今季、全日本スーパーフォーミュラ選手権のセッション後に設けられている“メディア・ミックスゾーン”。全ドライバーが1箇所に集まり同時にメディア対応を行うという、F1やWECなど海外レースではおなじみの取り組みだ。この記事ではそこで聞けたドライバーたちの“声”を、可能な限りお伝えする。
5月21日、第4戦オートポリスの予選終了後、ミックスゾーンでのドライバーのコメントをお届けしよう。
■松下信治(B-Max Racing Team) 予選20番手
前戦鈴鹿で初優勝をつかみ、いい雰囲気のなか乗り込んできた松下。しかし予選Q1・Bグループでは、1分27秒台で最下位に終わってしまった。いったい何が起きていたのだろうか。
松下によれば、アウトラップ翌周のアタックを狙っていたが、「単純に、タイヤが温まらなかった」という。タラレバを言えば、『アウト・ウォーム・アタック』が正解だったようだ。
「アタックに入る前の最終コーナーで、もう厳しいだろうとは思いました。一応そのままアタックに行ったんですが、全然グリップがなかった。富士もそうでしたけど、去年全然走れていないところでは正直ちょっと弱い感じがあって、走り出しからクルマはあまり良くなく、その感じが直りませんでした」
「(Q1)A組の様子も見ていて、トラック(路面温度)も10度くらい(朝から)上がっていたことも加味して、『アウト・プッシュ(アタック)』を選んだのですが、うちのクルマではまったく無理でしたね」
■ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S) 予選17番手
フル参戦初年度の今年、苦戦が続いているアレジ。ここまでの週末では走り出しからいいポジションにつけられていないこともリズムを悪くしている原因とみたチームは、開幕戦富士で投入した新たなセットアップ要素をいったん保留、昨年以前の要素と今季の流れをミックスさせたセットアップでオートポリスに臨んだという。
ただしアレジも、ドライのオートポリスをSFで走るのは初。なかなか思うように進まない一日となったようだ。
「結果がすべてを表している。あまり良くなかったね」
「全体的に、自信を感じることができなかった。ドライのオートポリスをスーパーフォーミュラで走るのは初めてだ。結局のところ、僕らが望んでいた結果とはならなかった」
「今日起きたことから多くのことを学んでいるところだし、タイヤについてもさらに多くのことを学んでいる。クルマのベースはいいものだと信じている。冬のテストはいい感じに進んだしね」
「ここではオーバーテイクは容易ではないけれどチャンスはいくつかあるだろうし、明日はできる限りのトライをするつもりだ」
■笹原右京(TEAM MUGEN) 予選4番手
予選Q1・Aグループをトップ通過しQ2では3番手となった牧野任祐と同じく、笹原もQ2ではオーバーステア症状に見舞われていた。笹原の場合、コンディションの変化はQ1から感じていたという。
「(オートポリスのSFは)2020年も走ってますが、いろいろと状況が違うので、あまり参考にならない……今朝走って、『楽しいな』と思いました(笑)」
「予選Q1走ったら、まったく朝とは違うコンディションで。でもタイムはそんなに悪くはないなと思ったんですが、Q2はまたまったく違うコンデイションになりました。任祐もそうだと思うんですけど、Q1・Aグループの人たちはみんな(Q2で)タイム落としてしまってるんですよね。Bグループの人たちは直前に走っていた分、アジャストはできたのかなと思います」
「セクター3だけでコンマ5秒落としていているって(チームに)聞いたんですが、最後はリヤタイヤも残っていなくてずるずるでした。24秒9って出たときに10番手くらいかなと思ったのですが、意外や意外、4番手で。そこはポジティブです」
「もうセクター2の100Rくらいから、結構オーバーステアでプルプルしちゃってて。セクター3も相当自分なりに抑えてというか、その状況に合わせて走ろうとしていたんですが、やっぱりずっとコーナー続いてオーバーヒートしていくからか、どんどんリヤタイヤがなくなっちゃって、最後は本当に道幅足りるかな? というくらいの感じでした」
■佐藤蓮(TEAM GOH) 予選12番手
ルーキー佐藤は、この日がスーパーフォーミュラでのオートポリス初走行。習熟とセットアップを同時に進めなければならないなか、Q2進出は健闘だったと言える。
「やはりSFのスピード域で、アップダウンがあって、セクター3とかも難しいこのコースを1時間ちょっとで攻略しなきゃいけないというのは、ルーキーにとってはすごく難しい部分もありました。セットアップの部分も一緒に進めていかなきゃいけないので、そこはすごく難しかったです」
