3月に行われた開幕戦から約1カ月半のインターバルを経て、WEC世界耐久選手権は第2戦スパ・フランコルシャンのレースウイークを迎えた。その初日となった5月5日(木)は15時30分からフリープラクティス1回目(FP1)が行われ、2台のトヨタGR010ハイブリッドでハイパーカークラスに参戦しているTOYOTA GAZOO Racingは、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組7号車が総合8番手/クラス2番手、セバスチャン・ブエミ/平川亮/ブレンドン・ハートレー組8号車は総合13番手/クラス3番手につけた。
トヨタが過去9戦中6勝を挙げているWECスパの舞台となるスパ・フランコルシャン・サーキットは、昨年秋からコースの改修工事が実施され1周7.004kmのコースレイアウトには変更はないものの、一部のセクションで再舗装が行われるとともに、コース外のランオフエリアが改良されている。
そんな新しいスパ・フランコルシャンでの初走行となったFP1において、トヨタ陣営は1周のラップタイムは追わず7日(土)に行われる決勝6時間レースへ向けての準備に専念した。その結果として初日はLMP2マシンや同じハイパーカークラスのライバルに先行を許す7番手、13番手というリザルトになっている。
チームは走行初日に実施された90分間のセッションの中で、異なる仕様のタイヤ比較、エアロの確認、またメカニカルやハイブリッドのセットアップ分析などのプログラムをこなした。
■「FP1の結果だけで何らかの結論を出すのは早すぎる」とロペス
FP1をクラス2番手/総合8番手のタイムで終えた7号車トヨタGR010ハイブリッドは、今大会で新シャシーを導入。これは前戦セブリングでコンウェイ/可夢偉/ロペス組のマシンがクラッシュで大破したためだ。そのニューマシンは軽微な技術的トラブルが発生した影響でFP1終了時刻よりも若干早めにセッションを終えることとなった。
一方、開幕戦で2位となった8号車トヨタGR010ハイブリッドは、7号車とは異なるプログラムを消化し、初日をクラス3番手/総合13番手で終えている。
今季のWEC第2戦『トタルエナジーズ・6アワーズ・オブ・スパ・フランコルシャン』のレースウイーク2日目となる6日(金)は、日中にFP2とFP3が実施された後、夕方18時20分(日本時間25時20分)から決勝レースのグリッドを決定する予選が行われる。
WEC第2戦スパ6時間の走行初日を終えたTOYOTA GAZOO Racingドライバー6名のコメントは以下のとおりだ。
■7号車トヨタGR010ハイブリッド/総合8番手
●小林可夢偉(チーム代表兼ドライバー)
「ふたたびスパに戻れてうれしいです。セブリングはもうずいぶん昔のような気がします」
「今日は終盤に少しタイムをロスしましたが、スムーズで順調なセッションでした。この公式練習1回目では、どのチームも異なるプログラムに取り組んでいるので、現時点でパフォーマンスについて判断するのは難しいです」
「我々のトヨタGR010ハイブリッドは好調ですが、まだバランスの面で改良を続ける必要があります。今日得られたすべてのデータを見直し、明日の練習走行で調整を加えて、予選に挑みたいと思います」
●マイク・コンウェイ
「トヨタGR010ハイブリッドでまた走れるのは楽しいし、何よりここはスパなので格別だ。僕たちは今日、いくつかの異なる項目を試したが、終盤にはちょっとした問題に見舞われたことで、セッションの時間をフルに走ることはできなかった」
「明日の公式練習セッションまでに2台のトヨタGR010ハイブリッドのデータを分析し、さらにセッティングを詰めて行くよ。いつものことだが、最初のセッションのあとでクルマは大きく変わるんだ」
●ホセ-マリア・ロペス
「今日のセッションでは僕自身はあまり走れなかったが、またトヨタGR010ハイブリッドで走れるのはうれしいよ。イベントはまだ始まったばかりだし、これからまだまだセッションは多いので、明日こそ沢山走れることを楽しみにしている」
「この公式練習1回目の結果だけで何らかの結論を出すのは早すぎる。今日、さまざまなセットアップを試してデータを得たので、それらを元にさらなる改良を進めていくよ」
■8号車トヨタGR010ハイブリッド/総合13番手
●セバスチャン・ブエミ
「僕らはこの公式練習1回目のセッションでかなり多くの周回を重ねることができた。もっと多くの中断などを予想していただけに、問題なく進められたのは幸運だったね」
「今日はずっとドライコンディションだったので、多くのテストをこなすとともに、7号車とは異なるコンパウンドのタイヤを試し、比較することもできた。明日の金曜日は2度の公式練習の後に予選という、忙しい1日になるが、それだけに楽しみだ。まずは今日のデータを分析し、車両の最適化を進めていくよ」
●ブレンドン・ハートレー
「僕たちにとってはとてもクリーンなセッションで、多くのテスト項目をこなすことができた。まだもう少し速さが必要だが、今日は改良されたコースを初めて走ることができて、良いセッションだったと思う」
「改良されたオー・ルージュとラディオンはさらに路面がスムーズになったが、僕自身は路面の荒れたコースも個性的で好きだ。グラベルのランオフエリアが増えたことで、ドライバーはこれまで以上に慎重に攻める必要があり、良い改良だと思っている」
●平川亮
「今日のセッションはとても順調でした。私が走っているときにフルコースイエローが出されましたが、それでもかなり多くの周回を走ることができました。私にとっては2017年以来のスパですが、戻ってくることができてうれしいです」
「すぐに感触を取り戻せましたし、一歩一歩ペースも上げていっています。セッションの終盤にはかなり良い感触で、気分は上々です。まだ改善すべき点はあるので、さらにプッシュを続けます」