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 抜きにくいコース特性で例年、単調になりがちなスペインGPが今年は一変、接触事故や上位走行中のマシンのコースアウト、相次ぐマシントラブルなど目が離せない展開となった。3連勝で今季4勝目を飾ったレッドブルF1マックス・フェルスタッペンがついに選手権首位に浮上。22歳になったアルファタウリF1の角田裕毅は10位で今季3度目の入賞を果たした。バルセロナ・カタロニアサーキットの週末をドライバー、チーム関係者のSNSで振り返る。
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2016年……6年前のスペインGPは、フェルスタッペンがトロロッソF1からレッドブルF1に移籍して、いきなりキャリア初優勝を飾った思い出のレース。それ以来となるスペインGPでの勝利でF1優勝数を通算24回とした。

ポールポジションからスタートし、危なげないレース運びで今季の3勝目が見えていたフェラーリF1のシャルル・ルクレールだったが、好事魔多し、まさかのMGU-Hとターボのトラブルでストップ。次戦、地元モナコGPで巻き返しを誓う。

第3戦オーストラリアGP終了時点で最大46ポイントあったフェルスタッペンとの差も逆転され、ルクレールはついにランキング首位から陥落。しかし、まだまだ僅差の攻防は続いていきそうだ。

フェラーリF1カルロス・サインツは、地元スペインの大応援団の声援を受け、キャリア初優勝といきたいところだったが、単独コースオフで大きく後退。レース終盤には一度は先行を許したメルセデスF1ルイス・ハミルトンを抜き返し、なんとか挽回を図ったが、表彰台にはあと一歩届かず4位でフィニッシュ。

ちなみにサインツは2015年のF1デビュー以来、トロロッソ(15~17年)、ルノー(17~18年)、マクラーレン(19~20年)、フェラーリ(21年~)と4チームを渡り歩きながら、8年連続地元スペインGPで入賞を果たしている。

■当時角田はまだ5歳。地元スペインに飾られたアロンソのチャンピオンマシン

開幕から抜群の安定感でここまで唯一、全戦入賞を果たしているメルセデスF1ジョージ・ラッセルは、シーズン2度目の3位表彰台を獲得。チームがスペインGPに持ち込んだアップグレードは、これまで悩まされてきたポーパシングの問題を大幅に軽減し、ようやく戦える体制が整ってきた。大半のセッションでチームメイトを上まわり、7度のワールドチャンピオンを苛立たせているのも今季のみどころのひとつ。

猛暑のレースで体力的にはかなり厳しかったものの、2年目の進化を感じさせる今季3度目の入賞を果たした角田裕毅。アルファタウリF1は今回のレースにアップデートを持ち込まなかったが、コンスタントにチームメイトを上まわり、大混戦の中団勢のなかで着実に結果を残していく姿が頼もしくなってきた。

PU交換で最後尾スタートとなったアルピーヌF1フェルナンド・アロンソは、劣勢をものともせず9位入賞。満員のスタンドも地元の英雄の活躍に大満足。数年間のまわり道もあったが、まだまだF1が楽しくて仕方ない様子だ。

地元オビエドにあるアロンソ・ミュージアムには、アロンソが2005年に初のF1ワールドチャンピオンを獲得したルノー・R25も展示されている。なんと、角田裕毅が5歳のときのマシンだ。

レース序盤のハースF1ケビン・マグヌッセンとの接触事故で大きく順位を落としたハミルトン。少し嫌気がさし、無線でチームに「PU温存のためリタイア」を提案したが、「8位でフィニッシュできるかもしれない」となだめられレースを続行。最後はトラブルに見舞われながらも5位入賞を果たした。

ドライバー・オブ・ザ・デイを獲得したハミルトン。目覚ましい進化を遂げたメルセデスF1、シーズン中盤に向けフェラーリ、レッドブルとの三つ巴の争いが見られるか?

■10年前にウイリアムズに勝利をもたらしたあの人が古巣訪問

2012年、今から10年前のスペインGPで、当時フェラーリのアロンソを退け、まさかのF1初優勝を果たしたパストール・マルドナド氏もやって来た。ウイリアムズF1はその優勝を最後に10年間勝利から遠ざかっている。

伸び伸びとレースを楽しむアルファロメオF1バルテリ・ボッタス。今シーズン、中団グループのトップを走る姿がすっかり定着してきた。

ハースF1ミック・シューマッハーは、初めて予選Q3に進出し、決勝では10番グリッドから一時は6番手までポジションアップ。セバスチャン・ベッテルと接触して入賞目前でリタイアした前戦の悔しさを晴らすチャンスが巡ってきたかと思われたが、ライバルのペースについていくことができず徐々に後退し、14位完走。惜しくもF1初入賞はまたもお預けとなった。

かつての栄光を散りばめた1枚で、すでに次戦モナコGPを見据えているマクラーレンF1。今シーズン、ここまで苦しい戦いが続いているダニエル・リカルドは優勝経験もあるこのコースで、浮上のきっかけを掴めるか?