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 4月22〜24日、イタリアのイモラで開催されたFIA F2第3ラウンド。佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)は、レース1で16位フィニッシュ。レース2では展開を読み表彰台圏内をうかがう走りをみせるも、わずかにタイミングが合わない不運に見舞われ11位でチェッカーを受けた。

 今季チーム移籍を果たした万璃音にとって、イモラは得意なサーキットのひとつ。イタリアF4で四輪レースデビューを飾り、イタリアは勝手知ったる国。そんなホームとも言えるコースで、万璃音は4月22日(金)のフリー走行に臨んだが、大雨のため大幅なディレイとなり、午後3時からフリー走行がスタートした。

 このフリー走行では依然として強い雨脚のなか、スピン、コースアウトする車両が続出するも、万璃音は6番手タイムをマーク。まずまずの滑り出しをみせた。ただ、19時10分から行われた30分間の公式予選では、雨のなかセッション開始8分で赤旗が出され中断。各車ともニュータイヤを装着して最後のアタックに備えるが、万璃音はセッション開始直後からタイヤのグリップ不足を訴え、不本意な予選22番手という結果に終わってしまった。

 4月23日(土)の決勝レース1は、現地時間17時55分に気温18.3℃、路面温度25℃というコンディションでスタート。やや濡れた部分はあるものの、ドライコンディションでのレースとなった。25周の決勝はスタート早々にアクシデントによりセーフティカー(SC)が出され、5周目に再開。10周目にコースサイドにストップしたマシンを回収するためバーチャルセーフテイカー(VSC)が導入された。

 その後は大きな波乱もなく、万璃音は好スタートを決めてポジションをアップし、レースラップもトップと遜色ない走りで16番手までポジションを上げて無事チェッカーを受けた。

 4月24日(日)のレース2は、10時20分に35周のレースがスタートした。気温14.7℃、路面温度23.5℃、ドライコンディションのもと行われたレースでは、万璃音は最後尾からまたも好スタートを決め順位を上げ、1周目に上位陣で起きたアクシデントをうまく避けて16番手までポジションを上げる。そのアクシデントでセーフティカーランとなったが、5周目にレース再開。しかし6周目にまたしてもクラッシュするマシンが出たため、二度目のSCが導入された。

 SC導入のままタイヤ交換が可能となる8周目を迎え、多くのマシンがピットに飛び込むが、万璃音はステイアウト。ポジションを6番手まで上げる。その後、10周目にリスタートを迎えると、15周目にはタンブレロのシケイン進入で前を行くマシンをオーバーテイクして5番手へと浮上。たくみなタイヤマネージメントをみせながら、さらに前を行くマシンを追う。

 レースはその後、20周目にアクシデントによるVSCが出され、25周目にリスタート。万璃音は26周目に4番手、27周目に3番手、そして28周目には2番手まで浮上する。残り3周となった32周目にアクシデントでVSCが出され、そのタイミングでタイヤ交換に入れば2位表彰台となったのが、なんと万璃音がストレートを通過した直後にVSCがSC導入に代わってしまい、万事休す。

 最後までタイヤ交換をせずステイアウトした作戦だったが、タイヤ交換の義務を果たすために34周目にピットインしてタイヤ交換。11番手でレースに復帰したものの、SC先導のまま11位でチェッカーとなった。

「前回、イモラのレースでは優勝を狙うと言っていましたが、ドライコンディションでのマシンのフィーリングはとても良く、攻めれば攻めるほどタイムが出せるし、ピットの指示どおりタイヤマネージメントも上手くいっていたので、トップグループ以上のペースで走れたレースでした。決勝レース2では最後の最後にVSCとSCでタイヤ交換のタイミングを奪われた本当に悔しいレースとなってしまいましたが、今回は予選結果がすべてだとしか言いようがありません」と万璃音はイモラ戦を振り返った。

「予選は1セット目のレインタイヤの1周目がベストで、赤旗の後、交換した2セット目はまったくグリップが無く、すべてのセクターで飛び出し続けてまともに1周できない悲惨な状況でした。データを見てもブレーキに対してタイヤのグリップ力が足りていない状況で、チーム側からもタイヤの個体差としか言いようがないと説明されました」

「気を取り直してレース1に臨みましたが、スタートの混乱をうまく避けてポジションを上げ、タイヤマネージメントもうまくいき、自分のペースは落ちなかったのですが、あれ以上前を抜けるペースはなかったですね。その部分のデータをチェックし、自信をもってレース2に臨みました」

「レース2でもスタートはうまくいき、1周目は16番手。そのままいいペースでバトルができて、ライバルたちに比べても自分のほうが良い走りだったと思います。とにかくタイヤには厳しかったですが、2回目のSCでピットに入ることなくステイアウトしかないと粘りました。攻めに攻めたレースですが、最後は3回目のSCにやられましたね。ピットレーンに入りたくてもVSCのせいでピットクローズド。自分たちがコントロールラインを通過した後のあのタイミングでVSCからSCに切り替えられたら、もはや自分たちには成す術がないです」

 ペースも良さを結果に繋げられなかったイモラ戦だが、「今回のレースはマシンのバランスもペースも良かったですし、タイム的にも良く頑張ったレースだと思います。なかなか期待どおりにいかないですが、着実に前に進んでいますので、次のレースに自分自身も大きな期待を抱いています。応援ありがとうございました」と万璃音は前を向いた。

FIA F2イモラ 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
FIA F2イモラ 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)