1990年のニッサン・スカイラインGT-Rでの初参戦を皮切りに、日本人最多となるニュルブルクリンク24時間参戦回数を誇る木下隆之。本人も一体通算何度のニュルブルクリンク24時間に参戦したのかは覚えていないといい、「大体25回くらいかな?」と笑う木下。そんな木下が4年のブランクを経て、2022年の第50回ADAC・トタル24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)に、BMWの名門シューベルト・モータースポーツのBMW M2 CSレーシングで参戦する。レースを目前に控えるなか、待ち焦がれたニュルへの想いを聞いた。
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──4年ぶりのニュルですが、久々にこの地でどんな思いがありますか?
「実際に来るのは4年ぶりですが、自分の気持ち的には毎年この地を訪れていたつもりです(笑)。久々に来てみて、めちゃくちゃ興奮しています」
「どうしてもニュル24時間レースにまた出たくて、新型コロナ禍が落ち着くのを首を長くして待っていました。今回は、思い切って名門シューベルトに『シートの空きがないか、ドライブできるチャンスはあるか』と問い合わせたところ、快く受けて入れてもらいました。実際にチームと対面してみると、アットホームな雰囲気で迎え入れてもらってホッとしていますね」
──ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)や5月6〜8日に行われた予選レースをスキップし、ニュルブルクリンク24時間のレースウイークにぶっつけ本番で挑まれますが、心構えをお聞かせいただけますか?
「走ってみないとわからないですが、YouTubeではニュルの走行動画は毎日のように見ているので、この4年間実際のコースをまったく走っていないという気がしないですね。日本でもBMW M2 CSレーシングをドライブしていることもあり、4年のブランクがあっても問題なく走れると思っています」
──今回はクラウドファンディングで、ファンのみなさんからのサポートを受けて走られるようですね。
「そのみなさんの想いを受けてここに立たせて頂いています。『気負わずに、楽しんでいっていらっしゃい』といったメッセージをたくさん頂いたので、その言葉に甘えさせて頂き、思う存分と4年ぶりのニュルを楽しませて頂くつもりです。あんなにたくさんの方に応援してもらったので、引くに引けない状態にもなってしまいましたしね(笑)」
──レース中にはファンのみなさんに向けて、現場から発信をされるのですか?
「動画やメールをレース中に可能な限りアップして、日本から応援してくれるファンの方と、現場の雰囲気、ニュルの雰囲気をわかち合いたいと思っていいます」
「いま言うことではないかも知れませんが、今回久々にニュルに出て、『あぁ楽しかった!』で終わるつもりはなく、来年もその次も継続して参戦をするつもりでここへ来ています。今日がこの新しい挑戦の始まりで、それをずっと続けるつもりです」
「チームはこのままシューベルトに所属するのか、他へ移籍するのかは、現時点でわからないですが、今後もまた以前のように、ニュル24時間にライフワークとして参戦するつもりです。その第一章がいよいよ始まるんだな、という気持ちでワクワクしています」
──還暦をこえてから、またニュルへの新たなチャレンジを始められるとのことで、同世代のドライバーやレースを楽しむジェントルマンドライバーにも力や勇気を与える存在になるのではないでしょうか。
「そうなれると良いな、と思います。自分では62歳という年齢をまったく感じてはおらず、走りにも衰えを感じてはいません。無理やり奮い立たせて走っている訳でもないし、あとせいぜい20年はニュルを走ります(笑)」
──4年ぶりとなるニュル24時間の目標は?
「BMW M2 CSレーシングのなかではトップでゴールできるようにしたいです。同じクラスに日本人のジェントルマンドライバーの小西隆詔選手が参戦されるそうで、コース上で会えればいいなと思います。でも、悪いけどお先に行かせて貰いますね(笑)。日本人代表として、日の丸の国旗を背負って参戦するし、僕のレーシングスーツにはドイツ国旗と日本国旗の両方を掲げているんです。両国の半分ずつになった、そんな気持ちで挑みたいと思いますね」