ゼネラルモーターズ(GM)のスポーツカーレーシング・プログラムマネージャーを務めるローラ・ウォントロップ・クラウザーによると、コルベット・レーシングは2023年のWEC世界耐久選手権に参加する可能性について「あらゆる道を模索している」という。
シボレーのファクトリーチームは来年もWECのグリッドに残ることに興味を持っているが、何かにコミットする以前にACOフランス西部自動車クラブからLMGTEプロクラスの延長計画についてさらに話を聞きたいと考えている。その間、同ブランドはLMGTEアマでの取り組みのために、チームをどのように進化させることができるかを“模索”している。
現在、シボレーとともにLMGTEプロクラスに参戦しているフェラーリとポルシェは、プロトタイプカー(フェラーリがLMH、ポルシェはLMDh)を用いたトップカテゴリーでのワークス活動に専念するため、今シーズン以降はGTEプロでワークスカーを走らせる予定はないと述べている。
一方、ACOのピエール・フィヨン会長は今年3月に、最低2社と4台のエントリーが確保できれば、GT3カテゴリーに置き換えられる前の最後のシーズンも「GTEプロを存続させる」と発言した。
このため、独立したカスタマーチームとコルベット・レーシングがGTEプロ存続のための最有力候補となったが、後者の陣営のクラウザーは、依然として不確実性があるなかでGTEアマクラスもプログラムの調査対象になっていることを認めている。
「来年のクラス構成がどのようになるのかは、ル・マンで公式に発表されるはずです」とクラウザーはSportscar365に語った。
「この件については多くの報道がなされ、4台のプロカーを集めることができれば(クラスを維持する)とも言及された。それが実現するならば、本当に興味深いことになる」
「果たしてどうでしょう。もしそうであれば、当然私たちはプロクラスに興味があるが、プロ・アマになった場合のことも考えています」
「私たちは公式にそれを伝えたわけでありませんが、さまざまな道を探っています。我々はもう一度ル・マンに行きたいのです。それはコルベットのDNAの一部でもあるのだから」
■今シーズンのWEC、IMSAでの追加エントリーは「おそらくない」
クラウザーは、コルベット・レーシングをGTEアマチームに変身させることは、このアメリカの組織にとって顕著な哲学の転換を意味すると語った。
プラット&ミラーが運営する同チームは、アメリカでのプログラムやル・マン24時間レースへの参加によって、トップレベルのGTレースに長く馴染んできた。
コルベットは今年、IMSA GTDプロのベンチャーとともに、トミー・ミルナーとニック・タンディが64号車シボレー・コルベットC8.RでWECのGTEプロにフル参戦している。
「私たちは長い間ひとつのことをやってきたので、いまはまだ(GTEアマを)理解しようとしているところです」とクラウザー氏。
「我々は、まず何が必要かを理解することから始めている。ドライバーはその大きな部分を占めます。どのようなタイプのドライバーなのか? コルベットでその能力を発揮できるのは誰なのか?」
「さらに、チームはどのようなものになるでしょうか? 他のチームと一緒に仕事をすることは考えていません。プラット&ミラーにサポートしてもらうことになるでしょう。なぜなら、彼らがクルマのことを一番よく知っているからです」
「私たちは現在GT3プログラムに集中しているので、その準備のための1年間に、並行して他のチームをスピードアップさせるための時間とリソースを使うことは意味がないと考えている」
「2024年に向けて新型マシンを発売するまでの間、今あるものでバランスをとることが重要なのです」
クラウザーは、来月のル・マンを例外とし今年のGTEプロにコルベット・レーシングが2台目のクルマを登場させることを事実上否定した
また、コルベットはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のシーズンを1台のC8.R GTDで完走するつもりであり、デイトナで登場した2台目のデチューンカーをIMEC“IMSAミシュラン・エデンュランスカップ”の残り2戦であるワトキンス・グレンとプチ・ル・マン(ロード・アトランタ)に持ち込まないという。
WECでのダブルエントリーの可能性について尋ねられたクラウザーは次のように答えている。
「おそらく(可能性は)ないと思う。主な理由は輸送の難しさと、それを我々がどのように管理しているかということです」
「現在使用しているシャシーの数は限られていますし、ル・マンの後のIMSAのスケジュールはかなり厳しい」
「私たちはすべてが必要な場所にあることを確認しようとしているので、追加の作業を行う選択肢がなくなってきています」
「ル・マン後の目標は、フルシーズンと同様にWECで1台、IMSAも1台で終えることです。いつ何が変わるか分からないが、それは起こらないだろうと予想しています」