「なんとかQ1は突破することができましたが、Q2に向けてのアジャストの方向がうまくいかずに、12番手で終わってしまったので、そこに関しては今後に向けての課題かなと思います」
「Q1がめちゃくちゃオーバーステアで、そこに対してのアジャストをしたのですが、トラック・インプルーブ(路面の良化)が思っていたよりも大きくて、少し方向性を間違えてしまったところがあります。Q2はすごくアンダーステアを感じていて、とくにセクター2で遅れてしまいました」
「タラレバになりますが、そこさえしっかりとアジャストできていれば、セカンドロウ、サードロウはいけたのではないかと思います」
■三宅淳詞(TEAM GOH) 予選5番手
今回の予選での敢闘賞を挙げるなら、5番手に食い込んだ三宅だろう。佐藤と同じくルーキーで、SF車両でのオートポリス初走行ながらの上位進出である。
「コーナリング速度という面では、スーパーフォーミュラ・ライツも速いので、目が追いつかないというようなことはありませんでした。ライツと違うのは、たとえばライツでは踏みっぱなしで曲がれるようなコーナーが、ブレーキとかアクセルワークが必要になることです。速度域があまり変わらなくても、そういう操作が必要になるという面は違いますね。たとえば100R。ライツではこう言ってはなんですが、『コーナーではない』のですが……」
「朝のフリー走行では、中盤くらいでは結構上位にいることができて、クルマのフィーリングも本当に良くて。フリー走行の最後のアタックはちょっと僕自身がミスしてしまってタイムが伸ばせなかったのですが、その明確な理由といいますか、原因があったので、予選に向けては落ち着いて挑むことができ、Q1突破できたのかなと思います」
「Q2に向けてそのセッティングも変更していただいて、タイムを伸ばすことができたんですけど、トップの野尻さんとはコンマ3、4あるので……。1000分の1秒を争っている世界で、その差は大きいので、しっかりその原因を見つけないといけないと思っています」
「正直、富士と同様、ここまでうまくいくとは思わなかったのでホっとはしてますが、本番は明日、レースの着順が大事です。GTでもライツでもそうですが、ロングランではタイヤに本当厳しいサーキットですから、そういうところでの乗り方も含め、伊沢(拓也)さんにも教えていただき、しっかりと準備して臨みたいと思います」
■決勝は「出たとこ勝負です」と関口雄飛
■坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 予選13番手
朝のフリー走行は2番手タイム。予選でも上位進出が期待された坪井だったが、わずかの差でQ1落ちを喫してしまった。
「僕は計測1周で(アタックに)行こうと思っていたんですけど、計測2周でアタックする人たちの中(に入ってしまう形)でピットアウトしてしまって……もう、出ていったタイミングがすべてだったと思います。あれがなかったら、Q1は余裕で通れたと思うし、ポール争いも全然できたと思うので……速さはあったので、もったいなさすぎる予選でした。少なくともフロントロウにはいけたと思います」
「(ピットアウトのタイミングが)あと10秒早く出るか、10秒遅く出るかで、だいぶ変わっていたと思います。一番ダメなタイミングで出て行ったので……もったいないです。そんな状況でもQ1通れそうな感じ(のタイム差)だったので。調子良いときに獲らないと、(ポールや優勝は)獲れないので、こういうことをやっていると、いつまでも勝てないかなと思います」
「速さはあるので、チャンスはあるのかなと思いますけど、何せオートポリスなので、抜けないかなと思っているので……その辺が、どうなるかですね」
■関口雄飛(carenex TEAM IMPUL) 予選16番手
土曜朝のフリー走行では8番手と復調の兆しを漂わせた関口だったが、予選Q1ではBグループ8番手となり、わずかな差でQ2進出を逃してしまった。
「今回、練習(フリー走行)で結構良かったので、なんでだろう? という感じです。路面コンディションは、それほど変わった気はしませんでした」
「朝は最後に黄旗でアタックできていないので、手応えはありました。フィーリングも良かったので、微調整程度で予選に行ったんですが……不思議な感じでした」
「ほんと、今回は行けると思ったんですけどね……走りもそれなりにうまく決まって、アタック終えて帰ってきたら(モニターに1分)『25秒4』って出てたんですけど、最初それを『24秒4』って見間違えるくらい、フィーリングは良かったので、ショックです」
「16番手スタートですか? 最近定位置という感じなんですが(苦笑)、作戦もいろいろあるし、そこらへん踏まえて追い上げていきたいです。ロングはまったく見れていません。出たとこ勝負です」