TOYOTA GAZOO Racingは6月1日、『GRカローラ・RZ』と『GRカローラ・モリゾウエディション』を世界初公開した。『GRカローラ・RZ』は、2022年4月に公開された新型車『GRカローラ』の日本仕様グレードとなる。
一方の『GRカローラ・モリゾウエディション』はトヨタ自動車のマスタードライバー“モリゾウ”こと豊田章男社長が自ら試作車のハンドルを握り、「お客様を魅了する野性味」、「気持ちが昂り、ずっと走らせていたくなる走りの味」を追求したグレードとのこと。
『GRカローラ・RZ』は2022年秋頃から全国のトヨタ車両販売店を通じて発売開始。一方、『GRカローラ・モリゾウエディション』は2022年冬頃から、全国の『GR Garage』において台数限定での発売を予定しているとのこと。なお、価格はいずれも未発表だ。
カローラは、1966年の発売以降、トヨタを長年支えてきたクルマであり、トヨタのモータースポーツ黎明期に、WRC初優勝を飾った『TE25カローラ』や、その後1000湖ラリーを制した『カローラレビン』などが活躍。また、時代の変化に合わせ、ワゴンやSUVなどへも進化を遂げてきた。
そんなカローラについて、豊田章男社長は、「多くのお客様に愛していただけるクルマだからこそ、絶対にコモディティと言われる存在にしたくない。お客様を虜にするカローラを取り戻したい」との思いから、GRカローラの開発を開始したとのこと。
開発にあたっては、レースで勝つために鍛えたクルマを市販化するという「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を実践。開発中のGRカローラに水素エンジンを搭載し、スーパー耐久シリーズにも参戦。新技術である水素エンジンを鍛えるとともに、車両を総合的に鍛え直した。
また、「お客様を魅了する野性味」を追求するため、匠の技術による下山工場で1日に7〜8台しか組み上がらないという専用エンジンを搭載。また、GRヤリスで培った技術を投入してピストン、カムシャフトなどを開発投入し、排気管を3本出しにすることでGRカローラは約30馬力アップしているという。
さらにマスタードライバーのモリゾウこと豊田章男社長を中心に、石浦宏明、大嶋和也、井口卓人、勝田範彦といったプロドライバーや、社内の評価ドライバー、エンジニア、メカニックがさまざまな道で走り込みを実施。徹底的に不具合を出し尽くし、改善を重ねることで、「ドライバーと対話のできるクルマ」、「ずっと走らせていたくなるスポーツカー」へと仕上げたとしている。
GRカローラの開発にあたり、企画段階から参加したという石浦も「これまでの市販車開発は完成したクルマを運転して評価する形でしたが、企画段階から参加させてもらって、試作車のイチから関わらせてもらってアジャイル(迅速に)開発が進められた」とGRカローラの開発に手応えを感じているようだ。
■走行性能を磨き上げた2シーターモデル“モリゾウエディション”
そして、マスタードライバー“モリゾウ”の名を冠した『GRカローラ・モリゾウエディション』は、その名のとおり、モリゾウこと豊田章男社長が強くこだわりを持つ「お客様を魅了する野性味」を追求したグレードだ。
徹底した軽量化、エンジンのトルクアップ・トランスミッションのギア比最適化による動力性能向上、モノチューブアブソーバー・ハイパフォーマンスタイヤの採用によるコーナリング性能の向上を経て、「気持ちが昂り、ずっと走らせていたくなる」走りの味を実現したとしている。
『GRカローラ・RZ』と違い、リヤシートを撤去し乗車定員を2名としたことで約30kgの軽量化。また、最大トルクを370Nmから400Nmへ向上させた上で、中回転域のトルクを高めることで加速性能を向上させている。
また、動力性能の向上と、気持ちのよいギアのつながりを実現するべく、ディファレンシャルギアのローギアード化と、1~3速のクロスギアレシオ化が施されていることも特徴だ。
そして、『GRカローラ・RZ』と比べ、10mm拡幅したハイグリップタイヤ(Michelin PILOT SPORT CUP 2の245/40R18)を採用しコーナリング時の安定性・ブレーキ性能を向上。また、インテリアでは、専用セミバケットシートを採用したほか、ドアトリムオーナメントやインストルメントパネルなどへ鋳物ブラック塗装を施し、ステアリングやコンソールにはウルトラスエード表皮を採用し、よりスポーティな室内空間を演出している。さらに、『GRカローラ モリゾウエディション』ならではのこだわりの証として、ウィンドシールドガラスに“モリゾウサイン”が施されている点が特徴だ。
■新型車GRカローラ・RZ(日本仕様車)および
GRカローラ・モリゾウエディションの主な諸元(開発目標値)
– | GRカローラ RZ(日本仕様) | GRカローラ モリゾウエディション |
---|---|---|
全長(mm) | 4,410 | 4,410 |
全幅(mm) | 1,850 | 1,850 |
全高(mm) | 1,480(アンテナを含む数値。ルーフ高1,455) | 1,475(アンテナを含む数値。ルーフ高1,450) |
ホイールベース(mm) | 2,640 | 2,640 |
トレッド前(mm) | 1,590 | 1,590 |
トレッド後(mm) | 1,620 | 1,620 |
乗車定員 | 5 | 2 |
車両重量(kg) | 1,470 | 1,440 |
エンジン | 1.6L直列3気筒インタークーラーターボ | 1.6L直列3気筒インタークーラーターボ |
型式 | G16E-GTS | G16E-GTS |
内径×行程(mm) | 87.5×89.7 | 87.5×89.7 |
総排気(L) | 1.618 | 1.618 |
圧縮比 | 10.5 | 10.5 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 224[304]/6,500 | 224[304]/6,500 |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 370[37.7]/3,000~5,550 | 400[40.8]/3,250~4,600 |
トランスミッション | iMT(6速マニュアルトランスミッション) | iMT(6速マニュアルトランスミッション) |
駆動方式 | スポーツ4WDシステム“GR-FOUR” 電子制御多板クラッチ式4WD(3モード選択式) | スポーツ4WDシステム“GR-FOUR” 電子制御多板クラッチ式4WD(3モード選択式) |
変速比 1/2/3/4/5/6/後退 | 3.538/2.238/1.535/1.162/1.081/0.902/3.831 | 3.214/2.238/1.592/1.162/1.081/0.902/3.557 |
減速比 1~4/5、6、後退 | 4.058/3.45 | 4.250/3.578 |
差動装置/フロント | トルセン®LSD | トルセン®LSD |
差動装置/リヤ | トルセン®LSD | トルセン®LSD |
サスペンション/フロント | マクファーソンストラット式 | マクファーソンストラット式(倒立式モノチューブアブソーバー採用) |
サスペンション/リヤ | ダブルウィッシュボーン式 | ダブルウィッシュボーン式(モノチューブアブソーバー採用) |
ブレーキ/フロント | ベンチレーテッドディスク(18インチアルミ対向4ポットキャリパー) | ベンチレーテッドディスク(18インチアルミ対向4ポットキャリパー) |
ブレーキ/リヤ | ベンチレーテッドディスク(16インチアルミ対向2ポットキャリパー) | ベンチレーテッドディスク(16インチアルミ対向2ポットキャリパー) |
ホイール | BBS製鍛造アルミホイール(センターオーナメント付) | BBS製鍛造アルミホイール(センターオーナメント付)TOYOTA GAZOO Racingロゴ入り |
タイヤ(フロント/リヤ) | 235/40R18 YOKOHAMA ADVAN APEX V601 | 245/40R18 Michelin PILOT SPORT CUP 2 |
燃料タンク容量(L) | 50 | 50 |