元F1ドライバーで、現在『Sky F1』の解説者を務めるマーティン・ブランドルは、F1第7戦モナコGP決勝が悪天候で混乱するなか、FIAが正しい情報を発表するのが遅れたとして、批判的な発言を行った。
レースコントロールは、雨のためにスタートを2回ディレイした。まず元々のスタート時刻から9分遅れでセーフティカー先導のもとでフォーメイションラップがスタート。だが、雨が激しくなってきたことで、赤旗に。その後、長時間にわたり中断され、元々のスタート時刻から65分後にようやくレースがスタートした。この時、ウエットコンディションのため、セーフティカー先導でコースインし、ローリングスタートが用いられた。その後、ミック・シューマッハーが大クラッシュを喫し、再びレースは中断。その後のリスタートでもローリングスタートが採用された。
FIAはレース後に声明を発表、レース再開の遅れは、スタートシステム(スタートガントリー、ライトパネルなど)の電源に問題が起きていたからであり、リスタートでスタンディングスタートが用いられなかったのは、スタートシステムが正しく機能するかどうかを心配したからでもあると説明した。
ブランドルは、FIAは早い段階で説明を行うべきだったと考えている。
「天候の変化を見越してレースを中断する必要はない」とブランドルは『Sky Sports』のコラムに記した。
「バーチャルセーフティカー、リアルのセーフティカー、赤旗もある。ピットストップクルーはタイヤを2秒で交換できる。ウエット天候用のタイヤは2種類あって、雨の際のチャレンジをカバーできる。それがF1レーシングというものなのだ」
「日曜のレース後、我々は20時03分に、FIAから次のことを知らされた。激しい雨のためにスタートガントリーで電源の問題が発生し、そのために赤旗の後にローリングスタートが採用されたということだった」
「シンプルで効率的なWhatsAppグループを通して我々がそのことを知らされていれば、我々から、世界中の何千万人もの視聴者やサーキットに来ていた何万人ものファンに知らせることができた。その方がはるかに納得がいった」
FIAが情報を明かさなかったことで、レース中に、チーム、メディア、ファンが混乱したと、ブランドルは考えている。
「ある信頼できる筋から聞いたところでは、中断の間、何が起きているのか我々には分からずにいる間、レースコントロールにおいて激しい議論が交わされていたという」
「そのため、何の行動もとられず、情報も提供されない時期があったのだと思われる。そして、そのために、通常とは異なり、セーフティカーが路面コンディションのチェックのためにコースに出るということがなかったのだろう」
2021年最終戦アブダビGPで、FIAレースディレクターのマイケル・マシが規則に反した行動を取ったことがタイトル争いに大きく影響するという事件があり、マシは退任し、FIAはF1のレースコントロール体制の見直しを行った。現在は、ふたりのレースディレクターが交代で担当、彼らを支える体制も用意された。
だがブランドルは、FIAは改めてレースコントロールの徹底的な改善に取り組む必要があると主張した。
「FIAは、F1の健全性のために、完全に専念し権限を与えられたレースディレクターひとりと、少なくともひとりの代役、サーキットおよびシステムの検査官、権限を与えられた効率的なコミュニケーション部門など、徹底的な改革を早急に行う必要がある」
「これは最優先されるべき問題であると考える」