もっと詳しく

 ウエットコンディションでのレースとなった全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦鈴鹿決勝。初優勝を飾った松下信治(B-MAX Racing Team)をはじめ、雨を味方につけたドライバーが上位に食い込んだ一方、途中にタイヤ交換を余儀なくされるなどして、大きくポジションを落としてしまい、苦しいレース展開を強いられたドライバーもいた(ウエットタイヤスタートの場合、タイヤ交換義務はない)。

 彼らにはいった何が起きていたのだろうか。レース後、3人のドライバーを直撃した。

■「4周目にはまともに走れなくなった」山下健太

 国内トップフォーミュラでは、およそ3年半ぶりにフロントロウからスタートを切った山下健太(KONDO RACING)。ウエットコンディションだったが、まずまずのダッシュを決めて2番手をキープしそのまま上位争いを演じるひとりとなるかと思われたが、7周目の逆バンクで牧野任祐(DOCOMO DANDELION RACING)に抜かれたのを皮切りに、一気にペースダウン。11周目にタイヤ交換を行ったが、そこで右フロントタイヤを外した際にナットがマシンの下に転がってしまうハプニングも発生し、大きくタイムロスを喫した。

「3周目くらいから、リヤがだいぶ厳しくなって、4周目にはまともに走れないくらいになって……」

 16位でチェッカーを受けた山下は予選結果からか離れた順位となったこともあり、ミックスゾーンでの言葉数も少なく、相当落胆している様子だった。ピットストップについてはチームの判断だったというが、タイヤを換えても、大きな改善は見られなかったという。

「ピットに入るか否かはチームに判断してもらって、最終的にピットに入りました。2セット目のバランスはちょっと良かったですけど、あまり変わらなかったです」

「朝は良かったんですけど、レースになってグリップしなくなりました。フリー走行でも30分も赤旗中断があったりして、ちゃんとタイヤが温まる前にセッションが終わってしまったところはありました。そういう意味でちゃんと長く走れたのは、決勝が初めてという状態でした。みんな一緒だと思うんですけど、(クルマが)なかなか合っていなかったなと思います」

「予選であのポジションにつけたのは良かったですけどね……。なかなか、いつもうまくいかないですね」

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 山下健太(KONDO RACING)
2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 山下健太(KONDO RACING)

■「問題がありすぎた」宮田莉朋。無線の不調にも泣く

 4番グリッドからスタートした宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)だったが、スタート時のクラッチミートの際に問題が起きたようで出遅れてしまい、大きくポジションダウン。さらに無線にも不具合が発生してしまい、チームと連絡がとれなくなってしまった。

「(スタートでは)練習と同じようにやったんですけど、クラッチに問題を抱えてしまって、ポジションを落としてしまいましたし、その後無線も聞こえなくなってしまいました。チームとも何も話しができないし、ピットに入るべきなのかコースに留まって頑張るべきなのかが何も分かりませんでした」

 誰がピットインをして、ライバルがどのようなペースで走っているのかも分からない状態で周回を重ねていた宮田。そこに追い打ちをかけるように、タイヤも厳しくなっていった。

「8分間のウォームアップでもグリップしていたので、決勝でもしっかりとケアして臨めば、このままいけるかなと思って臨んだんですけど、全然タイヤが持ちませんでした。バランスがまったく変わってしまったので、なんでそうなっちゃうのかが分からなかったです」

 そんな中、サインボードでピットインの指示が出たため、17周目にタイヤ交換を行ったが、マシンバランスが良くなることはなかったという。

「サインボードに『BOX』と出ていたので、それに従いました。周りの状況が全然分からなかったので、チームの指示に従うしかないなと思いました」

「ピットに入って、良くなるかと思ったんですけど、バランスが全然変わってしまいました。最初のスティントではフロントが全然ダメで、2回目はリヤがなくなってしまう感じでした。正直、いろいろな問題を抱えて、話にならなかったでレースだったので……大変でした」

 チームからのピットイン指示について、37号車担当の小枝正樹エンジニアは「ちょっとだけ(無線が)聞こえた時に『タイヤが厳しい』という話があったので、こっちとしては『とりあえず用意はできるよ』ということでした。実際にその後もタイムが落ちていったので、BOXをしないとダメかなと感じていました。今回は無線もそうですし、スタートのことも含めて、いろいろと不可解なことが起きていたので、これからしっかりと分析したいです」と説明した。

 宮田は「今日は僕の日じゃなかったですね」と、悔しさを隠しきれない様子でコメントを締めた。

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)

■朝の好調から一転「タイヤを換えても解決しなかった」坪井

 予選では7番手につけ、国本雄資(KCMG)のグリッド降格ペナルティにより、6番手からスタートした坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)。水たまりの多いイン側グリッドからだったが、好スタートを決めて4番手に浮上し、序盤は力強い走りをみせていたが、急にグリップを感じられなくなり、大きくポジションを落としていった。

「スタートが良くて4番手に上がって、牧野選手の後ろについていた時も、そんなに離れなかったので『このペースでついていければ、後半にチャンスがあるのかな』と思っていました。松下選手も、そこまでグイグイこなかったので、このペースを保ちながら、様子見なのかなと思っていたら……。突然タイヤが終わってしまった感じがあって、機能しなくなってしまいました」

「本当に急にきて、普通に運転していられない感じで、みんなの邪魔になってしまうから『避けて走らなきゃ』という感じ走っていました」

 11周目にピットインした坪井だが、タイヤ交換でも手間取ってしまう場面がありタイムロス。ピットアウトして数周のうちに周回遅れとなった。それでも諦めずに周回を重ねた坪井だが、ペースの改善は見られなかったという。

「2セット目のタイヤの方が、少し耐えられていた感じはありましたけど、それでもグリップがなくなっていってしまいました。クルマに根本的な問題があると思うので、タイヤを換えたところで解決はせず、厳しい感じでした」

「何より1セット目で沈んでしまったのが、一番の問題です。いろいろと原因はあると思うんですけど、今後に活かさないといけないなと思っています」

 決勝では大苦戦を強いられた坪井だが、朝のフリー走行ではそんな予兆はまったくなかったとのこと。それだけにショックは大きい様子だった。

「朝のフリー走行も速かったし、けっこう自信を持てていて、決勝も楽しみにしていました。4番手でレースを進められていた時も『このまま行けば良いな』と思いましたけど……なかなか結果がついてこず、残念です」