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 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、5月5日から7日にかけてベルギー、スパ・フランコルシャン・サーキットで開催される、WEC世界耐久選手権第2戦スパ6時間レースでの今季初勝利を目指し、トヨタGR010ハイブリッド7号車と8号車の2台体制で同レースに挑む。

 今年3月にアメリカ・フロリダ州のセブリングで行われた2022年シーズン開幕戦は、今回と同様に2台のハイパーカーを走らせたチームにとって厳しい戦いとなった。ディフェンディングチャンピオンであるマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組7号車は、スタートから3時間過ぎに激しいクラッシュを喫しリタイアに。7号車はこのアクシデントによってシャシーが損傷したため、第2戦スパでは新車が投入される予定だ。

 一方、僚友のセバスチャン・ブエミとブレンドン・ハートレー、そして中嶋一貴TGR-E副会長に代わって新しいチームメンバーとして迎えられた平川亮が乗り込んだ8号車は2位表彰台を獲得するも、トヨタGR010ハイブリッドが2021年のデビュー以来続いていた連勝は6でストップしている。

 そんなTGRにとって、チームの拠点があるドイツ・ケルンから近いスパ・フランコルシャンで行われるスパ6時間レースは“ホームレース”のひとつと言える。トヨタチームはここで通算6勝をマークしており、来週末はスパ6連勝を目指してレースを戦っていく。

コース改修が行われる以前の、スパ・フランコルシャン名物のオー・ルージュ~ラディオン
コース改修が行われる以前の、スパ・フランコルシャン名物のオー・ルージュ~ラディオン

 なお、スパ・フランコルシャン・サーキットでは、同コース最大の特徴でもあるオー・ルージュからラディオンへと続く部分で、待避エリアやランオフエリアが拡大されるとともににコース路面も再舗装されるなど、安全性を高めるための改修が行われており、WECスパは改修後初めて行われるメジャーレースとなる。

 シリーズのハイライトで“世界三大レース”のひとつであるル・マン24時間の前哨戦に位置づけられるスパでのレースは、5月5日(木)に走行初日を迎え夕方から90分間のフリープラクティス1回目が実施される。翌6日(金)はプラクティス2、プラクティス3の後、18時20分(日本時間25時20分)から予選が行われる。決勝は7日土曜13時(日本時間20時)にスタートが切られる予定だ。

 WECの2022年シーズン第2ラウンドに臨むTGRドライバーたちのプレビューコメントは以下のとおり。

■7号車トヨタGR010ハイブリッド

●小林可夢偉(ドライバー兼チーム代表)

「残念な結果に終わってしまったセブリングのあと、今月上旬にはポルトガルのポルティマオ・サーキットでのテストを行うなど、ドライバー、チーム一丸となって改良に向け懸命に取り組んできました。ポルティマオでのテストは開始時に降雨に見舞われたにもかかわらず順調に進み、多くの周回を重ね、ル・マンに向けてもっても重要な要素である耐久テストを実施できましたし、スパに向けても幾つかの作業をこなしました」

「セブリングでは荒れた路面が車体のバランスやパフォーマンスに大きく影響しましたが、スパはセブリングよりも我々の車両に向いているので、上位争いができると期待しており、誰もが今季初勝利へ向けて全力を尽くしています」

「昨年のル・マン以来となる、ヨーロッパのファンと再会できることを心待ちにしていますし、特別なレースウイークになるでしょう。スパのファンの皆さまはいつも本当に熱狂的で、多くの声援を送ってくれるので、それに応えたいと思います。応援よろしくお願いします」

●マイク・コンウェイ

「スパは本当に素晴らしいサーキットで、お気に入りのコースのひとつなので行くのがいつも楽しみなんだ。去年のスパはトヨタGR010ハイブリッドでの最初のレースだったこともあり、我々はクルマについて多くのことを学習しなくてはならなかったが、今年は理解という点において進展していると思う」

「しかし、その後BoP(性能調整)が変更されているので、来週のレースで我々がどのくらいの位置にいるかはまったく分からない。今のパッケージから最大限のパフォーマンスを引き出して、上位を争えるように頑張りたい」

●ホセ-マリア・ロペス

「セブリングは本当に残念な結果に終わってしまい、今もまだ悔しい。それだけにマイク、可夢偉とチーム全員、スパでは巻き返すという決意で臨むつもりだ」

「スパはつねに、ル・マンの前哨戦としても重要なレースであり、次に待つ最大のイベントをうまく戦うためにも、すべての準備を間違いなくこなしていく必要がある。セブリングの時よりも競争力を高め、優勝を争えるポジションを目指すよ」

WEC開幕戦決勝で大クラッシュを喫したトヨタの7号車GR010ハイブリッド
WEC開幕戦決勝で大クラッシュを喫したトヨタの7号車GR010ハイブリッド

■8号車トヨタGR010ハイブリッド

●セバスチャン・ブエミ

「スパはお気に入りのサーキットで、何度行っても楽しい。あのコースをレースカーで走るのは最高の体験だし、幸運にも5回も優勝している僕にとって、特別なコースだ」

「セブリングでの2位表彰台という結果は、シーズンスタートという意味では悪くはないが、トップとの差はとても大きいものだった。スパはどちらかと言えば典型的なWECのサーキットだし、BoP(性能調整)が我々のトヨタGR010ハイブリッドにとって良い方向に働いてくれることを期待している」

●ブレンドン・ハートレー

「スパでのレースはつねにエキサイティングなので、トヨタGR010ハイブリッドとともにあのコースへと戻るのが待ち遠しいよ。我々8号車は開幕戦セブリングで2位表彰台という、まずまずのスタートを切ることができたが、来週のレースではさらにライバルとの差を詰めなくてはならない」

「シーズンが開幕してからの数週間、我々はポルティマオでのテストや、ファクトリーへ戻ってからの作業など、スパへの準備のために多くの有意義な時間を過ごし、準備は整った。あとはあの“スパ・ウェザー”次第だろうね」

●平川亮

「素晴らしいコースであるスパで、またレースをするのが楽しみです。個人的にセブリングは良いレースができたと思っており、WECのキャリアデビュー戦としては2位表彰台という結果にも満足しています」

「セブリングは私にとって初体験のコースだったので、学ぶことが沢山ありました。しかし、スパのことはよく知っているので、セブリングよりもうまくやれるはずですし、スパでは過去に何度か良い結果を出しているので、自信もあります。トヨタGR010ハイブリッドでスパを走るのは初めてなので本当に楽しみですし、早く走り始めたいです」