うので、トラブルは残念ですね。予選までに間に合わせようとメカニックがみんなで頑張ってくれたのですが、しっかりと修復しなければ明日以降も影響がありそうでしたので、仕方がないです。大きなミスでトラブルが出たわけでもありませんし、決勝レースでは最後尾から追い上げられるパフォーマンスがあると思っています。戦えるタイヤもあるので、1台ずつしっかり抜いて、上位にいきたいですね」
田中耕太郎監督
「公式練習ではまだ少しセットアップを探る必要がありましたが、タイヤについては良いものを見つけることができた矢先でのトラブルとなりました。前戦ではピットストップでのミスで落としてしまっていましたし、今回もこんなトラブルになってしまっています。体制ももっとしっかりしなければいけないと感じています。もう一度チームの能力を上げるためにベースラインに立ち帰り、決勝はきちんとレースを戦えることを示さなければならないと思っています」