アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルは、F1の新世代マシンのDRSを廃止して“本当のレースがどうなっているのか”を見るのもおもしろいのではないかと考えている。
F1は、オーバーテイクを促進する補助装置として、クルマのリヤウイングにある調整可能なフラップを開くDRS(ドラッグ・リダクション・システム)を2011年に導入した。しかし12年経った今年、ドライバー同士がより接近してついていくことを可能にする新しいレギュレーションが導入されたにもかかわらず、トラック上のショーを改善するために依然としてお馴染みの装置に大きく依存しているとベッテルは指摘した。
「より近くでついていくことができるし、ドラッグの影響も少ないと思う」とベッテルは語った。
「ある程度DRSにはかつて以上に頼っている」
「DRSを廃止して、本当のレースはどうなるか、以前よりずっとうまくオーバーテイクできるかどうかを見るのもおもしろいだろう」
逆説的ではあるが、ベッテルは、新しい技術規則が導入されたにもかかわらず、DRSの役割は過去にないほど大きいと感じている。
「DRSには少しだけ慎重になっている。というのも(DRSは)オーバーテイクを助けるために導入されたものだけど、今では時々オーバーテイクを可能にする唯一のもののように感じている」
「だから理想を言えば、DRSがなくても(前のクルマに)ついていってレースをできるレギュレーションが必要だ。DRSは70年前からあるわけではない。10年前に実験的に導入されたんだ」
またベッテルは、第2戦サウジアラビアGPでのシャルル・ルクレール(フェラーリ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のケースのような、ライバルとのバトル中に意図的にDRSを利用するドライバーの戦略にも言及した。
「オーバーテイクは常に努力するものであるべきで、DRSゾーンに入ってDRSを使用することに影響されるべきではないと思っている」
「ジェッダでのレースでは、トップのドライバーがDRSラインに向かってブレーキングし、そのラインを2番目に通過することを目指した。あれは別の種類のレースだ。だから、ああいうやり方はしない方がいいと思う」
「プロジェクトは始まったばかりだ。絶対にもっと近づいてついていくことができるはずだよ」
「オーバーテイクはまだ難しいけれど、努力すべきことであり、なんとかオーバーテイクできた時にはご褒美になるはずだ」