前戦マイアミでは自らのミスでフリー走行でクラッシュ。その後、マシンのフィーリングが変わり、予選とレースで本来の力を出せないまま開幕戦を終えたJujuこと野田樹潤。2戦目のスペインではどのようなアプローチで臨んだのか。
「意味のないミスはしないように心がけていましたが、タイムを出しに行くときは、そんなことを考えないようにしていました。タイムを出しに行ってミスをする分には仕方ないと思っています」
フリー走行後に、トラクションがかかるようにリヤのセットアップを変えて臨んだ2度目の予選。それでも、スペインGPの週末は高温が続き、路面の状況は滑りやすくなっていた。
「コーナーの出口でかなりオーバーステア気味になっていて、高速コーナーの3コーナーや9コーナー、さらに最終コーナーでもヒヤッとしました」というJujuだったが、「最後まで攻めました」という。
JujuにとってWシリーズ2度目の予選は14番手だった。最下位の18番手に終わったマイアミから4つポジションを上げただけでなく、ルーキードライバーのなかで最上位となった。
「最後の最終ラップまで、自分なりに頑張って14番手になって、すごく満足というわけではないのですが、まずまずの順位かなと思っていた」というJujuだったが、パドックに帰ってきて、父親(野田英樹)から声をかけられると、崩れるようにうなだれた。
「帰ってきたらお父さんに『あと100分の5秒縮めていれば、P11だったんだよ』と言われて、めちゃめちゃ悔しくなりました」
ただし、普通に走れば、結果はついてくることもわかった。
「周りと戦えるタイムを予選で出しているので、ここまでの走りで自分が改善できるところを見つけて、レースも落ち着いて、楽しんでいこうかなと思います」(Juju)
土曜日、F1のフリー走行3回目と予選の間に行われたWシリーズのレース。Jujuは絶好のスタートを切った。
「今回、エンジンが変わっていて(輸送上の問題で、スペインと鈴鹿のみ、全車アルファロメオ製からトヨタ製に変更)、クラッチミートがマイアミと違っていて、コントロールするのが難しかったんです。ぶっつけ本番だったんですけど、ストールするよりはホイールスピンするほうががマシだと、自分を信じてやりました」というJujuはスタート直後に1台抜いたものの、それ以上のポジションアップはならなかった。
「1コーナーまでのポジション取りで少しジャッジミスをして、2台に挟まれてサンドイッチ状態になったのが痛かった。あそこはアウト側に行かなければならないところ。それで1コーナーではひとつしかポジションを上げることができませんでした」というJujuは、その直後のバックストレートエンドでオーバーテイクされて14番手に戻った。
その後はなかなかオーバーテイクするチャンスが訪れることなく、逆に後方から迫ってきたシリーズ2、3年目のドライバーたちからプレッシャーを受ける苦しいレースとなる。しかし、この日のJujuは落ち着いていた。
「ブレーキングでインに飛び込んできそうで、何度かヒヤっとしたこともありましたが、そこで焦らずに立ち上がり重視の走りに徹していました。いままでだったら、相手が飛び込んで来そうになると自分もインを締めたり、ブレーキングで奥まで突っ込んでいたりしていたと思いますが、今回はそういうこともせず、落ち着いてレースをしていたので、その点については成長したなと思います」
プレッシャーに耐え抜いたJujuは13位でフィニッシュ。孤独なレースに終始した開幕戦とは違って、今回は集団のなかでまさにレースをしていた。ようやくJujuのWシリーズが開幕した。
「そうですね、すごくいい経験になりました。1年生のなかではトップだったし、これでポイントが獲れていれば100点満点だったと思うので、そこは少し残念(笑)。マイアミはさすがに雰囲気に飲まれそうになりましたが、今回はそうでもないですね。もうF1の雰囲気にも慣れました」と笑うJujuの視線の先には、早くもポイントが見えているに違いない。