4月24日現地時間15時、F1第4戦エミリア・ロマーニャGPの決勝が行われた。
午前中は晴れ間が広がっていたが、正午になって雲が増え急に雨が降り出してウエットコンディションに。雨は14時に上がったものの、気温は12度、路面温度は18度というコンディション。路面は濡れたままでインターミディエイトタイヤを履いてスタートに臨んだ。
スプリントレースでクラッシュし激しい損傷を負った周冠宇(アルファロメオ)は、パルクフェルメ下でマシンに変更を加えたためピットレーンスタートが義務づけられた。
スタートでポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が好加速を決め、加速が鈍かった2番グリッドのシャルル・ルクレール(フェラーリ)の前にセルジオ・ペレス(レッドブル)、ランド・ノリス(マクラーレン)が出てターン2へ。ターン2の出口でアウト側にはらんだダニエル・リカルド(マクラーレン)に押し出されるかたちでカルロス・サインツ(フェラーリ)がスピンオフしグラベルに埋まってリタイア。その先のターン3ではミック・シューマッハー(ハース)もコースオフを喫している。
これでセーフティカーが導入され、順位は首位フェルスタッペン、2番手ペレス、3番手ノリス、4番手ルクレール、5番手にケビン・マグヌッセン(ハース)、6番手にジョージ・ラッセル(メルセデス)が大きく躍進、7番手にターン2でリカルドに追突したものの生き残ったバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、8番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、9番手セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、角田裕毅(アルファタウリ)は10番手までポジションを上げた。
路面は急速に水量が減ってドライラインが見え始めるが、まだスリックタイヤを履くのはリスキーだとフェルスタッペンは報告する。
レースは5周目に再開。各車とも大きな混乱はなく順位をキープしてレースを再開していく。首位フェルスタッペンはプッシュで後続を引き離し、2番手ペレスとのギャップを一気に広げていく。DRSが使用できないこともあり、4番手ルクレールは前のノリスを攻略できない。しかし7周目のターン7でインに飛び込んでパスし3番手に上がった。
6周目のターン2でルイス・ハミルトン(メルセデス)はフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)をパスして12番手へ浮上。アロンソは1周目のシューマッハーとの接触で右のサイドポッドが激しく損傷しており、ピットに戻ってリタイアを強いられた。
首位フェルスタッペンはファステストを塗り替えながら後続とのギャップを5秒まで広げていく。ルクレールは2番手ペレスの2.5秒後方に留まっている。
後方では5番手マグヌッセンに対してラッセルがプレッシャーを掛けるがなかなか抜ききれず、7番手ボッタスも背後に迫る。ラッセルは12周目のバリアンテアルタでインに飛び込んでパスし5番手へ浮上。ボッタスも13周目のリバッツァでインに並びマグヌッセンを攻略した。
16周目、最後尾のリカルドがギャンブルでピットインしていち早くミディアムタイヤに交換する。このタイムを見て18周目にはペレス、ラッセルら大半がピットイン。19周目にはフェルスタッペン、ルクレール、ノリスもピットインして全車がミディアムに履き替える。
ルクレールはペレスの直前でコースに復帰したものの、ペレスはルクレールのタイヤが温まる前のターン5でインに飛び込んで2番手を取り戻した。しかしルクレールはファステストラップを記録しながらペレスにプレッシャーを掛けていく。この間に首位フェルスタッペンは7秒先行を果たした。ペレスはここからペースを上げ、ルクレールに1.5秒のギャップを築いていった。
角田は9番手につけ、後方にランス・ストロール(アストンマーティン)、エステバン・オコン(アルピーヌ)、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)、ハミルトン、リカルドを従えて走行する。シューマッハーは24周目のターン14で止まり切れずコースオフし、スピンを喫して18番手まで後退した。角田は後続のストロールのラインを潰して巧みに抑えながらも前のマグヌッセンとのギャップをじわじわと縮めていく。ストロールはやがてペースが落ちて角田の後方にはギャップが広がった。
ペレスは28周目のバリアンテアルタで止まり切れずコースオフを喫し、ルクレールが再び背後につくが抜くまでには至らず。30周目の時点で首位フェルスタッペンとペレスの間には10秒のギャップが広がった。
30周目、リカルドは2度目のピットインでハードタイヤに履き替える。路面はレーシングライン外もかなり乾き始め、34周目にはレースコントロールがDRSを使用可能とした。しかしバトルはなかなか可能にはならず、各所でタイヤマネージメントをしながらの膠着状態が続く。ガスリーにプレッシャーを掛ける14番手ハミルトンもDRSトレインのなかで抜くことができず、41周目にはフェルスタッペンによって周回遅れにされてしまった。
首位フェルスタッペンの11秒後方に2番手ペレス、そこからじわじわと引き離されて3秒後方の3番手ルクレールは、後方4番手のノリスとの間に25秒のギャップができ2ストップ作戦への切り替えを打診するが、チームは最後までステイアウトすることを選択した。
45周目には角田がついに8番手マグヌッセンの背後に迫る。そして48周目のメインストレートでDRSを使って抜き去り、8番手に浮上してみせた。
49周目、ペレス攻略が困難だと判断したルクレールはピットインしてソフトタイヤに履き替え、ノリスの後ろ4番手でコースに復帰する。これに対してレッドブルは50周目にペレスをピットインさせ、2台の前でコース復帰させる。
ノリスはタイヤをいたわるためにルクレールと戦うなと指示されており、ルクレールは51周目のターン1〜2でノリスを抜き3番手に上がる。51周目にルクレールはファステストラップを更新し、首位フェルスタッペンも51周目にピットインしてソフトに履き替えた。ルクレールはペレスに迫っていくが、53周目のターン14イン側縁石に乗り上げてスピンを喫し、バリアに接触してフロントウイングを破損。ピットインを強いられ9番手まで後退してしまった。
角田は最後にベッテルに追い着き、猛攻を仕掛けてオーバーテイク。これで6番手までポジションを上げてみせた。
フェルスタッペンは55周目にファステストラップを0.4秒更新し、ファステストポイントを掴みとり、そのまま首位でチェッカードフラッグを受けてエミリア・ロマーニャGPの週末を完全勝利で飾ってみせた。2位にペレス、3位は最後までタイヤを保たせたノリス、ラスト数周にボッタスのプレッシャーを受けながらもラッセルが4位を守った。
ルクレールはマシンに違和感を感じているもののデータ上はマシンに問題がないといい、マグヌッセンとベッテル、最後に角田を抜いて6位でフィニッシュ。角田は7位で開幕戦以来となるポイント獲得を果たした。8位ベッテル、9位マグヌッセン、10位ストロールという結果となった。