F1第5戦マイアミGPが始まる前日、エンジニアたちとコースを下見した角田裕毅(アルファタウリ)は、マイアミGPが行われるマイアミ・インターナショナル・オートドロームについて、次のように語っていた。
「いままで経験したことがないような、いろんなブラインドコーナーがあって、ミスを誘発させようとしている感じがします」
5.412kmあるマイアミ・インターナショナル・オートドロームの中で、『ミスを誘発させようとしている』コーナーとして角田がポイントに挙げた箇所は、7〜8コーナーだった。サーキットの南西にある7コーナーと8コーナーは最初のDRS区間の検知ポイントの直前にある。
したがって、DRS区間での加速を促進させようとするあまり、コーナーの脱出スピードを上げようとしてミスをする可能性も高くなる。
しかし角田は、7〜8コーナーには、もうひとつ別の難しさがあると説明する。それはエイペックスが見えにくいブラインドコーナーだということだ。
「あそこは完全なブラインドコーナーなので、コーナーのエイペックスが見えないのでミスしやすいと思います」
マイアミ・インターナショナル・オートドロームは、アメリカン・フットボールのプロリーグであるNFLに所属するマイアミ・ドルフィンズの本拠地『ハードロック・スタジアム』の周辺に作られた仮設のコース。したがって、一般道を利用して作られたいわゆる市街地コースではないが、コースは全周にわたってコンクリートウォールに囲まれているため、まるで市街地サーキットのようにブラインドコーナーがあちこちに点在する。そのなかでも、加速していくなかで現れる7〜8コーナーのイン側のコンクリートウォールは、ドライバーにとってやっかいなコーナーなのである。
わずかなミスでもクラッシュにつながりかねない。初日の角田は冷静だった。何人かのドライバーが足をすくわれるなか、マシンにダメージを与えることなく、コースを習熟していった。順位的には初日13番手にとどまったが、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に続いて2番目に多い周回を走った。
それでも、角田は言う。
「走っていて、楽しい」
初日のデータを元に、セットアップを向上させて臨む2日目に期待したい。