気温35度に達するコンディションのなかで行われた2022年スーパーGT第3戦『たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACE』。今季はここまで上位争いに顔を出せていなかった17号車Astemo NSX-GTだが、チームにとっても地元である鈴鹿サーキットで2位表彰台を獲得した。
今季は新たに松下信治が加入し、シーズン前から注目度も高かった17号車だが、第1戦岡山では予選12番手に沈み、決勝ではポジションを上げるも9位フィニッシュ。気を取り直して臨んだ第2戦富士も、予選では歯車がかみ合わず15番手となり、決勝では着々とポジションを上げるも9位に終わるなど、不本意な成績が続いていた。
この良くない流れから脱出するために、鈴鹿大会に向けてはレースウイークをどうコントロールしていくかに着目して、改善を図ってきたという。
ここまでの流れについて塚越広大は「開幕2戦は自分たちがバタバタしていた部分があったので、そういうのはなくそうと思っていました。(具体的には)クルマのセットアップを見直すというよりは、レースウイークをどうコントロールしていくかというところが大事だと思うので、そこは自分たちがやるべきことを、しっかりとやらないといけないなと思っていました」と振り返った。
それが功を奏したのか、この鈴鹿大会ではホンダ勢が苦戦気味になっているなかで常に上位をキープ。17号車は予選5番手を獲得すると、スタート時点から気温30度を超える夏日となった決勝レースでは、第1スティントを担当した松下が、いつものアグレッシブな走りで2台をオーバーテイクすると、20周目のピットストップでKeePer TOM’S GR Supraを逆転し2番手に浮上した。
後半スティントを担当した塚越は37号車に接近されながらも、しっかりとポジションを守り抜き2位でチェッカーを受けた。例年、鈴鹿では速さをみせている17号車なのだが、実はチームにとって鈴鹿ラウンドで表彰台に乗るのは初めてだった。
「決勝ではノブ(松下信治)がポジションを上げてくれて、僕も2番手でポジションを守り、最後は何とか3号車を捉えようとリスタート後も頑張りましたけど、ちょっと次元が違ったので難しかったのかなと思います」
優勝した3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zとの大きな差は感じている様子だったが、序盤の2戦でポイントを獲れていなかった分、「今回は何としてもポイントを獲らなければいけない」というプレッシャーは少なからずあった様子。ひとまず2位という結果を足がかりにして、チャンピオン争いにも加わっていきたいと語った。
「今回の僕たちは(サクセスウエイトが)軽かったですし、逆に『ここでポイントを獲っておかないとどうするの?』というプレッシャーはありました。それがちゃんと結果にも反映されたので、ひとまず良かったのかなと思います」
「全体を通して誰かがミスをしたというのもなかったので、僕たちの今の実力がどのあたりなのかも分かりました。この現状を受け入れつつ、さらに上に行くにはどうするのか。この後も渋とくポイントを稼いで、チャンピオンを獲るためのレースをしていきたいです」
一方、前半スティントでは攻めの走りを披露した松下も、今回の結果がチームにとって追い風を呼び込むことになりそうだと期待をしていた。
「ここはホームコースですしテストでも調子が良かったのですごく期待していました。ただ、岡山と富士でうまくいかなくて、チームもいろいろと悩んでいた時期があったので、この素直にチームにとって“ブースト”になるのではないかなと思います」
「(前半スティントは)セーフティカーが出るリスクもあるので、僕のスティントは短めになるのでとにかくプッシュをして、そこで良いグリップを発揮してくれました。ただトップのペースは異次元だったので、そこはなんとかしたいです」
また、同じブリヂストンタイヤを履く8号車ARTA NSX-GTや100号車STANLEY NSX-GTと比べ、週末を通してパフォーマンスを発揮できていたことについては松下は「この高温のコンディションに、我々のクルマがあっていたのかというのがひとつあります。当然(ウエイトが)軽い方が良いに決まっています。8号車や100号車と比べると20kg~30kgくらい軽かったので、コンマ1~2秒くらいの違いだったと思います。ただ、今回はそれ以上に速く走れていたので、そこは本当にチームの頑張りが活きたのかなと思います」と分析していた。
ただ、3号車に先行されたことは少なからず悔しさを感じている様子で「僕自身、昨年も今年も鈴鹿で勝てていないので、今年は8月にもう一度(鈴鹿で)レースがあるので、なんとかしたいなと思います!」と、リベンジを誓っていた。